ガエル記

散策

『美少女を食べる』諸星大二郎 その1

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私にしては珍しい新刊読書でした。いつも時間が経ってからしか本も映画も見られないからなあ。

先日漫勉で諸星さんのを観てから持ってた本を引っ張り出して読み返したりしていて久しぶりに本屋に行ったらあったのでこれはきっと巡りあわせだと思って買ったのですが、よく考えたら宣伝効果にまんまとはまってしまっただけのようです。

 

ではネタバレしますのでご注意を。

 

 

「鳥の宿」巻末に作者による解説があるのですがそこに「読めば分かったと思いますがこれは「舌切り雀」をモチーフにしています」と書かれています。私はぼーっと読んでいたので(いつもですが)ぴんと来ていませんでした。なるほどなあ。

登場人物の名前からしアメリカが舞台のようです。しかも少し昔の・・・と思っていたら鳥人間の少女、が登場して「え?え?」となっていたら彼女の住む「鳥の宿」と呼ばれる地域には彼女の仲間たちがたくさんいてなぜかその近くにガラクタのようなものがあふれるように捨てられている・・・主人公の少年ビリーが小さなカプセルみたいなものをこっそり取って持って帰ると近くに住む学者崩れのような中年男性が「古い時代のの廃棄物」だと教えてくれる。

つまり作品の時代は遠い未来なのです。

この設定はそれほど特異なものではないかもしれませんが、いつもながら諸星さんの描く男の子がとてもかわいらしい。私は日本のマンガ家の中で諸星さんの男の子が一番かわいいと思っています。

そして鳥少女もまたやっぱり他と比較にならない魅力があるのですね。

そして学者崩れみたいな人物が最高に萌えポイントです。こういう人物を出してくるのが・・・ズルイ!ここを見たくなってしまうのです。

巻末解説に「トウモロコシ畑というのは不穏な空気を漂わせている」として「北北西に進路をとれ」「チルドレン・オブ・ザ・コーン」をあげておられますがこれに「サイン」も入れたいものですが、他にもたくさんあるように思えます。

諸星さんの絵ではトウモロコシより二人の姿が高く描かれていますが、トウモロコシ畑の不穏さは姿が隠れてしまうところにあるような気がします。あの中に誰がいるのかわからない、という不安さ恐怖なのかもしれません。

 

続く