ガエル記

散策

『三国志』横山光輝 第十四巻

呂布と珍しく女の子。もしかしたら唯一なのか?

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

ここは曹操劉備が手を組んでいる貴重な時期ですよ。

 

陳珪父子の周到な企みは着実に進んでいく。

欺かれた呂布軍は味方同士で闇の中出会い同士討ちとなってしまう。気づいた時は手遅れ、被害は惨憺たるものだった。

仕方なく呂布は帰城した。が、開門されることはなく呂布の軍には夥しい矢が射かけられる。

怒鳴りつける呂布に陳珪は語る。

「この城の主は劉備玄徳殿よ」と。

この後の陳珪老人の話に涙があふれる。

徐州の太守・陶謙曹操の父を歓待し財宝を贈り護衛をつけて見送ったのだがこの護衛たちが黄巾賊くずれの男たちだったため金目当てに曹操の父親を殺してしまった、というのは読者の私たちは知っている。

その後怒った曹操が百万の兵を徐州に差し向けた。陶謙はこの成り行きに自害してお詫びすると決心したが陳珪たち部下は潔く戦って死ぬことを提言した。

そして各地に救援を求めたが誰も兵を寄こすものはなかった。

そんな時公孫瓚に自ら志願して救援に出向いたことも覚えている。

陳珪老人、この時きっと涙したのだと思いこちらも涙溢れる(勝手に想像して)

そして呂布の表情。この男は劉備が志願した義の精神など一ミリも持たない奴だ。

陳珪老人には腕力はないが知能でこの城を必ず取り返して玄徳様にお返しすると考えたのだなとまた泣けてきました。

 

そして息子の陳登も負けていませんぞ。

帰城できなかった呂布が行くのは小沛の城だと先回りして

あっはっは。この顔を見ただけでも溜飲が下がったわ。

きっと横山先生もこの顔を描きたいがために描き続けられたのではなかろうか。

ごめん、特に意味はない。関羽愛でたくて貼り付けました。

でもお馬さん頑張ったけど赤兎馬には追い付けなかったよ。

呂布め~~~。

 

しかしその後曹操は宴会を開いて皆を労った。もちろん隣の席は劉備ですね。

かたや

私、てっきり張飛はあれ以来断酒したとばかり思い込んでましたがそんな玉じゃなったっすね。

ここでも仲良く並んでるのが微笑ましい。

兄弟愛に泣きそう。表情がすごく良い。劉備関羽張飛もなんていい顔なのだ。

 

さて曹操劉備軍の結束は固く曹操の計略も張り巡らされすばらしい。

一方呂布軍は小さな城に立てこもざるを得なくなり頼みの綱は袁術の援軍だった。しかしその援軍を頼むには呂布の娘を将来の花嫁として袁術の元へ送り届けなければ信用は出来ない、と返される。呂布は幼き娘を背負って曹操軍の中を突破しなければならなくなる。

が、呂布はこともあろうに関羽に呼び止められてしまう。

夜闇の中、怯える娘を背にして呂布は飛んでくる矢を薙ぎ払って進み続けるがついに関羽に見つけられてしまう。

この顔なんよ。

なんか他の人とまったくちがわない?何この美貌。信じられないんだけど。目の下のしわまで美しい。

雪も似合っている。

さすがの呂布も娘を背負っていては戦えずさりとてこのままでは娘が無事ではいられなくなる。呂布は致し方なく城へ戻るしかなかった。

 

娘を送って援軍を頼むこともできず呂布は酒浸りになる。

曹操軍もまた雪に苦しめられていた。このままでは兵士たちが凍死してしまう。

呂布の立てこもる城が落ちないのは取り巻いている川のせいだと気づき曹操軍は川を堰き止め城を水浸しにする作戦に出た。

酒浸りの呂布は自分の顔を見て疲労による衰えを感じた。呂布は慌てて家来に断酒を命じる。

しかし脱走者が出て兵たちの無気力さも見た侯成は部下に猪を捕えて料理させ酒を飲んで力をつけろと兵士たちを労う。

呂布にも猪と酒を贈ろうとしたのだがこれが呂布の逆鱗に触れた。

断酒を破った者は首をはねると言ったはずだと怒り狂った。

他の部下に止められたものの怒りが収まらない呂布は侯成を百叩きの刑に処す。

兵士や将軍のために行ったことを罵られ刑罰を与えられた屈辱と虚しさに侯成は涙を流す。呂布は女たちの言いなりになるが部下たちには何の恩も与えていないと恨むのだ。

敵軍からも一目置かれていた大将・侯成は仲間とともに曹操軍に降りることを決意する。

赤兎馬を連れ出し侯成は曹操に会い迎えられたのだった。

 

曹操軍は侯成との計略で動いた。

攻撃を仕掛け呂布を奮闘させた後疲労して休む呂布を生け捕ったのだ。

用心して入城しない曹操軍に呂布が愛用する槍を投げおろした。呂布が生け捕りになったと確信した曹操は総攻撃をかける。

城門は開かれ城はすぐさまに落ちた。

捕らえられた呂布曹操の眼前に跪かされる。

呂布は裏切者の侯成たちを見つけ「恩を忘れたか」と罵ったが侯成は「さような恩は受けてはおりませぬ」とだけ返す。

呂布はなおも曹操に「わしを部下として使ってみる気はないか」と問いかける。

曹操は傍らの劉備にどう思うか問うた。

劉備は「呂布は義父を殺し董卓も暗殺した」と答える。

曹操は「首をはねい」と命令した。

 

呂布は裏切りの人生だった。そして最期は家来の裏切りによってその幕を閉じたのだ。

 

横山光輝氏は「義」が好きで最も尊ばれ物語を描かれていると思うのですが呂布は真逆に不義の男。

この呂布殺しの物語はどの段落より徹底して長く執拗だったのではないでしょうか。「義」を持たない男がどんなにぶざまに醜いものかと描写されたように感じました。

どんなに強くても「義」を持たない男は男ではないし男から好かれることはない、という「呂布篇」だったと思うのです。

そしてまた劉備玄徳のように「義」に生きる男こそ最も素晴らしい男なのだと描かれています。そして関羽のような「義の男」に信奉され命を捧げられるのだと。

 

しかしそのいっぽうで横山先生、曹操のような奸雄に惹かれてもいるわけでw

私もその気持ちわかるのですがw

劉備曹操、どちらも魅力あるのですよねw

じゃ呂布曹操の違いとは。

それは即答。

曹操は敵には残酷だけど気に入った部下には愛情深い。

呂布は可愛がるのは女ばかりで男の部下を愛さなかった、ということなのでしょう。

すみません。

関羽の顔保存したかっただけです。

これが義の男の顔よ。