あけましておめでとうございます。
2025年が良い年でありますように!
いつも通りやっていきます。
ネタバレします。
第十七章「脱出行」
シュマリ、十兵衛(土方歳三)太財弥十、なつめの四人は地震による落盤で炭坑内に閉じ込められてしまうがシュマリの執念で脱出を試みる。
が、なつめは途中で死んでしまい弥十は外へ出られたものの出た途端に恨みを持つ男によって殺されてしまう。
弥七が経営する炭鉱は破壊されてしまった。
弥七はシュマリと十兵衛の名簿を死んでしまったことにしてやると言って解放した。
シュマリは「死んでしまった人間には金は要らない」と言って残りの金のありかを弥七に教える。
弥七の炭鉱はこれで復活した。
シュマリと十兵衛はポン・ションと峯と赤ん坊の弥三郎の家へと向かう。
ポン・ションはシュマリに「母ちゃんをもっと大切にしろ」と言って怒り出す。
シュマリは「亭主を訴えるようなかかあは許せねえ。しかし子どもを生んだなら帳消しだ」と答えた。
(なんなんだこいつ)
アイヌの長老クーチンコロは和人にい住む場所を奪われシュマリを訪ねてきた。
しばらくこの土地に村を追われた者たちを住まわせてくれないかというのだ。
シュマリは「あんたがたの土地じゃないか」と承諾した。
これを聞いた峯は反対するがシュマリが翻るはずもなかった。
赤ん坊の名が弥三郎と聞いてシュマリは「ション・タク(ウンコの固まり)に変えろ」という。しかし峯はきかなかった。
十兵衛は近くに自分で家を建て峯は十兵衛も招いてご馳走を出す。
幸福な時間が訪れるが、シュマリはポン・ションに隠していた酒を出す際に包み紙の新聞紙に「華本男爵は大月某という未亡人に私有地を提供し農園経営を委託した」という記事を見つけ「妙のことだ」と胸騒ぎがする。
十兵衛はそんなシュマリの様子に気づき「余計なことだが、妙さんのことでお峯山を煩わせるな」と忠告する。
シュマリはそんな言葉を無視した。そしてポン・ションから「疫病神だといわれる乱れ髪という馬には近づかない方が良い」と言われるのにその馬を探して捕まえようと試みるのだった。
「乱れ髪」は美しい牝馬だったがなぜか孤立している珍しい存在だった。
シュマリは見つけると捕獲しようとして引きずりまわされた。
ポン・ションがシュマリに駆け寄るとそのそばにはすでに捕まえて繋がれた乱れ髪がいた。
シュマリが乱れ髪を捕まえて飼いならし始めた途端、アイヌたちが森に住み始めそれを追いかけるように和人たちがアイヌを殺しにきた。
「やはり乱れ髪は疫病神だ」
シュマリは峯と赤ん坊を弥七のもとに避難させる。
シュマリは十兵衛と決戦の決意をする。
この戦いの場面は手塚マンガの中でも屈指のアクションシーンではないか。
乱れ髪の狂った走りと恐れを知らないシュマリの右手が次々と人を殺していく。
最期までシュマリと共に行くといった十兵衛は言葉通りにここで死んでしまう。
そこへ駆けつけてきた弥七。
男たちの戦いの場だ。
そしてシュマリはポン・ションに「悔しければ勉強してこの仇を討て」と言い渡す。
第二十三章「華本男爵」
シュマリの言葉により先の章から7・8年が経過したようだ。
シュマリは牧場をあきらめ毛皮を大量に抱えて売り歩く仕事をしている。
暴漢に襲われた華本男爵を偶然救けその礼をしたいと自宅に招かれる。
そこで華本男爵の妻としての妙がシュマリを迎えたのであった。
「なにもかも手遅れだ」とシュマリは華本男爵の屋敷を出る。
そして出会ったのがすっかり大きくなって農学校で学んでいるポン・ションだった。
シュマリは相変わらずたった一人森の中で暮らしている。もうすぐ五十歳になるらしい。
そんなシュマリを訪ねてきた屯田兵から「華本男爵が危険な状況にある」と聞く。
それを聞いたシュマリは妙が心配になりいたたまれなくなる。その頭から妙が消えることはなかった。
「華本男爵から妙を取り戻す」
シュマリは突如生き返ったかのように行動を始めた。
土方歳三のキャラをこんな風に描く人は(少なくとも現在では)いないだろうなあ。
誰かに似せているのか、妙にリアルな不思議なキャラクターである。(すぐわからないのは変なのか)
たぶん近藤勇を失った土方歳三は自暴自棄になっていたがシュマリと出会って近藤を思い出す感じだったのではないかという手塚治虫の二次創作だと思える。最初は「???」だったけど読み込んでみるとなかなか良い。次第にじわっとしてきた。
大きくなったポン・ション。本作の希望の星よ。しかしアイヌの仇討はできなかったよなあ。
そして「妙」
つまり妙こそがシュマリの乱れ髪、ってことなんだよね。しかしそれはシュマリの思い込みだろう。いい加減にしろよ。ポン・ションのいうとおりだから。