年末に購入して読みました。一年に一度クリスマスに読める山岸凉子マンガ『レベレーション』は楽しみです。
が、内容は想像していた通りですが大変辛いものです。
ジェンヌ・ダルクが華やかに活躍できたのは一時期だけで他はひたすら苦渋の日々です。
山岸凉子は何故このように忍耐を強いられるマンガを長く描き続けているのでしょうか。
ジャンヌ・ダルクの戦いは結局神と悪魔でもなく信心と不信心でもなくイギリスとフランスでもなく男と女の在り方の戦いでしかないのです。
山岸凉子は一貫して「女性の在り方」と「男性の在り方」をマンガという形式のなかで苦悩し続けてきました。
画力は最盛期とは比較できるものではありませんが「ジャンヌ・ダルク」という題材でその集大成ともいえる苦悩を描こうとしていると思えます。
彼女の作品には女性主人公を助ける男性が登場してきましたが(多くは知性ある美男子として)この作品では今のところその姿はありません。
シャルルは役目の済んだジャンヌを見限り、麗しき公爵も姿を見せなくなってしまいます。現実の歴史なので仕方のないことではあります。
5巻の最後にはピエール・モーリス及びラ・ピエールという神父が登場します。
彼らは少しでもジャンヌを救える存在の男性になれるのでしょうか。
が、その容姿や言葉からは心細さも感じます。
ジャンヌに共感するのは女性である場合が多いのですが、どうしてもその力は限られています。
そしてジャンヌ自身の揺らがない神への信仰心はむしろ彼女を破滅へと追い込んでいくのです。
彼女が男性であるなら男性たちはこのような反応はしないことは確かです。
私たちは山岸凉子の苦痛に満ちた叫びを受け止めなければなりません。