読了しました。
ネタバレしますのでご注意を。
横山光輝戦国時代シリーズ(1980年代以降において)『徳川家康』『織田信長』『伊達政宗』『武田信玄』『武田勝頼』『豊臣秀吉』これは年表順に書いたが読んだのは順不同だった。(実はあと一作『平家物語』があるのだが)
先日も書いたように『織田信長』は後にとっておいた感があるのだけど先に他の作品で主人公張りに活躍する最も華やかな武将である。
が、そのせいもあってか信長主人公の本作は他で読んだ信長ほどには強い印象が残らなかったのは不思議である。
他の人の目を通した方が強い印象になるのかもしれない。
横山光輝はオーソドックスな表現方法を取る作家だと思う。ベーシックと言ってもいいのかもしれない。
他の作家が枠を外したり奇をてらったりするのに対し極めて本筋で勝負する。
本作も信長の天下平定を目指す戦に主眼が置かれほぼそこから逸脱しない。
きっちりしっかり描き通す意志に打たれる。
これ、本能寺で蘭丸が信長に襲い掛かる敵兵をくい止めようとする場面なのだけど後ろの小姓くんも飛び降りて覚悟を示す。
前髪がなびいているしふたりともすごくかわいいんだよ。
昨日も書いたけど信長って嫌われてもいたけど愛されキャラなんだ。そこがいい。
信長主人公だと本自体が信長礼賛、信長神、になってしまうのが逆におかしくてダメなのかもしれない。
やっぱあいつかっこいいよな、的な描き方が望ましい男なのかもしれない。
やはりいろいろな意味で『徳川家康』は最も良質の作品だったのだ。なにしろ家康自体はあまり好きにはなれないからなあ。