おもしろいんだよねえ。毎日韓国映画を観ているのに実にバラエティの富んでいるしなにより配役がとても良い、と思うのです。
いつも比較になるのですが日本映画だと「なんでこの俳優?」となってしまうし演技はつまらないし魅力に乏しいのでがっくりしてしまうのですが韓国映画はいつもとても良いのです。
それは単なる美男美女でやれば客が集まるだろう的な浅はかさがなくて良い配役を選んでいる、という基本的なことだと思うのですが邦画の俳優は昔に比べるとあまりにも個性がなくなってしまっていて、というか映画自体がつまらないから個性的な俳優も使われるきっかけがないというわけなのでしょう。
またもや邦画の愚痴が長くなってしまうので本作に戻ります。
ネタバレしますのでご注意を。
復讐劇はもはや韓国映画の独壇場です。これほど心を揺さぶられる復讐劇を作れる国は他にあるでしょうか。
愛する人を殺されてしまった主人公は残された人生をすべて投げ出してその復讐にのみ生きる悪霊となってしまいます。
本作の日本語タイトルは『少女は悪魔を待ちわびて』となっていますが原題は単に『 널 기다리며(お前を待って)』です。
悪魔になってしまったのはむしろ少女なのです。
悪魔になってでも復讐を遂げる、というのが韓国映画の真髄でだからこそ悲しく強く心を打つのだと思います。
『さまよう刃』では中年である父親ですが本作はわずか5歳の少女というよりも幼女が父親を殺した男に復讐するためだけにその人生を捧げる設定になります。
考えれば少女がそんな男の為に人生を失ってしまうのはむしろ空しいことであり自分の人生の幸福をつかんだほうが良い、というアドバイスもあるでしょう。
しかし力なき幼女が復讐を果たしたい気持ちを応援したくもなります。
いつの日か韓国映画も暴力による復讐ではなく別の形での復讐という映画になるのかもしれません。もうすでに作られているかもしれませんが。
日本人もかつては仇討が美徳であったのに(武士だけかもしれませんが)いつしかその心を忘れてしまったようにも思えます。
復讐などせず許しの心を持つ、という言葉は果たして良いことなのかそうではないのか。
時に怒りの心を持つことは大切なのではないかとも思うのです。