ガエル記

散策

『歪んだ波紋』NHKドラマ

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松田龍平主演ドラマと知って観始めました。

出だしから、それほど面白くない・・・・少し進んだら凄くなっていくのかと思い辛抱してとうとう今7話まで来たのですが進むごとに酷さが増してきてこの世の中にこれほど杜撰で無神経な脚本があるのだろうかという気持ちになってきました。

 

松田龍平氏の出演作品をすべて観たわけではないですが、以前は外れなしとまで思っていて、次第に外れもあるかなとなってきたのですがここまで悲惨なものはなかったのではないでしょうか。

 

NHKドラマで報道を題材にしていて出演者もかなりの俳優をそろえておきながらなぜこのような低レベルの内容となったのか。

脚本が粗悪であるのは否めません。

 

悪い箇所を上げていけばきりがないのです。

まずは作品の核心となっている「ジャーナリストは書いたものを一生背負っていくことになる」というのは真実であるでしょうが、それを具体的に表現するのが「交通事故の犯人は被害者の妻ではないか、と書いた記事が誤報だった」ことからそれを書いた主人公(松田龍平)が責任を感じてその身重の妻の後を付け回していくのがむしろストーカーじみていて気持ち悪いのです。

実際のジャーナリストがこのような形で責任を果たしていたらキリがないのではとも言えますし、少なくともこの粘着で張り付いて覗いていたらそりゃ妊婦が具合が悪くなるはずです。

物語は全部この手の気持ち悪さから成り立っていてどの関係も不気味におぞましい。

主人公と妻と主人公の元カノの関係も今どきの奇妙な良いバランス関係を見せたい、という目論見があるのかもしれませんが私には関わりたくない気持ち悪さがあります。

この関係、日本の作品ではどうして男一人と女二人の関係にしたくなるのでしょうね。

主人公の親友的存在でありネットニュースの編集長・三反園を松山ケンイチが演じています。

松山ケンイチはかつて『デスノート』でエルを演じて以来、憑依型俳優と言われ実力派俳優というイメージを持たれている感がありますが残念なことに良い配役に恵まれてこなかったと思っています。

それは本人の選択の失敗なのか、もともと彼がそれほど良い俳優ではなかったというだけなのかもしれません。

本作はどの俳優も良い演技を見せられるような脚本ではなかったのですが松山ケンイチの違和感は特に無惨であるようです。

私はエル時代に好きだっただけに気になってしまうのですが、彼という俳優がいったいどのような役がぴたりとはまるのか、それとも一生エル以上になれないままで終わるのか、独りよがりの心配をしています。

 

本作に登場する人物は全員得体のしれない気持ち悪さに満ちているのですが、その中でももっとも禍々しいのが誤報のために人生を狂わされてしまう女性です。この女の母親も酷いです。

主人公の妻と主人公の元カノがそれに続きます。

つまりは登場する女性が皆おぞましい、のですが、男性がよく描かれているわけではなくやはりおぞましい泥沼ドラマでした。

 

繰り返しになりますがいったい何故NHKで報道を題材にしたドラマでこのように粗悪な作品を作ることになったのか、むしろそのほうに隠された闇を感じます。

報道の闇というものがこの程度の陳腐なもので終わるわけもなく、重要なことは何一つここでは描かれていません。

そうした闇を隠すためにあまりにも浅はかなドラマが作られてしまったように思えます。

 

そしてこのドラマを観続けた人がいるのでしょうか。

原作小説のレビューはあがっていても本ドラマへの感想はまったく見当たりませんでした。

喜ばしいことに本ドラマを観て良しと思った人はいなかったのです。

 

松田龍平氏はこのドラマに出演せねばならないなにかの理由があったのでしょうか。

年末に彼が芥川龍之介を演じるドラマが放送されます。

こちらもまた期待してはいます。

 

松山ケンイチくんも新しい作品を期待したいのです。

 

 追記:なんだか「気持ち悪い」「おぞましい」ばかりになってしまいましたが逐一例をあげて説明するのも嫌なほど嫌なのです。