以前一度観た時は入り込めなかったのですが今回観ていてふと良さを感じてしまいました。
ネタバレしますのでご注意を。
フランス人画家アティレは清の皇后ウラナラを描くことを任じられる。
ウラナラは皇后でありながら皇帝の寵愛を受けることのない生活を送っていた。とはいえ彼女には皇后である以外の自由はない。
そしてアティレは禁欲を課される修道士であるのだが類まれな美貌の皇后を描くうちに心惹かれていく。夫である皇帝から向けられることのない情愛の眼差しを受け止めるウラナラはアティレから描かれることが唯一の楽しみとなっていた。
肖像画が描かれる間だけがふたりの愛の交流でした。
ウラナラは夫の愛を得られぬまま皇后として生きねばならず皇帝は新しい妃を迎え寵愛しています。
アティレの描いた皇后の肖像画を観た皇帝は彼を戦地へと送ります。皇帝は絵の中の皇后の眼差しに自分には向けられなかった心を感じたのです。
三年後アティレは戻ってきます。彼は今でもウラナラを思っていました。しかしもう皇后に近づくことはできず遠く見守るだけ。
ウラナラは自ら髪を切り落としてしまいます。それは皇帝の死後にしか許されない行為でした。
それだけが彼女にできる反逆だったのです。
敬虔なキリスト教徒だったアティレが「だがもはや神の存在も信じがたい」とつぶやく。
悲しい物語でした。