ガエル記

散策

『如懿伝 〜紫禁城に散る宿命の王妃〜』最期

もう最期は書かなくてもいいかなと思っていたのですが、もう何度も観ているラストにやっぱり泣いてしまったので少しだけでも書いてみようかと思います。

もう最近はコンテンツで泣くこともすっかりなくなってしまったのですが本作の最期はどうしても心が動いてしまうのです。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

衛嬿婉の悪事のすべてを暴き皇帝に厳しい罰を下させた如懿は結核にもかかわらず治療を拒否し死を選びました。

皇帝は謝罪し狩猟場への旅に誘いましたが如懿は断り「蘭因絮果と言う言葉をご存じですか」とだけ答えたのでした。

その意味は「(愛は)最初美しく咲くが最期は綿毛のように散ってしまう」なのでした。

かつてのラブストーリーは甘く熱く燃え上がる恋人たちが結ばれるまでを描いたものが多くふたりは永遠の愛を誓いあうものでした。

如懿と皇帝もまさにそんな風に添い遂げることを誓い合い未来を信じたのでした。

しかし長い時はそうした誓いを次第に崩してしまうのです。

後宮で女たちは皇帝の寵愛を受け皇太子を産むことだけが願望となってしまう。ほんとうの幸福を願う如懿は後宮にはいるべきではなかったのです。

 

そしてすべてに絶望した如懿は皇帝のいない後宮の庭で夜静かにお茶を飲んでいます。側にいるのは忠実な侍女である容珮だけ。

如懿は容珮に静かに語ります。

「多くの人たちが亡くなってしまった。もし後宮でなにも起きなかったと考えてみて。ここにみんなが集まってお茶を飲むの。もちろん皇帝もいてあの衛嬿婉もいると考えてみて」

如懿の望んだ未来はそんな幸福だったのです。

 

夫婦の愛情という小さな題材でありながら最期は極めて大きな願いが描かれたこのドラマでした。

現在も人の世に争いは絶え間なく続いていますがほんとうの幸福はそういうものであるはずなのに人間はどうしても幸福を築くことができないのですね。

 

如懿はそんな社会から離脱して自由になることを選びました。

幸福になるためにはその選択が必要なのでしょうか。そうなのかもしれません。