さて本編より先に外伝を読むシリーズ。
ネタバレしますのでご注意を。
別冊マーガレット掲載1964年
おおっと。少女マンガでしたか。だからこんなにヒロインかわいいんだな。
影丸が葉山の里を通る時に必ずある墓に立ち寄るという。その墓には捧げられる花のきれたことがない。わたしと同じようにこの里の人々も彼女のことが忘れられないのだろう。
という出だしで始まる。
その彼女というのがタイトルにある「胡蝶」であり胡蝶はその村の名主の娘なのだ。村は凶作なのにもかかわらず領主から例年通りの年貢を取り立てられ人々は飢えて死ぬ者が絶えない。胡蝶の父である名主は領主に惨状を訴えに行ったもののそのまま帰らぬという。
胡蝶は果敢に父の代わりに百姓たちの先頭に立ち一揆を起こすのである。
一揆は成功し領主は年貢を許し蔵にある米で農民を救う約束をしてくれるのだが代わりに胡蝶は責任者として処刑されるのだ。
冒頭の墓は胡蝶の墓だったのだ。
ううむ。胡蝶さんがものすごく美しく描かれている。影丸はなにもできないままだった。こういう話は辛いなあ嫌だなあと思ったのだが今現在怒りの声が上がっている女性漫画家自死問題もいわばこれではないかと思わされた。
どうやらこの国では誰かが処刑されないと一揆は許されないものらしい。
しかも現実の方はまだ漫画家一揆が起こったようには思えないし効果があるのかどうかわかってもいない。
制度と精神が改善されないままなら今の人々は百姓一揆の世界にも劣るのだ。
プレイボーイCOMICSクレイジー第一号1968年
実はこのタイトルが気になってこの本(デジタルですが)購入しました。
横溝正史原作というのも他にないような気がします。横山光輝氏は意外にも江戸川乱歩・横溝正史という耽美妖艶の世界も読まれているのだなあと感慨しきりです。
横山主人公は美形が多いですが本作の岡っ引きの左七親分は特に美麗に描かれているように思えます。それで横溝原作小説を覗いたら
人形を思わせる色男の岡っ引き、 佐七が次々と江戸の事件を解決していく推理劇 !
と書かれていました。
「人形を思わせる色男」って形容詞は壮絶ですな。特に男性にかけるには。
ってだから「人形左七」ってタイトルなのか。知らなかった。
とにかくそんな「人形のように美しい左七親分」の捕り物帳です。
左七親分名前を問われて自分で「人形左七よ」(男言葉で読んでね)と答えるのがおもしろい。子分たちは可愛くないのに「可愛い子分が斬られるのをだまってみちゃいねえぜ」と言ってくれる。こりゃ惚れますわ。
しかしこの一編わかるようなわからないような内容ですwいやよく読めよと言われたらそれまでですが。
とにかく人形左七親分を描きたかったのではなかろうかと。
気になった「稚児地蔵」もいまいちよくわからない。稚児である必要あったかな。
「稚児」って言葉を使いたかっただけなのか、そこになにか含みがあるのか。横山氏は稚児好きなのだろうなとは思いますが。
人形のように美しい左七親分にブサイク系の子分ふたりが付きそうのはなかなか楽しいです。
まだたっぷり続きます。