ガエル記

散策

『三国志』再び 横山光輝 三巻後半から四巻

赤に身を固めた曹操。そうか彼は赤い彗星だったのか。

赤い彗星曹操

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 


さて。

片田舎の警察署長になったものの賄賂をせびる督郵をこらしめて飛び出した玄徳たちは張飛の知り合いである劉大人の屋敷と客人となる。

そこで以前助けた芙蓉姫と再会した玄徳は夜中の逢瀬を続けた。

 

この時の関羽の狼狽がかわいくてしかたない。

ぷーくすくす

玄徳を女にとられてしまうのは我慢ならん関羽である。

 

そこへ劉大人が吉報をもたらしてくれる。巡察がこの屋敷を訪れるというのだ。

関羽、速攻で玄徳に知らせにいく。

たぶんめっちゃ速足。すたたた。

玄徳、言い方が投げやり、心ここにあらず。関羽むかついてるw

えーなんで知ってんだよお

という気持ちを抑えて「いや、恋は路傍の花」とそらす玄徳。

この答えにほっとした関羽

関羽念を押して傷口を広げたなあ

しかしそんなことを気にしていられない。

一刻も早く玄徳をこの場から立ち去らさせねば。

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なんだろ、このコマ、関羽が見えない。きっと笑ってんだろうなあ。いや笑いを髭に隠すくらいの品はある(はず)

 

この後三人は一度別れて時期を見てまたここで落ち合おう、という約束になる。

玄徳は故郷の母の家に帰るがこっぴどく叱られてすぐにまた家を出る。

ほんとうは優しくしてあげたかった母親だった。

 

この頃世の中は再び乱れる兆しを見せていた。

あちこちで謀反が起こり始めていた。

黄巾賊の乱以後、朝廷では宦官十条時の悪政ぶりがますますひどくなり霊帝は酒と女を与えられ体を悪くしていき死んだ。

十条時は後継者の弁皇子とその母・何太后を盾にして悪政を続けようとしたがこれを排除しようとする働きがありこれに何太后とその兄将軍が立ち向かうという争いになる。

これを冷静な目で見ていたのが曹操だった。

天下の乱れを喜ぶ男・曹操ステキだ。

 

「乱世の奸雄」それもよかろう

 

朝廷は乱れ新帝は泣きながら逃げることになるがそれを助けたのが弟の協皇子・陳留王

幼いこの時は輝いていたのに・・・・

董卓はこの聡明な陳留王を新帝とし己がその補佐役として君臨することを望む。

そしてその前に現れたのが最強の戦士として名高い呂布であった。

呂布!最も強い男でありながら、忠義を重んじる三国志世界で裏切者の代名詞とも言える。また女性に溺れてしまった男、とも言えるがここまで悪しざまに描かれてしまうのは彼が漢民族ではなくモンゴルの男だからではないかと思ったりする。

日本で生まれた作品のほうが良く描かれているらしいが日本人には漢民族もモンゴル人も関係ないからではなかろうか。

横山作品ではどうしても忠義心が厚い男が良しとされるので品の無い男になってしまってるがそれでもその強さにおいて比類なき英雄であるとされてしまう。まじでとんでもない強者だったのだろう。

女性関係描写の少ない本作品の中でも美しい貂蝉との物語として心に残る。

剛腕というだけでなく百発百中の弓矢の名手というのがさすがモンゴル魂といえる。後に赤兎馬で駆ける姿もまた然りである。

「女に弱い」というのが本作でも弱点のように語られるが逆に言えば「女には優しい」となるわけで強い上に「女に優しい」ならば最高の男ではないかとも言える。

 

その赤兎馬

うつくしい

そしてそそのかされるとすぐ人を殺めちゃう男

考えが足りなく子どもっぽい男として描かれているよね。

 

逆に賢い男・李儒

 

 

そして立ち上がる男・曹操

曹操写真集欲しいよね。

 

王允から名剣七星剣をもらい受け董卓を討つと発言した曹操だったがいざ暗殺に赴くと董卓の側に呂布がいて果たせない。

馬をもらって逃亡するが捕まって檻に入れられてしまったのを陳宮に助けられる。

曹操はしょっちゅう窮地に陥るが誰かに助けられては再起を図る。不屈の男なのだ。

 

この後陳宮と共に逃亡を続ける曹操だが知己の家を訪ね助けられたにもかかわらず勘違いでその家の主人呂伯奢と家人たちを殺してしまう。恐ろしいヤツ。

陳宮は自分が助け出した男が救世主ではなく大野心家だったと気づき眠ってしまった曹操の寝首をかこうとするが思いとどまる。

この時陳宮曹操を殺してしまっていたら・・・たらればはないのだが。

以前の記事にも書いたのだがこの場面は絵画として飾っておきたい。

 

 

陳宮はそのまま曹操に従っていく。

曹操は父の家に戻りそこで兵を挙げて董卓討伐を志す。

父親は恐れながらも愛息曹操に願いを無下にできない。

父親に金はないが顔が広いので金持ちから金を出させようと曹操は企む。これがうまくいく。

やはり曹操ただものではない。

各地の将たちは曹操の檄を見て続々と集まってきた。

今再びこの大地は風雲急を告げたのである。