ガエル記

散策

『項羽と劉邦』横山光輝 その4 読了

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

昨日は愚痴を書きましたがやはり面白いことに変わりはなく。漫画化というかある作品をもとに別の作品が生まれる時はその作者の血が入るのは当然でだからこそ〇〇版という言い方がされるわけで。本作は横山光輝が生んだ『項羽と劉邦』なわけです。

 

と書いていて思ったのですが『三国志』の関羽は本名じゃないという話もあるのですが明らかに項羽から羽の字をもらったのではないかと思ったりします。

となると『三国志』では劉邦の子孫と項羽を名乗っている男が兄弟になった、ということになりますかな(チガウ)

 

とにかく最期は項羽でした。

項羽が馬鹿だろうがエゴイストだろうがこの追い詰められて三十万の兵が五万になり五万の兵が四面楚歌によって多くが逃げ出しわずか八百の兵を引き連れ追われおわれて最期に二十七騎だけになる、この最期のくだりは素晴らしい悲劇となっている。

「この項羽は敵に負けたのではなく天が見放したのだ」という台詞もまた項羽らしい。

 

横山氏は明らかに劉邦に共感し項羽を批判的に描いていますがやはりこの「項羽の最期」は名場面として描き切っています。

虞美人が自死し愛馬・烏騅までが項羽を追おうとして死ぬ。

戦う様は鬼神の如き項羽もまた自死しその体は無残に八つ裂きにされてしまうのです。

この壮絶な最期の場面は日本の多くの作品にも影響を与えていますね。

 

項羽と劉邦』しばらくその世界に浸っていようかと考えています。