2004年製作アニメーション映画。キャラクターはトム・ハンクスをはじめ俳優たちのモーションキャプチャによって描写されています。
この類のアニメは日本では馴染みにくいのが常識になっています。そのためもあってか今まで評判を聞いたこともなく私自身最初に絵面を見て「好きになれるのか?」「(日本で)観たいと思う人がいるのか?」とすら感じたのですが少し観続けていると惹きこまれて帰れなくなってしまいました。
それこそ日本の作品を観ていると次がどうなるか解ってしまう感が強くて観る気が失せてしまうのですが本作品はそうしたうんざりがまったく起きずいったい何が起きるのかいったいなぜこんなことが起きるのか、唖然とするばかりなのでした。
ネタバレしますのでご注意を。
後で知ったのですが本作を作ったのはロバート・ゼメキス監督だったのですね。
ゼメキス監督は私には好き嫌いの高低が激しすぎるのですがこれに関しては夢中になりすぎるほどでした。
ていうか嫌いなのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズだけなのですがあまりにも大人気作品なので。
はっきり言って本作品『ポーラー・エクスプレス』には麻薬が含まれています。
何か観ずにはいられない、何度も観たくなるなにかです。
小さなお子さんたちは特にその麻薬が効いてしまうらしいのですが私にもその作用は強かったようです。
もしかしたらしばらくこの映画を観続けてしまうかもしれません。
最初は「如何に」と思った絵柄が今ではもう他では考えられません。
日本でも小さな子供たちは洗脳が少ないのでこのアニメ映画がすんなり受け入れられてしまうのでしょう。
日本アニメに脳を冒された大人でも一度観て好きになってしまうと関係なくなります。
クリスマスものだということも重要かもしれません。
私世代は今より以上にクリスマスシーズンの独特の雰囲気に憧れとノスタルジーを覚えるように思えます。
このアニメはまさにそこを突いてくるのです。
特に女の子が先導して路地をさまよう時どこからかクリスマスソングがかかっている場面はあまりにも幻想的で胸が締め付けられそうでした。
テレビで映画を観ているだけでこんな気持ちになることが他にあるでしょうか。
あの独特の色彩、遠く聞こえる音楽、子どもたち、雪の夜、どこか解らない不安感、部屋の中の電灯色、繰り返しなるレコード、そして謎のサンタ本部。
いえ、この変な気持ちは映画が始まった時から感じていました。
北極へ向かうという不思議な暴走機関車。親切なのか怖いのかよくわからない車掌。突然乗りあうことになる見知らぬ子どもたち。
そして列車の屋根の上でくつろぐ謎のホーボー。
ずっと夢を見ているような不思議な映画です。
実際夢だったのかもしれない、という物語なのですがこの陶酔感はいったいなんなのでしょう。
そういえば私は好きではなかったあの『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にも今思えば同じ陶酔感がありました。
そして大好きな『コンタクト』も『フォレスト・ガンプ』にもこの得体のしれない陶酔感があったのは確かです。
夢を見ているような奇妙な感覚です。
今更ながらロバート・ゼメキスという監督は観る人を陶酔の世界に引きずり込んでしまう魔法使いのような人なのです。
『BTF』を何度も観ずにおられない、という男性もいるしこの映画を毎日観続けているという幼児もいるし私も『コンタクト』を何度も観ました。
ゼメキス、恐ろしい。