ガエル記

散策

『機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096』古橋一浩

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そしてここへ。

一回二回?観てはいるのですが再々鑑賞。

安彦良和キャラクターデザイン原案もあってファースト派にはやはり嬉しい一作です。

 

『スターウオーズ』が様々な賛否を呼ぶように『ガンダム』シリーズもそうした議論が絶えない作品です。ファースト世代はファーストの幻影から逃れられない派が大半でしょう。私自身そうで長い間後発の作品を観ていなかったのですがなにかのきっかけで観始めてみるとやはり見ごたえがあり追いかけなかったことを後悔しました。とはいえしばらくは追いかけてはいたのですが文字通り「ファーストには劣る」感が生じてしまったわけです。実際はそうではなくそれはまさに『スターウォーズ』シリーズに対する感情と同じです。

 

観るべきだったと思えたのはやはりガンダムシリーズジェンダー感が他の日本製アニメとは大きく異なっていることにも由来しています。

それは非常に大きな事実です。

暴力表現の一つに「女性の描き方」があり男性社会、男性型経済の中での女性表現は女性にとって大きな暴力となります。

これは現在でも過去形ではなくむしろ酷くなっている部分もあるのです。

その中で「ガンダムシリーズ」のジェンダー観は極めてストレスが少ないものなのです。

 

例えば本作で重要なヒロインであるオードリー=ミネバの描写に端的に表れています。

かっちりとまとめられたショートヘア、感情を表さず愛想笑いをしない、常に私的なことより使命を考えている知性、露出のない服装。そして運命に巻き込まれていく姫君ではなく自分で道を見つけだしていくヒロインとして描かれていることです。

「君を守りたい」というバナージ、リディをきっぱりと断る潔さ、それでも後を追いかけてきたバナージに強い信頼を抱く強さ、一段特別な超能力をひけらかすのでもなくひたむきに進んでいく姿は他ではあまり見られないガンダムヒロインの真髄です。

 

貴族ヒロインと対照的なのがマリーダです。いや一途さはより強いものですがその生涯は悲しいものでした。

ガンダムシリーズはこうした過酷な運命に生きる女性が多く登場します。

しかし女性の描き方という観点では納得のいくものなのです。

例えば「男性が女性を守る」というような描写が真実なのかどうか。

 

言葉足らずの説明になってしまいますがガンダムシリーズはそうした男性優越感の嘘や誤魔化しは排除されていると私は思っています。