昔(といっても自分自身の子供時代ってことだけど)の映画と今の映画はどこが違うのだろうと考えてもすぐにはわからないのだがやはり何かが違う。
何かを考えながら観ていたのですが。
奇妙な味を楽しめる映画でした。
ネタバレしますのでご注意を。
エドガー・アラン・ポー。本好き特にミステリー好きなら教科書として古典として絶対一作は読んでいるでしょう。
私も幼少期に『黒猫』『黄金虫』『モルグ街の殺人事件』などの流れはひととおり読んだものですがそれ以外は(非常に興味はありながらも)読まずじまいで終わっています。
とはいえポー世界には今も魅かれています。
この映画でその世界観を少し味わえた喜びもあります。
いややはりこれはもう一度その世界に入ってみるべきですね。
そしてこの時代自体にも惹かれます。
近代。世界が大きく動き出す頃。しかしまだ蝋燭の灯に頼らなければならない頃。女性がまだ男性の庇護下でしか存在し得ない頃の悲劇。
クリスチャン・ベールとハリー・メリングの共演はとてもすばらしかった。
ハリー・メリングはつい先だって『クイーンズ・ギャンビット』で観たばかりでちょっと嬉しくなりました。若かりしポーに彼を配役したのは良いキャスティングで重厚な感じのするベールとのバランスがとれています。
もっとおぞましく不気味にもできるのを止めて現実的に演出しているのも好みでした。