ガエル記

散策

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』古賀豪/原作 水木しげる

アマゾンプライムにて鑑賞。

この一年弱の毎日の自由時間を横山光輝マンガ読書かその関係に費やしてまいりました。

「一年間は」と思っていたのですがちょうどこの時期に『鬼太郎誕生ゲゲゲの謎』がプライム配信されるとの情報でどうしようかと迷ってもいたのですがあっさり負けてしまいました。むむむ。

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

とはいえまだ観終わったばかり。すでにもう何度か観てみる予定をしております。

よかった。

観る前にものすごく情報入っててマンガも知ってたり読んでみたりいろいろ予備知識多めだったし「あんまり期待してもな」という態勢でもあったのですが思った以上によかったし皆さんが感動したのもわかるしその気持ちにも共感しました。

 

しかしあれだね。本音を言うと水木しげるというよりほとんど横溝正史犬神家の一族』と手塚治虫の『奇子』だったね。その上でもよかったです。

というのはかつての日本を描くとどう描いたって『犬神家』と『奇子』になってしまうんだろうとしか思えないもの。

つまり家父長制度とそれに縛られてしか生きられない男女で誰もが不幸、という物語にしかならないのだよな。

 

原作者の水木しげる氏が家父長制度についてどう思われていたかは知らないしこのアニメ映画では水木氏の持つ戦争への怒りも妖怪の楽しさも描かれていなくて『ゲゲゲの鬼太郎』の世界とは乖離している気もする。

なのだけど作り手が鬼太郎に深い愛情を持っているのは確かなのだ。

 

ところで『ゲゲゲの鬼太郎』と言えば鬼太郎自身が片目がないのだけど作者水木しげる氏は戦争で大事な左腕を失っている。

利き腕ではなかったかもしれないが絵を描く人間が腕を失ってしまう、というのは(そりゃ誰だってだけども)恐ろしく悲しく思える。

水木さんは明るい人でそんな苦悩はまったく感じさせない人だったけど鬼太郎が片目を失っていることそして父親が目玉の親父として鬼太郎を見守り続けていることと水木先生が片腕を失っていることにはやはりつながりを感じてしまう。

 

ゲゲゲの鬼太郎』はもう長い長い間、見続けてきた作品だ。水木しげる氏ご自身の人柄も大好きだった者として氏の亡くなられた後にもこういう作品が愛情深く作られたことも嬉しいのだ。