ガエル記

散策

『鉄甲軍団』横山光輝 「闇斬り」「かげろう伝」「隻影」「鉄甲軍団」

昨日のシリーズは終わってここからはいつもの横山美形シリーズ。

横山先生はやっぱり美形の方が好きだったのかな・・・基本的には。

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

「闇斬り」(1976年月間少年ジャンプ)

今までの作品の後だからか主人公の左近くんがまばゆいほど美しい。

そしてやはり美形男子は心もまっすぐ、と描かれていく。

伊賀、葉隠れの里(葉隠れは佐賀なんじゃ?)でひとりの忍者がお頭を暗殺する事件が起きる。

が、左近はお頭の受けた傷を見て疑惑を持った。これは別の忍者の仕業だと。左近は裏切者たちを殺すが自らも傷を負い老忍者たちの住む場所に逃げ込む。

左近は経緯を話し茶を飲むがその茶には毒が入れられていた。

実は左近以外のすべての忍者がお頭に恨みを持っていた。

忍者たちへの待遇があまりにも酷かったからだ。左近はまじめすぎるがゆえに殺されたのだ。

やはり職場環境の是正が必要だ。

左近はまだ若くてそのあたりの心配りが足りなかったのだ。給料・福利厚生・人間関係・コミュニケーション大切ですね。

 

タイトルの闇斬り、カッコいい。

 

「かげろう伝」(1971年希望の友)

この緊縛は危なすぎる。股の所が気になって眠れない。(これはムリなんじゃ)

「闇斬り」の逆バージョン。

美形主人公かげろうはやはりまっすぐな心の持ち主だが味方を裏切っていたのが首領だと気づき仲間のためにお頭を討つと決心する。

自ら敵の手に落ち緊縛されながらも死ぬ前に首領に会いたいと願い(さっさと殺せばよかったんだけどね)さらに一杯水をくれと頼む(どこまで優しい敵なのか。かげろうくんの美貌に参ったのか)かげろうが水を含んで吐き出すと美しい舞妓が現れ舞い始める。その美しさに見惚れている間にかげろうの姿は消え失せ首領の首が斬り落とされていた。

「闇斬り」が苦い味なのに比べこちらの方はかげろうくんが勝つので良い後味である。

幻覚を見せる、という技も横山作品ではよく登場するが本作は特に際立っている。

 

「隻影」(1972年コミックミステリー)

「大垣の虎」と呼ばれ剣の達人と自負している若き剣士新富は道場にかつて「大垣の竜」と呼ばれた板倉が戻ってきたことで皆が「どちらが強いのだろう」と噂するのに苛立つ。

新富は板倉に勝負を挑むが板倉はかまえただけで逃げ出してしまう。

ふたたび二人の腕前は噂となった。

新富は板倉に果たし状をつきつける。が、勝負はあっけなく板倉の勝ちだった。

板倉は剣の腕に驕る新富の姿が昔の自分を見るようで逃げたのだという。

「世間を見つめ自分を磨くのだそうすればきっと天下に名を成す武芸者となろう」と板倉は新富を諭す「たのむぞ。わたしのいとしの影よ」

残された新富は動かずその場に泣き伏した。

 

良い話なのでふたりともかっこいい。

こういう筋書きだと綺麗にまとまるのだが実際は若い方が勝手しまいがち。横山氏もそういう設定が多い気がする。

『バビル二世』などはその典型。少年の方が強いのだよね。そしてその時は少年は容赦しないのだ。

ヨミかわいそう。

 

「鉄甲軍団」(1968年希望の友)

このカラーページはありません。

 

再び山本勘助の話だがキャラクターが全然違うという。

同じ単行本の中に同一人物山本勘助が二回登場するのに外見(中身も?)がまったく違うのはおかしい笑う。

『隻眼の竜』の山本勘助とも違う。横山氏、勘助が多すぎる。

きわめて正統派(と言うのは変か)の軍師として登場する。自分の才能を武田晴信様が認めてくださったという恩義が感動的に描かれる。