アマプラで「なにこれ?」と思いつつ観てみたらとても素晴らしい作品でした。
玄奘三蔵と言えば『西遊記』でお馴染みのお坊さんですね。私にとっては手塚治虫アニメの『悟空の大冒険』での「坊さん」が初の印象だったのでアレはあまりに畏れ多かったのですがそこまではなくても様々な形で演出されまくっておられる方であります。
峰倉かずやにいたっては拳銃ぶっぱなす危ない奴ですし。
本作はそうしたこれまでの創作から離れて現実の彼の旅をイメージしたものです。とはいえこれも無論想像としての玄奘には違いありません。
母親が我が子を盥に入れて流れ着いた場所が寺で彼は僧となるべく運命づけられていた(と言う話を信じたいという彼)と始まり、僧侶としての修行を堅実に積み天竺までの過酷な苦難の旅路をただ一人きりで歩み続けていく様を美しい映像で語っていきます。
玄奘を演じたのは黄暁明(ホアン・シャオミン)私には懐かしい方でした。私がどっぷり江湖ものにはまっていた頃、テレビドラマ『神鵰侠侶』の主人公・楊過が彼でした。
すばらしい美形俳優ですので美しい僧侶として名高い玄奘を演じるのはぴったりであります。
玄奘の旅はインドへ向かうものですから物語・映像は古きインドを思わせるものになります。
美しいスードラ男性のエピソードが印象的でした。
霍 建起監督は日本では『山の郵便配達』が最も有名な作品でしょう。リウ・イエが主役を務めた映画です。これも同じようにまじめな青年が美しい自然の中を歩んでいく物語でした。
ついつい日本映画と比較してしまう癖が発動してしまうのですが、日本映画にもこのような美しく誠実な作品が生まれて欲しいものだと強く思います。
日本人のクリエイターには無理なようにも思えるのですが。
玄奘の旅路、まじかよすげえ。