横山光輝歴史もの、読み始めると止まらなくなる。物凄い中毒性ある。
ネタバレしますのでご注意を。
神の如き威力を持った武田信玄の死後の武田軍。信玄の大きな失敗は後継者を明確にしていなかったことだった。
当然跡を継ぐべき嫡男勝頼は今も最強の武田軍の中で采配を振るうことも許されず手をこまねいているしかなかった。
読み始め、さすがに信玄のいない武田軍の物語は味気ないものに思われたが登場人物が次々と「信玄様がいない今」「先代様亡き後」「先代様のご遺言」と言う言葉で物語が進んでいくのだ。
これはなんか『桐島部活やめるってよ』的なものを感じてしまう。
ならばこれはデュ・モーリアの『レベッカ』であり萩尾望都『トーマの心臓』でありリンチ『ツインピークス』でもある。
『レベッカ』が一番近いのか。誰もが魅了されたレベッカと違い何もできない惨めな自分に押しつぶされていく作品だった。
とはいえ勝頼は決して暗君ではない。勇猛ぶりは前作でも描かれていた。しかし最大のアイドル力を持っていた父には勝てない。
最強の軍を持ちながらも武田は内部分裂していく。
黒澤明『影武者』を観たくなった。いや一応観てはいる。だが他の黒澤映画は最近やたらTV放送されるので何度も観てるのだがあの映画は何故か放送されないのだ。
うーむ。観れないとなると余計観たくなる。