若干作画が緩くなったかのように思えたのですが展開はきっちり進みましたね。
ネタバレしますのでご注意を。
いつもの「今回の話の元ネタは?」的な奴ですが、今回は多くの方がすぐに思い浮かべられたのではないでしょうか。
私は偶然直前に観ていたので余計感じたのですが長良くんはそのまんま『エヴァンゲリオン』のシンジを再現しているのではないでしょうか。
「いつも逃げてばかり」
のセリフが碇シンジを彷彿とさせますね。
(また希がベルリンからの転校生、と言う設定ももともと『エヴァンゲリオン』を意識してのことだったのかもです)
そもそも現在(というか少し前だが)の男子たちの多くが碇シンジ要素を自分に感じているからこそ『エヴァ』はこれほど支持されたのだろうと思われます。
本作は『十五少年漂流記』『蠅の王』『漂流教室』などがベースとされているわけですがそれら作品の主人公はどれも勇敢で行動的な少年ばかりでしたが現在日本版になると「勇気もなく非行動的で自己肯定感が低く逃げてばかりいる少年」長良が主人公となるわけです。
どうにもこれでは解決に向かいそうにもないですが立ち直るのに二十年あまり待たせた碇シンジくんと違い長柄くんは今回中に立ち上がってくれたので我々は二十数年間長良くんを見守り続けなくてもよさそうです。
そしてみんな気になる「アキ先生」の正体は?
こちらも直前に『蠅の王』を観ていたので彼女の役が『蠅の王』のジャックだということがわかります。
実際には朝風くんになるのでしょうがこれも現在日本的なのか反発ができずなあなあ感があって強い対抗派閥になりにくいのですね。そこで登場するのがサディスティック女性教師によって「きつめの煽り」が行われるわけです。
『蠅の王』で正しいラルフ少年の穏やかな言葉より高圧的な態度で統率するジャックに子どもたちは惹かれてしまうのでしたね。
のろしを上げ救援を求めようとするラルフに対抗しジャックはなぜかその火を消して自分の王国を作ろうとします。
アキ先生もまた「もう元の世界に戻れることなどない!」という強い言葉で生徒たちを洗脳してしまいます。そして「私と一緒に来るか」という命令調の言葉に反抗的な朝風が肯いてしまいます。
根拠のない独断が独裁者的な発声でなされる時、なぜか皆はそれに従ってしまうのです。
そして表題の「神様なんているんですか?」
長良の超能力は「移動すること」ではなく「世界を創ることなのだ」とラジダニは発見します。
ふむふむ。
神がいるかどうか、ではなく自分自身が「神」でなければならないのですね。