ガエル記

散策

『SPIRITPACT -黄泉の契り- 』2 李豪凌 『日出処の天子』を考える

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章軒が魅力ありすぎるのではないかと思うのですがそれでも、というかそれゆえに敬華と端木のつながりがより良く感じられます。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

一気に最終話まで観てしまいました。

パクトコネクトで思い出したのは山岸凉子著『日出処の天子』での厩戸皇子蘇我毛人との関係です。

厩戸皇子は神仏の力を引き出して利用するほどの超能力を持つ超人ですが同時に自分では抵抗できない弱点も持ち合わせています。その欠点を補い皇子のパワーをさらに強化する能力を持っていたのが毛人でした。

そのことに気づいた皇子は毛人に「ふたりで力を合わせればどんなことでもできる」と呼びかけるのですが毛人はこれに答えませんでした。

「それは人間には許されないことなのではないでしょうか」

 

厩戸皇子は同性の毛人に次第に恋心を持ち始め友人としてではなく性愛を求めたのです。しかし毛人の皇子への思いは敬慕であり肉体の関係ではなかったのでした。

 

日出処の天子』は比類なき傑作で私は何度も読み返してしまう大好きな作品でもありますがこのふたりの決意はどうしても納得できません。

厩戸皇子と毛人が男性であるならこれほどの力を持つ機会を手放すとは思えないのです。毛人はフツ姫と関係持ちながら皇子ともつながってしまえばいいのでは?解せぬ。

作者ご自身厩戸皇子は女性だと語られていましたが(作品の中では男性だけど女性の苦悩を男性の姿を借りて描かれたのだと思います)そのとおりでしょう。

 

しかも少年マンガであればその超能力を駆使してバトルが繰り広げられたはずです。

(その内容を考えるとちょっと怖いですが)

 

SPIRITPACT』はまさにその往年の不満を解消してくれるような内容でした。

つまり端木が厩戸皇子で敬華が毛人というわけです。

厩戸皇子と毛人もうじうじ考えずパクトコネクトしてたらよかったのにね、というわけです。

 

物語は章軒が復活するところで終わり続きを感じさせます。

完全に少年マンガですな。