ガエル記

散策

『三国志』横山光輝 第二十二巻

関羽表紙絵2・5回目。後ろに人影がありますがこれはさすがにひとりと数えてよいでしょう。

表紙絵は関羽ですが小見出しは「初陣孔明

そうこれから諸葛亮の怒涛の知恵攻撃が始まります。読み始めるとあまりの面白さに時間のたつのを忘れてしまう。諸葛亮の智読み進めていきましょうか。

 

まずは荊州劉表の長男・劉琦のお悩みを解決する孔明

政権争いで自分の命を狙われていると嘆く劉琦に孔明春秋時代の晋の献公の二人の子どもの話だった。

それを聞いた劉琦は禍からは離れるのが吉と理解し自ら辺境の地の守りに赴くことを志願する。

 

この頃曹操は南方攻略のための作戦を連日練っていた。

曹操の耳にまたもや玄徳の「気になる噂」が入ってくる。夏侯惇は早いうちに叩き潰そうと曹操に進言するが反論も出る。これに相槌を打ったのが

徐庶であった。彼は曹操シンクタンクの一員になっていた。徐庶孔明の恐ろしさを説いた。

曹操はなぜこんなにも美貌なのか、よくわからない。

しかし曹操夏侯惇の男気を買って玄徳を滅ぼす方向へ進む。

ってどっちにしても玄徳をやっつけたいんだよな。

 

戻って新野では。

四六時中一緒にいて話し合っている玄徳と諸葛亮の姿に

いや関羽そういうおまえはこの前まで自分が孔明の立場だったの忘れたか。曹操の恋心を気付いてなかったとは言わせない。

てかまあ自分はなびかなかったのに殿は・・・というジェラシーが湧くのだな。

いつも張飛を𠮟りつける関羽はこの時は自分から

おいおい関羽~やっぱりジェラシーでよくわからなくなっている。

きっぱりとジェラシーをはねつける玄徳。

はらわた煮えくりかえる関羽。珍しい表情。

 

ここで孔明の知力を知らしめる好機が到来。といっても曹操軍十万が進撃と聞いてさすがに玄徳焦る。

愛される玄徳辛い立場w

玄徳のこの時の袖が可愛くてw気持ちが表れてる。

孔明曹操軍への心配はご無用。問題は内にありますと説く。

曹操軍への作戦はあるがそれを実行する関羽張飛をはじめとした諸侯にこそ問題があると孔明は見破っている。

が、孔明はこんな時もたじろがない。

関羽張飛趙雲にも毅然とした態度で次々に作戦命令を下す。しかし張飛はでは軍師自身はどこで戦われる、と問う。

「私はここで守る」と言う孔明の答えに張飛は大笑。「お前は自分の身を守る天才であろう」と怒鳴りつける。

孔明はここで玄徳から預かった剣と印を出し「命に背くものは斬る」と張飛に言い放つ。

ここまで黙っていた関羽も玄徳の剣と印に逆らうことはできないと感じ張飛を押し留めた。「今回だけは孔明の刑が当たるかどうか試みに従ってみようではないか」

張飛もこれには賛同した。

この構図いいね。

 

こうして関羽たち孔明の才能を訝しむ者たちが戦場へと赴いたのだ。

 

いいねえ。わくわくするねえ。

こういうふり最高です。

 

果たして。

 

夏侯惇軍は次々と襲い来る孔明の作戦にまんまとはまっていく。

まずは趙雲の誘いで深入りし逃げる敵を追い詰め山道に入った。

兵法の初歩「狭い道に草木の茂れるは火計あり」を思い出した時はすでに遅く周囲は火に包まれる。逃げ出す夏侯惇軍にさらに火の玉が落とされさらには関羽軍が迫りくる。

援軍が向かおうとしたのを張飛が待ち構え討つ。

曹操軍が進んだ博望坡は一瞬にして阿鼻叫喚の渦と化した。

 

