不思議な映画です。純然たる「ヒーローもの」でありながらこれ以上ないほど静かなもの寂しいと感じる作品なのです。
派手な演出も胸躍るアクションもない、だけど現在のアメリカンヒーローシリーズの原点と称される作品だという。
やはりシャマランは特別な魔法を持っているのでしょう。
とてもゆっくりと進む映画なのですが何故か退屈しないのです。これはおかしい。
息子くんと筋トレする場面なんてくどくてうんざりしそうなのに一緒になって「何キロ?何キロ?」って言ってしまう・・・。
ヒーロー映画はテンポよく進まなくては、なんていうセオリーはここでは無視されている。いやむしろこれがセオリーなのか?
いつも画面が暗くてよく見えないくらいでセリフもぼそぼそ言ってて・・・なのにつまらなくない・・・・。
どういうことなのだろうか。
おもしろい映画、映画を上手く作る、というのはいったいどういうことなのだろうか。
あまりにも謎になってしまいました。
いわゆる美男美女も登場せずというかめちゃ怖い顔の男がふたり・・・。
しかもイライジャの髪斜めってるし。
つまり天才の作った映画はおもしろいし、そうじゃない奴の映画はつまらない、ということか。
たぶんこの映画には気づかないでいるだけで惹きつけられてしまう仕掛けがちりばめられているのです。
色も声もカメラワークもテンポも巧妙に計算され一度入り込んだらもう抜け出せないネズミ捕りのような映画です。
超人的に体の強い男とすぐに骨折してしまうため「ミスターガラス」とあだ名される男の物語。ただそれだけ。
ただそこから善と悪の公式が導き出されていく。
この三部作、続けて観ていこうと思っています。