ガエル記

散策

『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』レミ・シャイエ

f:id:gaerial:20200910060411j:plain

f:id:gaerial:20200910060425j:plain


ロシアの物語ですがフランス語で作られたフランスのアニメ映画でした。日本でも外国を舞台にしたアニメは多いですが、外の国から見るからこそよりファンタジックになる要素はあるのかもしれません。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

氷の世界を進みゆく少女、というイメージが美しいアニメーションです。

貴族の少女サーシャは勇敢な探検家である祖父オルキンを敬愛していました。そして行方不明となった祖父と彼が乗る船を探し求めて旅に出る決意をします。

 

やはりまず現在の日本アニメではほとんど観ることができない芸術性に見惚れてしまいます。

このようなアニメが日本ではできない、ということはないでしょう。

絵柄はかつての日本アニメをどこか思い出させ懐かしいような感じもします。しかし長い間人気漫画のアニメ化に追われてきた日本アニメ界が失ってしまったものという気がします。

 

作品のテーマはなんでしょうか。

私には「人としての誇り」ではないかと思いました。

海外のアニメ作品を観ているとその「人としての誇り」が描かれていることが多いように思えます。

(先日観た『ディリリとパリの時間旅行』もそうだと思います)

翻って昨今の日本の作品にはその気持ちが足りないように感じます。

 

例えばサーシャの父親は傾斜していく我が家を案じて娘を王子と結婚させ自分自身も良い地位に就こうと企みますが、サーシャは祖父の名誉を重んじます。

それは彼女がまだ若く苦労を知らないから、とも言えますが帰ってきた娘を抱く父親を見るとその思いが通じたと言えるのではないでしょうか。

 

祖父オルキンはもちろん勇敢な探検家としての誇りを持ち続けサーシャと探検を共にした船乗りたち、サーシャを助けた食堂のおばちゃんにも強い誇りを感じます。

 

この映画を観終わって深い感動を覚えるのはそうした思いへの共感があるからです。