曹操軍の累々たる死者の前で関羽張飛孔明の知力を思い知らされていた。

これほど見事にいくとは思わなかったのだ。

そこへ軍師孔明が馬車に乗ってやってきた。

関羽張飛は下馬し跪いて孔明に勝利の報告をした。(こういうところが二人の良い所なのだよ)

こう答える孔明もまた立派。いいねえ。

関羽関平。父と(養)子。良い感じ。

 

関羽張飛たちは勝利の美酒に酔った。

が、玄徳と二人きりで酒を酌み交わす孔明は厳しい言葉を向けた。

「次は曹操自身が乗り出してくる。この城ではひとたまりもありますまい」

孔明はここでまたも玄徳に荊州の城を継ぐことを勧める。

劉表は危篤状態。ここで玄徳が荊州の城の主にならなけらば後日必ず後悔すると。

しかし玄徳はここでも「恩人への義に欠ける行いはできない」と突っぱねる。

孔明は「小さな感情は捨て大義に生きねばなりますまい」「曹操の大軍が攻めてきたらなんとなさいます」と言うが再度玄徳は「いかなる禍に遭おうとも恩知らずと罵られるよりはましである」と固執する。

いったい玄徳のこのこだわりは何なのだろう。

時代のせいというより(そうじゃない人はこの時代もいっぱいいるのだから)そういう性質としか言いようがないんだな。

それに対するこの孔明の表情・・・如何に?

孔明の計略としては困るのだけどそうした玄徳に惹かれているのもまた事実なのだろ

う。

 

そして曹操はついに南方攻略へと自ら乗り込む号令を下した。

 

時同じくして劉表は危篤状態となり玄徳に跡継ぎを頼むがまたもや玄徳は受け付けない。仕方なく劉表は長男劉琦を後継者にと遺言をしたため玄徳に後ろ盾を頼むのだった。

しかしこれを聞いた蔡瑁は妹が産んだ次男坊を皇帝とするよう企てを進めた。

帰ってきた劉琦を追い返し劉表が死ぬや偽の遺言状を作り発表した。

苦言を呈した大臣を殺め劉琮を新国王として自らが実権を握ったのだ。

そして曹操軍へ和睦の使者を送ったのだった。

 

これを知った玄徳は驚く。玄徳軍は曹操軍を破り荊州を守らんと決意した矢先に荊州王が曹操と和睦してしまったのだ。というか蔡瑁が。

伊籍が玄徳を訪問し荊州城内の派閥闘争を相談する。そして玄徳に蔡瑁を討ちあなたが国王となってくださいと提言したのだ。孔明もこれに賛成するがまたも玄徳は「私にはできぬ」と拒む。

じれったい。

繰り返し孔明は玄徳に大義を考えてください。荊州を取ってはじめて曹操と互角に戦えるのです。曹操荊州を取られてしまえば我々はどうしようもなくなると訴える。

しかし玄徳は「どうしてもできない」とつぶやき「なあ孔明。この上は新野を捨てて樊城へ行こう」と無意味なことを提案するのだった。

あきれ果てる孔明

でも孔明のすごいとこはこうなってもまだ別の攻略を考え出すところ、ではあるが大変だなあとほほ。

 

曹操軍が迫ってきた報告を受け孔明は新しい戦略を授けていく。

趙雲頼もしい~~

孔明が授けた戦略で曹操軍(またも曹仁さんなんですが可哀そう)は奇妙な旗振りの後の謎の酒席を見せられ、ついには火攻め水攻めで数万の兵を雑魚のように失ってしまったのであった。

 

ひえええ。孔明っていったいなんなの。

いや怖ろしい。

ううむ。これって玄徳が駄々っ子だからこそ孔明の才能が際立っているってことお?

しょーもない社長だからこそ敏腕管理職の技が際立つ?

 

孔明だけではなく他のみんなも玄徳のためによくよく我慢してるよな。

まあもちろん普段の玄徳が良い人だからこそ、なんだろうけど。

孔明の苦労は絶えない。