ガエル記

散策

『三国志』横山光輝 第三十五巻 その2ー濃霧の戦いー

三十五巻後半はそんなに懸命に書くほどの意味はない気がするので(ごめん)ざざっと書いてしまいますか。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

曹操は初戦で手痛い打撃をこうむったもののやはり腐っても曹操曹操

そうそう簡単に負けるわけもなく。

ひとまず兵を引き上げる、と見せかけて漢中軍を罠にかけて初戦の鬱憤を晴らす。

小見出しの濃霧という演出がなかなか効いているエピソードとなっております。

かくて曹操は初戦で手間取ったものの漢中第一の要害陽平関と周りのとりでをやすやすと手に入れてしまう。

 

初戦で失敗をしてしまった夏侯淵張郃は名誉を回復する。

曹操は満悦だった。

一方漢中張魯は追い詰められていく。

存亡の危機を乗り切れるかの問いにも答える者はいない。そんな時上がった名前が龐徳だった。彼は馬超葭萌関に行った時病気で漢中に残ってしまったらしい(ちょっと笑える)張魯に呼び出された龐徳は「恩義ある漢中のために戦いましょう」と一万の兵を従え曹軍と相対した。

これを知った曹操はまた悪い癖が出る。豪傑を家来にしたくなる病だ。

曹操の家来が次々と入れ替わりながら龐徳と一騎打ちし疲れたところを生け捕りにする作戦を立てたが龐徳は矢継ぎ早に変わる相手にも屈せず戦い続ける。あの許褚との勝負は猛烈を極めた。

曹操は許褚に「どうであった」と聞くと許褚「すばらしい豪傑でございます」と。

そういうあなたがすばらしい許褚。

(ところで許褚って曹軍第一の勇者だけどイケおじですよね不思議)曹操はますます龐徳が欲しくなる。

曹操の問いにまたもや楊松の名が挙がるw

「楊松という張魯腹心の男は賄賂に目がない。この男に賄賂を贈り龐徳の悪口ばかりを告げさせるのです」

ははは。やたら使い勝手のある楊松である。さすれば張魯龐徳を信じなくなって手放す、という手段である。その楊松に近づく手段も抜かりなく行われる。またもや負けたふりをして騙し隙をついて敵軍に潜り込むのである。金の胸当てを見た楊松はまさに金に目がくらみ張魯に「龐徳曹操と内通しているかもしれない」と疑心暗鬼を植え付ける。

 

曹操の策略とはいえ何の罪もない龐徳が可哀そうだ。

三者から見れば張魯より曹操についた方が得策だと言えるだろうけど。

義理堅い龐徳張魯なぞに一日の恩を返すためと命を投げ出す覚悟をする。

一騎打ちを仕掛けたくせにすぐに逃げ出す許褚を追いかけた龐徳曹操の罠にはまってしまう。落とし穴に落ち投げ網に捕らえられた龐徳曹操に降伏をしたのであった。

 

こうして龐徳までも失った張魯にはもうなすすべはなかった。

臣下には「曹操に食料や財宝を渡さないよう城に火をつけましょう」と言うものもあったが張魯は「漢中は宗教によって治めた国。天からの授かりものを粗末にはできぬ」と逃亡するのみの行動をとった。

曹操はこの行為を良しとして張魯一族は保護し鎮南将軍に任じた。

一方曹操の味方となった楊松には「主君を売って出世を計るなど許せん」として打ち首に処した。

 

こうして漢中は曹操の手によって平定された。

 

なんだかんだで曹操の勝利でした。

しかし最後まで敵対したが城を守ったことで張魯は生き延びただけでなく位を得、楊松は味方となって役に立ったのに仁義に欠けると言われて殺されるw

しかも仁義を失わせたのは曹操のトラップなのにwま、曹操というのはそういう男ですね。美しさを尊ぶのです。