ガエル記

散策

『三国志』再び 横山光輝 十九巻

ということで横山『三国志』に戻ってきました。

うむ、どうしても今の私は『三国志』が一番居心地よくてな。

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

ところで吉川『三国志』を読んでいたら先の部分で関羽が玄徳から手紙をもらいそこに「お前が曹操に仕えて出世したいと思うのなら私は快くそれを許したいと思う」と書かれていたのを「私のことをそんな軽々しい男と思っておられたのか」と悔しがる場面として描かれていて「それもまた良いねえ」とにやにやしてしまった。

一方、横山『三国志』では関羽も玄徳もまったくそんな余計な心配などせずお互いまっしぐらに相手を信じ切っているのだけど。

やっぱり横山氏は浮気など考えもしない一途さを描いていて気持ち良いのだよなあ。

 

 

やっと迷走を抜けて進み続ける関羽はとある古城になんと張飛が住み着いていると聞き足を向ける。ところが張飛は「この裏切者」と関羽に討ちかかってきたのだ。

どうやら張飛関羽曹操に仕え贅沢三昧をして暮らしていたと聞き及んでいたらしい。玄徳夫人は張飛の誤解をとくよう話しかけるが聞く耳を持たない。

 

ここの部分(前にも書いたかな)『DUNE砂の惑星』(小説のほう)で同じような場面があってデジャヴュだった。いやこっちが先だけど。

 

そこへ(なぜか)曹操軍が近づいてきて張飛が「嘘じゃないならあの大将の首を刎ねてこい」と言い関羽は実行するのだがそれはあまりに酷くないかwww

 

だがこれでやっと張飛関羽を信じ関羽に平謝りで謝った。

今、日本のコンテンツで主要メンバーでこんなに長い髭成分多いマンガないよな。

鬚好きさんは本作から離れられないであろう。

 

関羽張飛に玄徳夫人とお子を預け周倉には子分たちを連れてくるように伝えて玄徳の元へと進む。

とはいえ関羽はつい先頃袁紹軍の二将軍を討ちとったばかり。自分は町はずれに宿を見つけ部下に玄徳と連絡をつけさせた。

 

玄徳は皆の無事を知り策を講じて袁紹の元から去ると伝える。

袁紹曹操との長引く戦いで荊州劉表と手を組みたがっていた。それを利用し自分と劉表は遠縁なので口説いてみせると進言したのだ。

袁紹は玄徳が信用を得ようと頑張ってると思い満足していた。(何かといい人なんだよな)

しかし袁紹の配下はこのことを聞き驚いて玄徳の後を追った。

 

玄徳は関羽が滞在する屋敷に向かう。

よかったねえよかったねえ。

 

関羽が世話になっていた屋敷の主は関定という名であった。

彼にはふたりの息子がいた。

関羽が見どころのある若者です、というのを聞き玄徳は「どうだ関羽、お主は子供もいないしどちらかを養子にもらっては」と言い関定は「次男の関平なら」ということで関羽に異存はなく「よし話は決まった」と関羽に息子ができる。

はああ?すごいな。

関平君は良い子でよかったけど玄徳、いきなり養子もらいたくなる性分あって自分は失敗しとるからなあ。

 

玄徳関羽一行は関定屋敷を後にした。

そしてここでかつて出会ったあの趙雲と再会することになる。

そういえば趙雲が仕えていた公孫瓚は滅亡したのだった。

趙雲は改めてここで玄徳様に仕えたいと願い出た。

こうして玄徳のもとに英雄が集まりだしたのである。

 

 

ここから呉の小覇王孫策の物語が挟まる。

孫策の治める呉はここ数年目覚ましい躍進を遂げていた。

揚子江の河口と流域を抑え気温は高く土地は肥えその国力はあなどれないものとなっていた。(確かに呉は良さそう)

これを見た曹操は裏工作をはじめていた。

 

孫策は内部で謀叛を起こす一派がいるのを知りこれを討ちとったがそれに恨みを持ち仇討を狙う者たちが生じた。

孫策の城は堅固だが孫策自身が狩りが好きで外へ出る。そこを狙うのだ。

彼らは武器に毒を仕掛け孫策を襲った。

孫策はそのまま絶命はしなかったが毒薬のために死線をさまようことになる。

しかし名医華佗の治療で快方へと向かった。

このまま安泰であればよかったが孫策の運命は奇妙な方向へと進む。

曹操打倒を目標に袁紹の河北と孫策の呉が軍事同盟を結ぶ手はずになったところまでは良かったのだがその後孫策は「于吉仙人」という人物の存在に取りつかれていく。

母や妻をはじめ民衆が「于吉仙人」を崇めることに激しい嫌悪を感じてこれを捕え諫めようとする役人を自ら斬り捨ててしまうのだ。

どうやらこの時すでに孫策はおかしくなっていたのだろう。それはあの毒薬のせいなのか。

それでも部下たちは于吉仙人への敬意を捨てなかった。孫策は于吉仙人に雨乞いの儀式をさせその力を試す。果たして于吉仙人は雨を降らせてしまった。

皆が恐れ崇めるのを見て孫策は于吉仙人を皆の前で斬り殺したのだ。

泣き悲しむ人々に中で孫策は正しいことをしたと考えた。

 

しかしその時から孫策は幻影に苦しめられる。夜になると叫び剣を振るって明け方疲れ果て倒れて眠るのだ。

孫策の母は心配し仙人の怒りを鎮める祈祷をするように願う。母の頼みで孫策は従うがその祈りの中にも于吉仙人は現れ孫策は祈祷師までも斬り殺してしまう。

さらに幻影を見た孫策は馬車から飛び出し地面にたたきつけられ大量の出血をした。以前の傷が悪化したのだ。

 

孫策は最期を予感した。弟の孫権を後継者として重臣たちに後を頼んだ。

小覇王と呼ばれた孫策は二十七歳でその生涯を閉じた。

 

いったい彼にとって于吉仙人とはなんだったのだろう。当時于吉仙人は実在していて実際孫策は彼を殺したらしい。なんてこった。

 

そして呉の新国王・孫権が登場する。この時十九歳だった。