幾つもの受賞をしている面白い映画なのですが、何が面白いのかさっと言えない面白さです。
詳しく調べたわけではありませんが本作監督のふたりアーロン・ムーアヘッドとジャスティン・ベンソン が主演も両人でこなしています。
ほとんどが孤立した小さな村での出来事、という設定もあって怖ろしく低予算で作られていることが伝わってきます。いわば脚本の面白さのみで作られているわけですがその脚本もふたりの片方ジャスティン・ベンソンが書いているのでほぼほぼふたりで映画一作作った感じなわけですね。
しかもこの二人何度も組んで何作かの映画を作っています。それらのレビューを見ると「最低のクソ映画」という罵倒がならんでいるので本作のレベルに至るまではかなりの涙と汗の歴史があったと思われまする。
予算がないから主演俳優も自分たちで、というのはかなりのリスクではあるでしょうが本人たちがそれなりに良い感じなのは恵まれていましたね。
私は普通に俳優だと思って観てしまいました。
ブラコン的な話が好きな方にもおすすめだと思います。
(マット・デイモンとヒース・レジャーの『ブラザーズグリム』なんか好きな方は)
カルト教団の信者のみが住む僻地の村。主人公兄弟は暮らしていたその場所から逃げ出していたのですが都会暮らしになじめないままでした。弟がどうしてももう一度村に戻ってみたいと言い出し、兄は渋りながらも付き添う。
10年経ったその場所にすむ教団の人々は兄弟を優しく迎え入れてくれた。しかしその人々がまったく年を取っていないように思えるのをはじめ奇妙なことが次々と兄弟を怯えさせていく。
昨今こうした設定だと猟奇的な殺人が次々とおこり惨たらしい映像が襲ってくるものですが本作はそうした脅かしはありません。というか予算がなくてCGやら特殊メイクやら残虐場面やらが作れなかっただけかもしれませんが。
確かに死と結びついてはいるのですが全体にぬるくてとぼけた味わいがあるのですね。その辺も『ブラグリ』と似ているかもしれません。
監督二人が知っているかはわかりませんがどちらかというと諸星大二郎的な味わいを感じるような気もします。
兄弟のとぼけたやりとりとかも好きな感覚ですし物語の本筋よりそういうこの二人監督主演脚本の持つぬるい味自体がこの映画の魅力になっているようです。
罵倒されまくっている過去作品もちょっと覗いてみたい気がします。観られるかどうかではありますが。
(今見たら『キャビンインザウッズ』がありました。やったあ!というものかどうかはまだわかりませんがw)
やり過ぎない独特感が良いです。今後にも期待したいふたり監督主演脚本であります。