金吒くんセンター!ていうか長男だから当然なのかw
哪吒一択と思ってたらそういうこともあるんだなあと思ったのでした。
ネタバレしますのでご注意を。
『三国志』ではほぼ大人しか活躍しないけどはっきりと小柄な少年たちが大活躍する、というのが殷周伝説の面白いとこですね。いわば少年忍者的な感じなのでしょうか。
さて完膚なきまでに叩きのめされ大きな被害を受けてしまった太公望軍だが太公望は皆の報告を受けて冷静に考え魔家兄弟の術は幻術だと知らせた。
魔礼青の石ころが兵士に変わっていくのは剣を抜いた時にキラキラと光って見えた時にもう幻術にかかってしまったのだ。
魔礼紅の混元傘から布切れが飛び出し蝶に変わったのも幻術だ。あっけにとられ蝶を見つめていいるうちに毒をまかれてしまったのだ。
よくわからないのは魔礼海の琵琶だ。きっとその琵琶の音は人間に不快感を与える音なのだろう。
魔礼寿の虎は明らかに幻術だ。そして「飛鉤」という武器で敵を倒す。虎の爪にやられたように見えるのだ。
ここで黄天化は青峯山にある、はるか遠くまで射れる弓を取りに行くのを申し出る。
それからは太公望は籠城で防戦した。
魔礼兄弟は兵糧攻めに転じた。
南宮适は「長期戦ですな」と言ったが太公望は笑って「長期戦はさせぬ」という。
そして金吒木吒哪吒を呼び汜水関に忍び込み兵糧庫を焼き払ってしまえと命じた。
逆に兵糧攻めにするのだ。
夜分、三人兄弟はあっという間に汜水関にたどり着き高い城壁を指先で登り黄飛虎に教わった通りに兵糧庫へ向かう。
速やかに灯油をまいて火をつけた。
眠っていた汜水関の者たちが気づいた時には火が回り大火事となっていた。
急いで水を汲み火を消そうとすると三人は飛び道具で邪魔をした。
金吒は弟たちに声をかけ汜水関の外へ飛び出した。
汜水関は燃え上がり兵糧庫どころか半分は焼けてしまうだろう勢いだった。
戻ってきた黄天化の弓矢は凄まじい飛距離を持っていた。
魔礼兄弟は補給がなくなったので総攻撃を開始するだろう。太公望は迎え撃つ覚悟を示した。
魔礼青と戦うのは南宮适将軍、武吉、金吒。太公望は常に日を正面にして戦えと命じる。魔礼青の剣は日の光を反射して幻術を行うからだ。そして金吒に固い鎧を避け蛇鞭で喉を狙わせる。
辛甲、辛免、哪吒は魔礼紅と戦う。風下に回らず辛甲の斧が混元傘と打ち合い哪吒が傘が開かぬよう乾坤圏で巻き付けてしまう。
黄飛虎将軍は魔礼海に向かう。
琵琶の音を聞かぬように殷兵が魔礼海から離れだしたらそち達も離れて後は黄天化にまかせるのだ。黄天化はその間に弓で琵琶を狙って穴を開けよ。
木吒は他の将軍と魔礼寿に向かえ。そちの武器で旗柱を斬って落とし火をつけよ。
皆、太公望の指示通り戦った。
金吒君の蛇鞭が可愛くてしょうがない。欲しい。
金吒君の髪飾りも気になる。
哪吒も魔礼紅の混元傘に乾坤圏をからめ辛甲の斧が襲い掛かった。
黄飛虎・天下父子は魔礼海の琵琶に穴を開けて討ち取った。
魔礼寿に対しては木吒が疾走して虎の絵の旗柱を切り捨て燃やしその首を斬り落とした。
魔礼兄弟を失った殷軍は敗走した。
この報告に聞仲太師は衝撃を受けた。こうなっては自ら西岐に赴くしかない。
聞仲は紂王に出陣を申し出た。
が、出陣の時聞仲太師は馬に乗ろうとして落馬してしまう。
紂王は聞仲を気遣い日を延ばすように言ったが聞仲太師は強行した。
途中花の咲き乱れる美しい黄花山で聞仲が単独景色を見ていたところ山賊に襲われる。が、老体と言えど聞仲は動き鋭く逆に山賊は崖から落ちそうになったのを助け上げる。
山賊の名は辛環といった。一万人の子分を持つという。
聞仲は殷を嫌う辛環に「西岐討伐のみの義勇軍として参加してくれぬか」と頼むのだった。
辛環だけでなく山賊たちは皆殷を憎んでいた。辛環は子分たちを説得し殷ではなく親分に従うということで参加することとなる。
