「お涙頂戴もの」というと「大した中身もないのに泣かせようとするだけの作品」という解釈で軽んじられる傾向にあります。私もとても好きとは言えません。
ところで今「SF」というカテゴリはどういう評価でしょうか。私が子どもの時よりは意義あるものとして認識されているようですがそれでも「嘘の物語」的なイメージを持ち続けてもいます。
そして案外「SF」はお涙頂戴的な物語が多くあるのですがこの軽んじられるふたつのものが合体した時なぜか私はそれらが大好きになるのです。不思議な化学反応です。
普段あまり好まない恋愛ものもSFと合体した時なぜかそれはとても魅力的な別物に変化するのです。
なぜなのでしょうか。
本作『インターステラー』はまさしくその化学物質の一作です。
父親と娘の愛情物語、は宇宙の中で素晴らしく輝くのです。
またアメリアとクーパーの恋愛も感動を覚えずにはいられません。
娘と父親のSFと言えば『コンタクト』ですし母と娘の物語として『メッセージ』でも心を震わせました。
SFとは言わないかもですが宇宙を舞台にした『ファーストマン』でも父の娘への愛が核となったもので壮大なお涙頂戴と言っていいでしょう。大いに泣かせられました。
さて本作『インターステラー』それらのどの映画よりもっと壮大で長い長い時間と広い広い空間を舞台とした映画です。
だけどそのテーマは「父と娘の愛情」だけでしかない。
そのテーマはそれだけの価値があります。