ガエル記

散策

『バビル2世』横山光輝 その2

飛ばして9巻から読了してしまった『バビル2世』改めて読みなおしていますがあちこちで「はっ」という驚きがあってたびたび立ち止まってしまいます。

いえばキリがないのですが例えばこの場面でぎょっとなりました。

左側のバビル2世が薄目を開けてからの「ギッ」とにらむという演出。なんともいえない色気があります。

これは萩尾望都スター・レッド』2巻でセイがヘイル博士から麻酔をかけられる(が効かない)という場面にそっくりそのままじゃないですか。

とすぐ横に置いてる『スター・レッド』に手を伸ばして確かめたらさすがに向きは変えてありましたが同じ演出ですね。

萩尾望都氏は常々「横山光輝マンガから大きく影響を受けている」ということを言っておられますがこういうことなのだと改めて思わされました。

これは萩尾氏がここを真似したというよりこの演出ー薄目を開けてきっとにらむーがあまりに素晴らしくて記憶の底に潜んでいてつい同じような演出になってしまったのではないのでしょうか。そのくらいかっこいい場面で目を引きました。

まあそもそもレッド・セイは超能力少女の話ですし、名前も

「セイ・ペンタ(5代目)・パトゥール」となっています。この作品では火星人の何代目であるかが重要な鍵となっているのです。つまり『バビル2世』ではなく『火星人5世』というわけです。

さらに言うと(未読ですが)横山光輝氏には『マーズ』と言う作品があってこれは火星の意味ではないようですがマーズと言ったら普通「火星」ですね。

しかも主人公マーズは「目が赤い」と言う設定になっていてこれもレッド・セイと同じ。私は『スター・レッド』はすぐ思い出すほど読んだのですが横山作品が未経験でこれまで何もなく読んできたのですがまさかこんな楽しみがあったとは。この分では横山作品を読むほどに思い出しては重ねてしまいそうです(喜び)

あとエルグが目の色を変えたりできるのは明らかにヨミ様の影響。

 

よく大友克洋『アキラ』を読んだ若者が「凄いマンガだと聞いて読んでみたら他の漫画家が描いているような内容ばかりでがっかりした」と言うヤツです。いやそこがっかりするんじゃなくて「嬉しくなった」と言うべきなんですよ。

『バビル2世』読んでいるとそんな思いばかりさせられます。

 

荒木飛呂彦氏もジョジョに学生服を着せたのはバビル2世からの影響だと言われていますがそれだけでなくいろいろな影響が感じられてしょうがありません。

やはりそもそもがディオ=ヨミ、ジョジョ=バビル2世の構図として成り立っているのです。

そして登場する「バラン」が「壁の男」を思わせます。

 

と比較ばかり並べてしまったので少しは内容に触れましょう。

 

再確認したのはなんといってもヨミのバビル2世への激しい執念でした。

また重ねますがこれはどうしてもディオがジョジョに対して持ち続けた恋心のような執念はここからきているのだと思わずにはいられません。

 

報われない恋心でした。

悲しい。