山賊兵を加えた殷軍は再び進軍した。
すると行く手に「絶竜嶺」と彫られた岩があった。その先が絶竜嶺の山脈なのだ。
聞仲太師は若い頃、有名な占い師に「絶」の文字を見たらそこは避けよと言われたのだ。しかし聞仲太師は遠回りはせずそのまま西岐への道を進み続けた。
思いきりフラグ立ち続けてるってことですね。
西岐では太公望に新しい訪問者があった。楊戩という男であった。
「きゃー楊戩」
フジリュー『封神演義』でもこっちが主人公みたいと言われるキャラでしたね。
それが横山楊戩はこう
えーと。
そして仕える術が「影の術」というのみで。
じ、じみい。
いやいや凄い術ですよこれは。
そしてついに聞仲太師率いる殷軍三十万が西岐に到達。
太公望との対決となった。
聞仲太師は連日猛攻を繰り返した。が、太公望は将兵にてきぱきと指示を与え耐えさせる。鉄壁の守りを通した。
戦いは一年に及んだが何の進展もなく早期に周を平定し殷の立て直しを図ろうとした聞仲太師の計画は大きく狂っていく。
太公望は殷軍が疲れてきたのを見て反撃を開始する。
夜襲奇襲を繰り返して殷兵が眠れぬようにするのだ。
さらに太公望は黄飛虎将軍に十六法の陣を敷かせる。ここに敵が攻め込めば迷路のようになって大混乱を起こすのだ。金吒木吒哪吒兄弟に汜水関からの補給物資を襲わせこの陣に運び込ませる。
殷の布陣している南の反対側北の地形を利用しての陣である。
それから数日後黄飛虎は二万の兵を引き連れこっそりと西岐城を抜け出した。
そして図面通りに陣を造り始めた。柵を造り堀を造り迷路のようにし敵がこの中に入れば四方から攻撃できるようになっている。
諸葛孔明が考案したといわれる「八陣図」はこの十六法の陣を参考にしたものだと言われている。
次に太公望は楊戩に敵陣に忍び込んで兵糧に消えないように火をつけてくれと命じた。気が付いた時には手遅れになるようにと。
金吒木吒哪吒兄弟には三千の兵を与えて汜水関から送られてくる兵糧や武器を奪わせる。奪って黄飛虎の十六法の陣に送り込むのだ。
武吉は南の川を使った夜襲を頼んだ。
南宮适将軍らは決戦の日まで城を守ってもらうのだ。
武王は太公望の言葉を聞いて頼もしく感じた。重臣たちは思わず太公望に頭を下げていた。
楊戩は単独影となって殷軍の兵糧置き場に忍び込み火のついた炭の粉を練り合わせたものを置いて回った。
三十万人の数か月分の兵糧にこれを仕掛けたのだ。
日は兵糧の中心からじわじわと燃え広がっていった。
影は殷陣の外へ出た。あと二時間水をかけても消せない大火事となる。
兵糧の間からくすぶった煙の臭いに気づいて眠っていた殷兵たちが騒ぎ出す。慌てて兵糧を取り除いて火の元を消そうとしたがそのために空気が流れ込み一気に火を噴いた。
消火に焦ったが手遅れ。三十万人の兵糧は火だるまとなった。
兵糧が燃え尽きた殷陣は騒然となった。聞仲太師は急ぎ汜水関に兵糧その他の輸送を頼む。
しかし汜水関も突然三十万の兵士の兵糧を送れるはずもなくその補給に追われた。
その様子を見ていた三兄弟は確実に補給部隊を襲うため山岳戦を取った。
細い山道で補給部隊に襲い掛かりあっけなく兵糧を奪い取り西岐兵たちに十六法の陣へと運ばせた。
武吉は殷陣を夜襲した。
夜中二百の水練達者を引き連れ川から出て殷陣に矢を射こみ再び川に戻って帰ってくるのだ。
これは敵兵に不安感を抱かせる作戦で功をあせるではない、と言い聞かせた。
殷の将兵たちが武吉たちを追いかけてきた時はすでにその姿は見えなかった。
川に潜って逃げ去ったのだ。
いやあ楽しいね。
同じ話なのに『封神演義』での魔法のような戦いが本作では人間が行う実戦として描かれていく。
(いや逆なんだろうけどw実戦を魔法のように描いたのが『封神演義』)
『封神演義』を先に読んでしまうと逆にそういうことだったのかと感動してしまいます。
楊戩の実態は一番衝撃でしたがw