ガエル記

散策

『三国志』横山光輝 第十七巻

劉備玄徳扉絵4・5回目。

しかし関羽はどうしてこんなにも玄徳を慕ったのだろうか。

かわいいから?☜戯言です。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

さて名医吉平と董承が秘密裏に話したはずの曹操毒殺計画はあっさりと見破られた。

董承家の下男が曹操に密告したのだ。

吉平は拷問を受け董承家は捜索が入った。血判書と詔が発覚し計画に加担した一族郎党が捕らえられ斬殺された。その数南百人にのぼった。

 

劉備は徐州にいるためこの斬殺から逃れられたが曹操が見過ごすはずはない。

二十万の軍で徐州へ向かった。

とても太刀打ちできない劉備は急ぎ袁紹に救援を求める。

が、袁紹は子供が病気で「そんな気分ではない」と出兵を拒んだのだ。

「お前が来い」という返事をしたんだよね、袁紹

しかしなあ『三国志』ってほんとう国と将軍の関係がふにゃふにゃだよね?日本人には理解しがたいというべきか現代人にはわからないというべきか?

昨日の敵は今日の友ってこと???弟の仇の劉備に「参られい」と言って劉備も行くっていうの、いいのか???それが劉備の美徳なのかなあ?

 

さてさて、徐州の城では劉備がイライラと歩き回っていた。それを見た張飛曹操軍に奇襲をかけることを提案する。そして下邳城にいる関羽と挟み撃ちにするのです、と。(この時関羽は別の城にいたわけです)

劉備は「たしかにそうだ。くよくよ考えてもしかたない。やってみよう」と答える。こういうとこが好かれるんだよな、と思います。人格が明るいんですよね。

 

がしかし張飛のこのアイディアは完全に裏目に出てしまった。

曹操は占いによって劉備軍が夜襲をかけると予感していたのだ。(占いで)

こういうところ曹操の強さである。

劉備軍は完全に浮足立ってしまう。いくら張飛ひとりが強くともどうにもならない。劉備は「死んではならん。引け引け」と号令した「なんとしても敵陣を突破して逃げ延びるんだ」

劉備たちの行方はわからなくなってしまった。

ここで陳父子が曹操の前にひざまずいていた。「お前たちをここで打ち首にしてもよいのだが」「覚悟はしてございます」

これが曹操のいいところ。

役に立つ人間は生かしておく。

 

そしてこの後、曹操はとんでもないことを言い出す。

関羽を下邳の城からおびき出す計画は上手く考え出せたのだが

それは「関羽をかねてから家臣にしたいと心から思っておった」ということだった。

なんと曹操関羽欲しいと心に秘めていたのだ。

曹操が欲しかったのは劉備ではなく関羽だったのだ。まあ劉備が思うようにならなかったので関羽に走ったというのもあるかもだけど。

なので

「殺さずに生け捕ってもらいたい」

と言い出す。

これには家来たち「殺すのさえ大変なのに生け捕るとなればどれほどの犠牲が出るか」

が、ここで張遼が「拙者が関羽を口説いて味方にいたしましょう」と自信ありげに言い出す。

殿、欲望ダダ洩れですぞ。

ひくひくしておられる。

やっぱあの「アニキこそ」が辛かったんだろうなあ。目の前でやられたからね。

 

まずは関羽がいる下邳の城へ捕虜にした二百名の徐州兵を送り込む。

味方が逃げ込んできたと見て下邳の城は開門する。

そこで兵たちは関羽に徐州城も小沛の城も落ち劉備の行方も分からないことを話すのだ。そして「こちらは敵の兵力が手薄なので逃げて参りました」と関羽が城から出てきやすくなる情報を伝えさせたのだ。

劉備のことばかり考えてる関羽

しかしいったん敵の前に出ると

最強の男となる。

このギャップがたまらんわけで曹操も欲しがるわけよの。

すまん、このカットがほしくて貼っただけ。

しかし曹操軍というか張遼の計略に関羽はまんまとはまっていく。夏侯惇にからかわれ怒った関羽は進撃しすぎてしまう。

気づき城に戻ろうとするが既に四方を取り囲まれしかも下邳の城はすでに曹操の手に落ちてしまっていたのだ。

下邳の城には劉備から預かった奥方と御子がいるのだがなすすべもない。

関羽は明日の夜明けに潔く打って出る覚悟を決める。

 

そこへ来たのはこれまで戦場で何度も渡り合ったという顔見知り張遼だった。

美形すぎて貼った。

何故関羽だけここまで美しく描かれているのか。男としての美の塊のような存在。

ステキすぎて吐きそう。

しかし張遼は玄徳の妻子には指一本触れてはならぬときついお達しでなと伝える。

これに関羽は「拙者に恩を売って降伏させようという腹か」と答える。

「そうはいかん。明朝山を降り潔く討死にする覚悟さ」

張遼は大笑して「それが英雄のすることか」

関羽は「忠義をまっとうして討死にするがおかしいか」

ここからが張遼の言論術炸裂

劉備が生きていたら」という言葉ほど関羽を打ちのめす一撃はなかったね。

夏侯惇の一撃など比べ物にならない。関羽この一言で震え上がったはず。劉備にもう一度会える機会を今自分で潰そうとしていたのだ。

物凄い必殺技であった。張遼もここまで効くとは思っていなかったか。それとも熟知していたのか。

なにしろ

なんでそんなこと知ってるの~~~???

