ガエル記

散策

『悪魔のいけにえ 公開40周年記念版』トビー・フーパー

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今となっては『テキサスチェンソーの虐殺』のほうが良さそうに思えます。

1975年日本公開なので当時でも観れたはずですがさすがに怖そう過ぎて未見のままになり後年「破格の名作」という称号がつけられてから恐々観ました。

確かに評価される出来栄えだと思いました。

今回アマゾンプライムで「公開40周年記念版」と銘打って配信されもう間もなく終了なので未見の方はお早めに。

とはいえ私としては一度観たしホラー鑑賞の気分ではなかったのですが何も覚えていないのに気づいて再鑑賞してみました。

確かに凄い内容だと感心しましたがまた忘れてしまいそうな気もします。なんだろう、評価はできるのですが興味がないのかもしれません。

 

ネタバレしますのでご注意を。

申し分ない優れた脚本です。殺人の部分を見せないなどの演出も品格がありますし男女の描き方も申し分ないのですが大好きにはなれないのは登場人物の誰にも共感共鳴させられないからですね。

そこがクールに観れていいのかもしれませんしドキュメンタリー的だと言われる所以なのでしょう。

例えば私は『エクソシスト』が大好きですがそれは少女リーガンにも果敢に戦う神父にも共感できるからでした。

そうしたウェットなホラーとは一線を画したのは本作が突き放したクールさがあるからこそでそこに魅力があるのも理解はできるのですがやはり再鑑賞しても「よくできていますね」という採点のみになってしまうわけです。しかしそこは好みなのでしょう。

昔だったらこのクールさにもっと惹かれたかもですが。

 

しかしこの滅茶苦茶狂気の映画を

 

そのプロットは後に数多くのフォロワーを生み、マスターフィルムがその描写の芸術性のためにニューヨーク近代美術館に永久保存されることとなった。( wikiより抜粋)

 

としてしまうのが凄いと感心します。

確かに凄いですが芸術とまで認めるとは。

 

加害者側に思いきり同情的なマイナス面があるのは現在では無視できないように思えます。

尚且つ被害者側にも車椅子に乗った男性がやや気の毒な描写がされているのも現在ではできないのではないでしょうか。

 

現在で共感されるのはやはりチェンソーマンのほうなのでしょうね。