『タイタニック』と違いこちらは最初に観た時から魅了されました。なんといってもキャラクターデザインと世界観に圧倒的な美を感じます。
そして多くのレビューは『タイタニック』と同じく賛否に分かれ賛辞でない場合は「よくある話」「陳腐な設定ストーリー」という批判になってしまうのがとても面白い。
以下ネタバレしますのでご注意を。
確かに再鑑賞してみると初観だった時よりはっきり「よくある話」なのが解るのですがそれは「よくある話」というより「神話」というべきであり「古典」であり「寓話」であり「歴史」であるというべきなのではないでしょうか。
まだ何者ともつかない若者が冒険の旅を通して愛する人と出会い様々な葛藤を体験しやがて自己の信念を持ち大きな敵と戦い実りを得る。
そうした物語は世界中のどの国でも形作られ語り続けられていくものでおおいに共通点が見いだせるものです。
日本神話でも高天原と須佐之男命、そしてその娘と大国主の物語があり本作との共通点があるのも感じられたぶん世界中でそうした感慨を持たれているはずです。
主人公ジェイクは最初やや軽はずみな人格に思える青年だが調査する「パンドラ」という惑星の住民と行動を共にする過程で彼らとその世界に惹かれ成長し変化していきます。
そして住民を抹殺しパンドラを支配しようとする地球人と相対することになっていくのでした。
ジェイクとネイティリのラブロマンスもまた若い男女が惹かれ合い結ばれるきわめてオーソドックスな純愛でここにはそれほど悪質な邪魔がはいるわけでもなく美しいロマンスになっています。
設定にはほとんどネイティブアメリカンと大陸を侵略していった移民である西洋人の略奪のイメージが重なります。それもまた賛否の要点になるのでしょうが私はアメリカ人監督なら当然のイメージであると思えました。
なんといってもナヴィ族の高潔な美貌に見入ってしまいます。
評価の分かれもかなりこの部分にかかっているように思えます。
日本のSF作品では恋愛が絡んでくるとこうした異世界キャラクターがほとんど自分たちと変わらない容姿にしてしまうのが残念です。恋愛が絡んでこない『ウルトラマン』になるとあれほどの異質なキャラデザができるのにラブの相手を意識すると途端に同じ容姿になってしまうのは恋愛対象の範囲を感じさせます。
景観のすばらしさは言うまでもなくとにかく観て体感するしかありません。
地球人では呼吸できない惑星なのでやはりナヴィ族になってこの世界に暮らしたいものです。
『風の谷のナウシカ』を思わせるイメージもあるでしょうが、どう考えたってあの『風の谷』では暮らしたくない。
ナヴィ族になってパンドラで生きたいです。単純に切望します。
再鑑賞でさらに感じたのはこうした美しい自然の中で生活してみたいということです。ジェイクのようにパンドラでの生活を学び会得してみたい。
四枚羽根に乗って空を飛んでみたいのです。