ガエル記

散策

『月に咲く花の如く』その14

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怒涛の展開で物凄く途中で切るのが困難でした。

ここから歴史的な物語になっていくのですね。

66話まで鑑賞。

 

ネタバレですのでご注意を。

 

 

周瑩は再び投獄され救助に走った沈星移も謀略で捕らえられ拷問を受ける。

沈家は莫大な金額を支払い、呉家も周瑩の命を救うために財産を差し出す覚悟を決める。趙白石は自ら杜明礼を脅迫して群王載漪に直接会って周瑩の除名嘆願を申し出る。

その豪胆さに群王も感心し周瑩を放免する代わりに趙白石に手下となって働くことを求めるのだった。

 

かくして生き延び東院へ戻った周瑩が趙白石に連れられ目にしたのは沈星移の墓だった。彼は獄中死んでしまったのだ。

沈星移の愛が真実だと知り夫婦となることを決意した周瑩に耐えがたい衝撃だった。

 

沈星移の死があったために周瑩は呉漪をゆるすことができない。

趙白石もまた呉漪への態度をいっそう硬化させていたが雪の中で切々と趙白石への思いを訴える呉漪の言葉に心が和らぐ。

 

確かに呉漪の行為はあまりにも軽率で恐ろしい展開となってしまうのだけど悪いのは趙白石の師匠である張夫妻なのだから呉漪は不運だったとしかいいようがありません。

大体あの状況なら呉漪に頼まなくともごり押しの家宅捜索で「これが出てきた」と嘘をいうだけでよかったんではないか?呉漪があの時決行しなくても同じ結果になったように思えるのですが。

不運の呉漪は夫からも父親からもいつもはおおらかな周瑩にも(いくらなんでもというのはあるけど)冷酷な態度で拒絶され心身を病んでしまいます。

呉漪の思いに打たれて愛情を芽生えさせた趙白石との間に子供を宿しますが病みつかれた呉漪は母子ともどもに亡くなってしまうのです。

 

呉漪の死に周瑩は自分の強情を後悔するのでした。

さすがに呉漪まで死なせなくてもなあ、と思います。

周瑩は自分が呉家に来てからどんどん人が亡くなってしまう疫病神だと自責し皆から否定されますが、ちょっとここにきて「そうかもな」とちょい思いました。

 

(ところで以前の記事で呉漪は趙白石との間に何もなかったのに騙した、と書いていたのですが「何かはあった」のでした!さすがに何もないのに騙すのは難しいか)

 

沈星移の死を知った周瑩は魂が抜けたような状態でした。

そして自分の周りで次々と死が訪れることを悲観し呉家を出ていくと言い出します。

驚いた義母は手立てはないかと千紅を頼ります。「周瑩が夢中になる男が必要だ」と答える千紅に呆れる義母でしたが「その男は子供でもいい」という話になり義母は周瑩に「跡取りを決めてくれたら出て行ってもいい」と申し出るのでした。

 

これは思いもかけない展開でした。

呉家西院・中院の男児の中から一番変わり者で幼い玉成を周瑩は選びます。

いつも出ていくことばかり考えて他の者と違う発想をするその子に周瑩は自分自身そして周老四、わがまま放題な態度に沈星移も重ねたのです。

かつて呉聘が男児が生まれたら「懐先」と名付けると言っていたため周瑩はその子の名を「懐先」と改め養子とします。

きかん気でいたずらな懐先を養育することに夢中になった周瑩は呉家から出ていくのを忘れてしまうのでした。

そうえいば周瑩自身が養子でもあります。

小さな子供を育てるのに夢中になる、という手段は上手いと思いました。

 

その一方社会は変化しています。

「変法」という思想が社会変革を起こそうとしていました。

皇帝(光緒帝)は次々と詔を出して世の中を急激に変えようとしていたのです。

欽差(きんさ)大臣となった呉沢はこの命を受けて猛烈な活動を続け家族や親友である趙白石までにも攻撃を加えていきます。

呉沢の変わりように父の呉蔚武は発作を起こし死亡してしまうのですが呉沢は変法活動をやめようとはしませんでした。

 

そんな中で康卓文という日本帰りの男が懐先をはじめ子供たちに「変法」を教えているのを知った周瑩はその教室を見に行きます。

演説を続けるその男「康卓文」は死んでしまったはずの沈星移でした。

 

沈星移の遺体の場面はなかったので生きているのではないかという期待はあったもののここでも奇妙な展開になります。

「愛している」と抱き着く周瑩に沈星移は「俺はもうそんな気持ちはない」と以前のような軽薄な笑いを見せるのでした。

侮辱の言葉を聞かせられた周瑩は怒り背を向けました。

残った沈星移はその場に頽れました。

 

果たして沈星移は本当に心変わりをしたのか、という不安はそれほど長くは続かず再会した趙白石と「周瑩を守り抜く」という言葉を交わします。

(これはやっぱ男らしくてかっこいい)

沈星移は父から「もしお前が再び周瑩と関わっていくのなら今度こそは呉家を没落させ周瑩を打ち首にするよう群王に頼む」と言われ周瑩への気持ちを断ったのでした。

そして沈星移は長期の学問を通して人々を変えようとしている決意を趙白石に打ち明ける。

趙白石もまた以前のような直情型ではない方法で社会改革を行おうと決意していたのでした。

 

つまりこの人格になるためにふたりは紆余曲折を経てきたわけです。

その共通点が周瑩でもある、というこの設定物語なのですね。

 

まさか沈星移が学問に生き、趙白石が謀略家になろうとは。

しかも物語はこれからです。