レンタルDVDにて鑑賞。
難しくて2回観ました。DVDの良いところですね。
さて2回観たからといって理解できたわけではありませんが、それでも少し咀嚼できたようです。
まず第一には噂に聞いてはいましたが、昨今話題になった事件のあれこれを取り混ぜて現政権を批判しているとしか思えない映画をよくもここまで掘り下げて製作上映したものです、と驚きます。
しかしこのような事件への追及、政府への批判などはやって当然であるのにまるで命がけの直訴のように思えてしまうこと自体がおかしいのでしょう。
このような題材の映画がこのようなシリアスな表現ではなくコメディとして作られてもいいはずです。
もちろんコメディという形式はむしろある種の逃げ道でもあるのでシリアスでやってしまった、ストレートにぶち込んでしまったことへの賛辞もあります。
伊藤詩織さんの事件、そして加計学園問題と明確にわかる事柄に切り込んでいく姿勢は今現在だからこその緊迫感があるわけです。
そして画面に前川喜平元文部科学事務次官が映った時にこの映画はフィクションなのか現実なのか判らなくなっていくのです。
(望月衣塑子氏も出演していたのですが私はご本人を知らなかったのでそこは残念でした)
が、加計問題(と思われる事件)のなかで「生物兵器の開発」という題材が出てきた時は何も判らず「?」「急に話が突飛なことにいったな。ま、フィクション映画なんだから少しは大げさに作るよね」と思っていました。そうです。私は何も知らなかったのです。
それを教えてくれたのは、この映画に批判的な評をしている記事からでした。
この記事はあえて逆に表現する形で賛辞しているのではないかと思えてしょうがありません。が、
「悪い意味で虚実ないまぜだった件
都合の良い実在・非実在の使い分けに呆れた」
という書き方はそのままやはり批判していると受け取るべきでしょうか。
しかしそれでも私はこの記事で初めて加計学園の意義を知ったのです。
やはりこの記事は映画『新聞記者』を盛り上げているとしか思えません。
そして確かに虚実ないまぜにすることで本作は巧みにフィクションをリアルに近づけるという高度な技術を使っているのです。そのことも賛辞ではありませんか。
そして主人公の新聞記者を演じたシム・ウンギョンの素晴らしい表現にも打たれました。
キャスティングの際、有名な日本女優へのオファーは内容の危うさのために断られたという話もありました。
仕方なく韓国人の彼女の起用となったのでしょうが、今となればこれ以上ないキャスティングになったのではないでしょうか。
日韓ハーフでアメリカ育ちという設定とそのためのカタコトの日本語が却って印象を強くしています。他を気にしない強い精神力もアメリカ育ちという設定が効いているわけです。
甘い顔立ちの松坂桃李演じる若き官僚のいかにも優柔不断な感じとシム・ウンギョンの突き進む女性新聞記者の対比も見ごたえのあるものでした。
願わくば続々と本作のような日本映画が製作されますように、と言いたいのですがそれはあまり期待できない・・・のですかね。