シーズン1第26話まで鑑賞。
世界観に慣れてきましたがそうなると何故この世界観?となってきますね。
ネタバレしますのでご注意を。
この世界観どうしても『進撃の巨人』との類似点を感じてしまいますが『進撃』の世界がきっちりリアル(っていうのも変ですが巨人いるし)なのと比較してどうしてもリアル世界を感じられないのはやっぱり10代ばかりが戦っているからですよね。
『進撃』が軍隊としてリアルなのはやっぱり上層部になるほど高年齢で全体的にも年齢層が様々なのに『ワートリ』になるといきなりほとんどが10代でところどころこれじゃまずいかな的に年齢高めが出てくるけどそちらにはほとんど女性が配置されないし全体的に若者しか出てこない。
しかしこれを描写力不足だとか設定が甘いとかはもう思えないのですよ。
結局『ワールドトリガー』はじめ若者ばかりが登場して戦闘する(マンガ)作品というのは「本当の戦闘・戦争」を描写しているのではなく若者たちのリアル世界がそういった戦いなのだという比喩表現でしかないのです。だから中高年は出てこない。出てこない、ってことは中高年は仲間でも相談相手でもないし頼りにならないししてもいない、ということなのですね。
『エヴァンゲリオン』が出てきた時、私はなんか反感があって観なかったのですが巷で「難しいアニメ」「意味不明の作品」と騒がれててその後観たのですが観た途端意味不明どころか凄く良く理解できました。アレは全部主人公碇シンジの内的宇宙だけなのですから。
それまでのアニメ例えばガンダムは外的宇宙です。
空想の中で「もしこういうことになったら」という社会的SFですが『エヴァ』以降は主人公すなわち作者の内的宇宙をどれだけ描写できるか、という世界になってしまいました。
だから『ワートリ』や日本の多くのマンガ・アニメに若者しか出ないのは作者たちが年寄りには興味がなくつながりもないからです。
『進撃』は奇跡的なほど大きな世界観を持っていますがそれは本当に希少なことです。たぶん作者諌山氏がそれだけの許容量を持っているのでしょう。
しかしその他の若い作家たちが年寄りを拒絶しているからといって年寄りが文句を言う筋合いはない。逆に現在社会がそれだけ若者たちを抑圧し拒絶し排除してきた結果がこれなのです。
彼らには年よりに魅力がまったく感じられないのです。「かっこいいなあ」というモデルがまったくいないのにどうして描写ができるでしょうか。
年よりの女性が皆無なのは描きたくなるようなそういう女性がいないから、というだけのことでしょう。
まあ、まだほんの最初なのでこれから出てくるかもですが。
(あまり期待できない)
若者たちは年配者に憧れも好意も持てない。
仲間は同じ世代ばかりに限られていてその中で命懸けで戦って生き抜くしかない、というのが『ワールドトリガー』世界なのですね。
女の子たちも一緒になって戦っているのも現在を感じさせます。
ちかちゃんのような小さな女子も自分の精神力を最大にして銃をぶっ放せねば生きられない世界なわけです。
以前と比べギャグマンガが極端になくなったとも聞きます。もう笑う余裕さえなくなってきたのです。
同じ世代の若者たちが集まってわちゃわちゃしている、そんな世界だけが彼らの拠り所なのだと思わされながら鑑賞しています。