ガエル記

散策

『月に咲く花の如く』その16

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とうとう最終話まで観てしまいました。ほんとうにこんなに面白い連続ドラマは滅多にあるものではないと思います。

とても興味がある時代だったせいもありますがなんといってもヒロイン・周瑩の魅力にほれ込んでしまいました。

周瑩は実在の女性だったということで物語も本人の逸話を元にしてつくられているようです。そして実際に女性の腕で呉家を繫栄させ数々の福祉事業も行ったというのも事実ということなど凄いとしか言えません。

最近になって思うのは日本でもここまではなくても様々な事業家や人助けをした女性の実話はあるのではないかということです。しかしそうした「男性以上に活躍した女性の話」は取り上げられずにいるだけではないのかと。

NHKの朝ドラというのはヒロインを活躍させるドラマが多いのですがいまいち「これぞ」という感じにはならない作りになっていると思っています。

これからもっと女性を描いた作品が出てきてくれることを願っています。

 

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

ほんとうについに最後になって悲しいような気持ちです。

72話から最終話の74話まで。

普通なら大詰め、と言えそうですが本作品の主体は71話までではないでしょうか。

呉家東院の仇である杜明礼と沈四海が失脚して死亡。

周瑩はますます呉家東院を繁栄させていきます。

なので72話から最終話までの3話は後日談、の感があります。

 

沈家の生き残りでお尋ね者でもある沈星移は周瑩と結ばれることはあきらめ自分が達成できなかった仕事である「女子学校の設立」を彼女に頼んで去っていきます。

ところが女子が学問をするのははしたないとされる風潮の中肝心の女子生徒を集めるのが難しくここでも周瑩は知恵を絞って女子を引き入れていくのでした。

 

趙白石はついに周瑩に結婚を申し込むことを決意しますが当の周瑩はいまいちその気になれません。千紅に「自分で決めたら良い」と言われ女子学校設立祝い式典の合間に「結婚はしない」という返事をするのでした。

(普通のヒロインドラマでこれはないでしょうな)

 

すっかり呉家の女主人の風格が身についた周瑩は32歳になっています。呉聘と死別してから14年経ってしまったのです。

相変わらず我が道を行く周瑩はお役人の不興を買ってしまいなんと逗留中の西太后と光緒帝の滞在に呉家東院を決められてしまいます。

趙白石は大慌てしますが周瑩は軽く受諾して西太后と光緒帝のお召しを受けます。

ここでも明朗な周瑩の応対が気に入られて彼女は爵位を受けることになります。

 

が、その夜革命を考えている沈星移と呉沢ふたりが暗殺を決意して忍び込んでくるのでした。

 

なんとも奇妙な最期ではありました。しかし当然の結末でもありました。

 

沈星移は呉沢の代わりに殺害されてしまいます。呉沢は最後までなんだか自分勝手でどこかへ出奔。

結局最後まで周瑩のそばにいたのはやはり趙白石だけでした。

養子である懐先が学業のためか船出する場面で物語は終わります。彼も日本で勉強するのでしょうか。

 

最後まで真面目の人であった趙白石、そしてやはり最後まで落ち着くことのできない奔放な沈星移だったのです。

 

大物仇役の群王は西太后に処罰される、という逸話のみで終わります。

政治を変える、世界を変える、というようなことではなく周瑩は自分ができる形で周辺を変えていきました。

女性であり恋愛もし、子育てもし、事業経営をし、福祉事業をし、人を愛し愛され慕われている姿に感動します。

 

今までいろいろな作品を観てきましたが周瑩というヒロインは私にとって重要な人物となりました。