言ったな関羽。「玄徳様と(張飛と)は桃園の誓いをした仲である」と自慢したに違いないね。

まあだからこそ張遼曹操の前であそこまで自信たっぷりだったのだ。関羽と言う男が劉備との誓いだけが全てだと。

ふたつ目の主君の妻子、三つ目の天下の憂い、も確かだけど「玄徳が生きていたら」の一言で関羽生き恥さらす覚悟を決めたよね。

いかん関羽の全カット貼りつけてしまう。

ここで関羽「三つの条件」を出す。

もうやらないから最後に一枚だけせめてこれだけ~

これを聞いた曹操は逆に「さすが余が見込んだ男よ。気骨がある」とべた褒め。

が、先の二つは納得するとして三つ目の条件「玄徳の消息がわかればいつでも立ち去る」という言葉には引っかかった。

張遼は「それは関羽が玄徳を慕うあまりの言葉。殿が玄徳以上に目をおかけなされば殿の恩義を感じるようになりましょう」これも確かに。関羽の性格では恩義は無下にはできないんだよね。

こうして関羽は奥方様にも相談の上曹操の軍門に降っていったのだった。

 

この頃劉備は逃亡生活を続けていた。敵の追撃を逃れ野ネズミを食べ草の根を噛みひたすら袁紹のいる冀州へと向かっていた。

 

欲望を果たした曹操だがいざ手に入れた関羽は毎日読書ばかりしていると聞く。

(塾の先生だからなあ)(それにしてもあのような豪傑で趣味が読書ってますます萌えるんですけど)

曹操関羽の気を惹きたいがため皇帝にお目通りの上偏将軍の称号を与える。関羽のために華やかな宴席を設け数多くの贈り物まで準備しているという次第。

関羽はそのまま奥方様にお渡しするがそれを見て奥方は「曹操はよほどお前がお気に召したと見えますね」とまゆをひそめられたのだった。

曹操は機会あるごとに関羽を酒の席に誘ったがある日関羽の着物が古くなっているのに気づき見事な衣装を関羽に贈る。頼まれるまま曹操の目の前でその服を身に着けたが関羽はその上に着古したぼろ服をまた羽織ったのだ。

見とがめて何故と問う曹操に(すまんまた貼らせていただく)

 

いや忠義心はいいけど「朝夕来たり脱いだりする度に玄徳様に会うようで」ってそりゃ曹操もむかつく顔になりますわ。わざと嫉妬心を掻き立ててるとしか思えませんが、こやつの場合本気だったりするから。

で服もらってさっさと帰る関羽

 

そうかなそうかな~~

こいつも変なヤツよ。

そして次は関羽の馬が痩せて貧相をなのを見とがめる。

関羽は自分がでかいから大概な馬は痩せてしまうのですと答える、

曹操いたれりつくせり

曹操関羽に贈ったのは呂布の名馬赤兎馬だった。

今までの贈り物や宴席にはまったく喜んでいなかった様子の関羽が満面の笑みで喜び深く礼をした。

おま、関羽よ。曹操の心情やいかに

あんまりだ。あんまり酷すぎる(泣)

恋の駆け引きってこういうことだわね。

曹操ハートブレイク

曹操張遼に事の次第を打ち明け関羽の本心を聞いてきてもらう

(なにこれ。彼の心が知りたいのってやつじゃん)

 

関羽は訪ねてきた張遼

空蝉。さすが読書家、言うことが違う。

しかも臆面もなくぬけぬけとはっきり言うね

おまえが生きてたらって言ったんやろがい

しかし関羽はそう言わず「その時は地の果てまでお慕い申して行く所存でござる」と一ミリも揺るがない。

だが曹操様とて玄徳に劣らぬ優れた人物だという張遼関羽は「おもてなしには心から感謝している」が

ああこれまでを思い出しているようなしっとりとした表情。

マンガで曹操の活躍ばっかり描かれてて劉備たちが低迷していた頃きっと劉備との数限りない心の交流があったんだろうなあ。(からだも、とかBL発言は控える)

そうした思い出の積み重ねには勝てないよな。

 

しかし関羽曹操へのご恩には答えたい、と張遼に伝えるのであった。

 

その後、曹操は白馬の野の戦いでいったんは断った関羽の参戦をやむなく願うことになる。

赤兎馬で駆け付けた関羽曹操の眼前で皆を恐れさせた強敵・顔良を一刀両断する。

「それにしてもお主は鬼神だのう」という曹操に「拙者の義弟・張飛はもっと強い男です」と答えまたもや曹操をいたたまれなくしてしまう。

関羽の心は常に三兄弟として存在している。

 

敵・袁紹軍では劉備の義弟・関羽によって顔良が殺されたと知って義兄・劉備を裏切者として捕縛するが劉備は「曹操なら関羽の偽物を用意するかもしれない」と言って謝罪した。

そして顔良の代わりに先鋒隊の将になったのは親友・文醜だった。

劉備はその隊に志願する。関羽曹操軍にいるのか確かめるためにも。