あの『伊賀の影丸』に幻の読み切り作品があった!
これはすごく気になる惹句ですなあ。早速中に入りましょうか。
ネタバレしますのでご注意を。
「伊賀の影丸」
などと言って、す、すみません。横山光輝の代表作の一つなのに私はまだ未読了です。『鉄人28号』読めたのになぜなんだ。心の中の白土三平が立ちはだかるのだろうか。(ものすごい白土ファンなのです。幼い時は白土アニメばかり観てた気がする)
ものの本によると『伊賀の影丸』は1961年~66年の作品と記されていますがこれは番外的読み切り企画として別冊少年マガジン1970年7月号掲載のようですが横山氏の作品年表に記されていなくて「?」となりました。「その後の伊賀の影丸」は記載されているのになあ。もしかしたら横山作品こういうのがいっぱいあるのか。ますます目がくらむ。
66年で終わった本編と比べ絵がとても入りやすい。やはり私は70年代になってからの横山光輝が受け入れやすいようです。
横山氏では珍しい真正面の影丸の表紙絵がとんでもなくカッコいい。
いや中の影丸も無茶苦茶かっこよくて本編影丸を好きな人には申し訳ないけどこの絵で読みたい。
70年代横山氏のキャラの魅力は破壊的です。これがデジタル版だったら次々と画像をあげてしまいそうです。
気になる方は本で確かめてください。この色気を何にたとえよう。
あの変な(失礼)忍者衣装なのにかっこいいんだからな。
「魔界地帯」別冊少年マガジン1972年1月号掲載
これも例によって拾い画像で購入した本はモノクロです。感じとしては8ページカラーだったようです。
これもカラーで観て見たいものです。
実はこのマンガが気になって購入しました。カメラを持った少年、というのが横山マンガとしては珍しいように思えたからです。
タイトルが「魔界地帯」なのにSFというのも気になりました。
内容は表紙どおり変わった伝説や民話を求めてカメラを携えた少年がF村を訪ね洞穴の写真を撮っているとそこから鎧武者が現れ襲われそうになる。
が、その前に武者は倒れ骨と化してしまう。
好奇心を起こした少年は洞穴に入る。行き止まりで暗闇の中マッチを擦るとそこには大木がそびえたっていたのだ。
はじめサッと読んでしまった時は「軽いSF」「あまり難しくない奇妙なSF」と思ったのですが読み返してみると何とも言えない味わいが感じられてきました。
これはむしろ諸星大二郎を思わせるSFなのではないでしょうか。「伊賀の影丸」が白土三平を思わせるならこちらは諸星大二郎。むむむ。横山氏はひとりでいくつもの世界を持っています。
以前『殷周伝説』の時も諸星大二郎との関連を考えました。諸星氏と横山氏はまったく違う世界観のようでどこか通じているのです。
もしかしたらおふたり交流はなくともどこか意識されていたのではないでしょうか。
ふたりのSF観が似ているのかもしれません。
そういえば諸星大二郎氏の描く少年は横山少年とはまた違う繊細な魅力があるのですよね。横山少年が外交的動的な少年なら諸星少年は内向的静的な少年といえます。
おふたりの作家活動期は15年ほどのズレはありますが(横山氏1954年から、諸星氏1970年から)1970年から30年近くは重なっているわけでもしかしたら互いに時折似通うところを感じられていたのではと思ったりします。
中国好きなところ(諸星氏も横山氏も多くの中国舞台作品があります)は思っていたのですが本作「魔界地帯」を読んでSFも似ているのだなと思いいたりました。
しかし美女に取り囲まれて優雅な生活をしているのに逃げ出すとは、さすが横山光輝。普通の男性は逃げ出さないと思うけどなあ。
たった5,6日で逃げますかねえ。
「飛猿斬り」別冊少年マガジン1972年2月号掲載
うう。かっこいい山田一郎。彼に惚れ込んでしまった岡っ引き源蔵もイイ男です。
横山光輝の理想の男の生き方がここに描かれている。
史実の天狗党(浅学故知らず)を下敷きに描かれている。
ううむ。ほんとに知らないことばかりだな。勉強しよう。
いや山田一郎はかっこいいよ。ぜひ読んでほしい。