ガエル記

散策

『殷周伝説』太公望伝奇 横山光輝

殷周伝説』とだけ観ていたので読んでみて『封神演義』の世界だったので驚きました。(これ恥ずかしいことですかね)(殷なんだから紂王だと気づくべきでしたかね)

とにかく藤崎竜封神演義』大好きなのでこの事実に嬉しい驚きでした。

諸星大二郎『無面目・太公望伝』も愛読書です。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

前1711年、殷(商)は夏を滅ぼし殷の時代が始まった。

殷は栄えそれから六百余年第三十代帝乙の時代に入っていた。

 

大きな地震の中で生まれた皇子が季子のちの紂王である。

地震の最中にうまれたので父・帝乙は危ぶんで吉兆を占わせたが聞仲太師から伝えられた答えは「吉」であった。

季子は成長するにつれその才能を見せ帝乙は季子を後継者と決めたのである。

 

父・帝乙が崩御し紂王が帝位についた。

紂王は太師聞仲と宰相商容の言葉をよく聞き国民のための政治を行った。殷には平和が続き国は繫栄し人々の喜びの声が都にあふれた。

しかし殷王七年目に北海の七十二諸侯が反旗を翻した時からこの平和の均衡が崩れ出したのだ。

その兆しは紂王の重要な後見人である太師聞仲が北海へ征伐へ向かったことから始まる。紂王の教育は商容ひとりに課せられた。

 

紂王はうるさい太師聞仲がいなくなったことにほっとしていた(これもきざし)

皇后はそういう紂王をやんわりとたしなめる柔和だが正しい女性だったがここで「女媧宮に参詣に参りますが陛下も参られませぬか」と誘ってしまう。(これもきざし。ここで誘わなかったら・・・悔やまれる)

女媧宮で女媧御前を見た紂王はその美しさに「このような美女を側室にしたいものよ」とつぶやく。商容にたしなめられても一向に介さず壁に自分の思いを書き記した。(効き目がなくなってる)

女媧御前は「今まで殷はわらわをあがめ大切にするゆえ邪悪の霊から守ってきた。それが事もあろうに神のわらわを快楽の対象に選ぶとは許せぬ思い上がり。もはや殷を守る気はなくなった。わらわは天界に戻る」と言い残して去ったのだ。

 

天台官は数百年に一度と言われる赤い月が現れたのを見て世が乱れ地下に眠る悪霊が蘇ってくる時を感じた。

 

紂王には費中と尤渾という諫大夫がいたが彼らは紂王を諫めるどころかいつも機嫌取りばかりをしており忠臣からは嫌われていた。

この時も紂王が女媧御前のような美女を側室にしたいというのを聞いて日ごろから清廉潔白で賄賂を渡さない蘇護を貶めてやろうと企んだのである。(きざしきざし)

まず費中は紂王に「蘇護に女媧御前のような美しい娘がいます」と耳打ちすると紂王はすぎさま蘇護に「娘を後宮に入れぬか」と言い出すが試練潔白な蘇護は出世のために娘を後宮に入れるような真似はしない。これに紂王がかっとなって怒ったところを費中が抑えて蘇護に恩を売ったのだ。

しかし蘇護は費中の腹は読めたし紂王のあまりの馬鹿さ加減に嫌気がさして故郷である冀州に帰る決意をしたのだった。

無論紂王は激怒し西伯侯姫昌と北伯侯崇侯虎に冀州蘇護征伐を命じた。

しかし誰しもが冀州蘇護の人格と忠義を知っているのでこの命令を訝しんだ。

崇侯虎だけは「我らは陛下の決定に従うのみです」と言いつのる。

 

崇侯虎は翌日殷兵五万を借りて冀州へと向かった。一方姫昌は自国の西岐へ引き返した。

崇侯虎は冀州までの道中の村々で徴発と称して略奪を繰り返し女を犯していった。借りものの殷兵はうんざりし戦意など無くなってしまった。

 

とはいえ崇侯虎は弟黒虎の加勢もあって冀州蘇護を追い詰める形となった。

蘇護は崇侯虎に捕らえられてしまうのならと娘・妲己を殺そうともしたが優しい言葉をかけられ挫けてしまう。

 

そこへ西伯侯姫昌の使者が一通の手紙を蘇護へ届けた。姫昌は切々と蘇護に訴えて書いていた。

「災い転じて福となすこともあります。ご息女を紂王に渡せば多くの命が助かるだけでなく冀州が守られるのです」

西伯侯のことばに心を動かされた蘇護は娘・妲己を紂王に差し出すことにした。(きざし)

みじめなのは崇侯虎であった。(w)

 

貴人となった娘・妲己を父蘇護は紂王のもとへ送り届ける。

道中一泊する時に駅丞(宿場役人)が蘇護に「実は庁堂に妖怪が出ますので軍営を張ってお泊りになった方がよろしいかと思いまする」と伝える。

しかし蘇護は妖怪など退治してやると言い切って庁堂を用意させた。(うわあ)

果たして夜になると侍女たちの悲鳴が聞こえた。

急いで蘇護が向かうと侍女たちが黒い影を見たと騒ぎ出す。

この時、妲己が眠る庁堂には得体のしれない妖気が渦巻き妲己の体に吸い込まれて入っていったのだ。

蘇護が松明を掲げて妲己の部屋に入るが眠っていた妲己が気配に気づいて目を開けたところであった。

「変わったことはないか」と問う父に「人の声がしたので目を覚ましたらお父様がいらしたのよ」と答える。

ほっとした蘇護は「ゆっくり休むが良い」と言って部屋を出た。

 

妲己は目を光らせ「殷を邪悪な霊から守っていた女媧はすでに天界へ去った。わたしたちには住みよい土地となった」と思うのだった。

 

さてまたもや蘇護は費中たちに賄賂は渡さない。しかし今度は娘妲己を連れてきている。

妲己が紂王の気に入れば迂闊なことは言えなくなる、と費中は相棒に言うのだった。

 

果たして、妲己を見た紂王はその美しさを褒め讃え寿仙宮を与えた。

紂王は蘇護一族を無罪放免とした。

 

これから紂王は妲己の思うがままになっていく。

紂王は二か月間寿仙宮から一歩も出なかった。

鐘鼓が鳴らされると紂王は仕方なく出廷したが心は早く妲己の元へ戻り違っていた。

溜まりに溜まった政務をこなさねばならなかった。

 

この時、ふらりと雲中子という道士が宮殿を訪れた。

 

ほほう。

紂王と妲己の出会い、藤崎竜封神演義』ではあっさりだったと思うのですがこういう経緯があったのですか。

こちらでは妲己さんはもともと綺麗ですね。

あちらでは容貌が激変していましたが。

聞仲太師もこういうことだったのか、となるほどです。