たぶん何回かこの作品については書いているはずですが私にはこの作品がまだよくわかってはいないのでまた何回か書くことになるでしょう。
萩尾望都の凄さはどんなに書いても語りつくせることはないのですがキャラクターの創造についてもまた然りです。
昨今の日本マンガ・アニメ作品でもっとも残念なのはキャラクター造形についてです。内面造形は以前に比べるとはるかに良くなったと思えるのですが外見においてはいつも失望してしまいます。
俗にいう「イケメン・可愛い・萌え」という形容詞は外見を指す言葉になっていますが本当ならばキャラクターの性格を表現する言葉であってほしいものなのです。
しかして現在日本マンガアニメキャラクターはこれらの形容詞がつく外見を擁していなければならないと定められているようでしかもそれがほぼ同じ造形になっています。
萩尾望都だってそうではないかという話になってしまうのはわかります。
エドガーをはじめメッシュ、レッド星、渡会さんにいたっても皆主人公は美形です。
しかし萩尾作品の魅力はわき役の造形なのです。
本作『銀の三角』でも主要人物、ラグトーリン・パントー・ディディンなどは超のつく美形ぞろいですがわき役のキャラクターに見とれてしまいます。
萩尾マンガでは目の細い、というか閉じ目痩せ顔キャラがよく登場して活躍します。男性バージョンだけでなく女性バージョンもいるのが楽しい。どちらの性別になっても大好きなキャラです。
本作ではジェイフという男性で主人公の友人になります。
(『スターレッド』では女性キャラで登場。彼女も大好きです)
そして『銀の三角』で私が一番注目する気になるキャラは「パヴァー」です。彼は一種のマッドサイエンティストというべきなのでしょうか。
彼は彼のいう「美しい種」を終わらせるのが忍びなくディディンという美しいパントーと契約をして彼の子孫を作ろうと虚しい努力を続けています。ディディンがする予知はもう嘘だとわかりながら彼が言う通りに場所(惑星)を変えては交配の準備をすることに人生をかけている学者(?)のようです。
今でいえばパンダやトキの繁殖の研究をしているといったところなのでしょうか。
パヴァーの登場は少なくて私は非常に残念なのです。パヴァーを主人公にしたマンガを描いて欲しいとさえ思います。
しかしこのパヴァーの外見は一言でいえばみすぼらしい。
背が低く痩せこけてぱっと見全身が鱗か角質化しているようでもあります。日本マンガですから色はわかりませんがなんとなくとかげっぽい色合いなのではないでしょうか。
『銀の三角』がアニメ化されないか、というのが私の希望なのですが今の風潮だとパヴァーが美形化されそうでとても嫌です。
美形化してしまうと何気なくディディンとBL関係になってしまいそうです。
本作のパヴァーだからこそマッドサイエンティストぶりが引き立つと私は思うのですが。
しかし主人公になったらパヴァーもきっと美形になってしまうでしょうけど(笑)