読み返しているとバビル2世の強さに惹かれるというより恐ろしくなっていきます。自分が年を取ってしまったから思うのでしょうが。
ネタバレしますのでご注意を。
まあ、wikiを見ても横山氏は『バビル2世』を短期でやめるつもりだったというのでとんでもない超能力少年を描いて終わりという感じだったのだろう。
それにしても彼はあまりにも孤独で可哀そうに思える。
前にも書いたが今『バビル2世』をそのままリメイクしても受けないだろう。
『チェンソーマン』にしても『進撃の巨人』にしても同じような意識と能力を持つヒーロー仲間が幾人もいる、という設定で守られている。この世にたったひとりしかいないという孤独なヒーローは今の読者は悲しくて受け入れきれない。
それに対してヨミ側の仲間意識の高さは望まれるものだ。三巻でバビル2世に沈められたヨミの部下の乗る船に対しすぐに救助隊が出される。
続々と仲間を助けに行くのだ。泣ける。
ヨミ様組織を信頼しきった船長。絆が強い。しかしこれを読んでた少年たちはヨミの組織に入りたくならなかったのだろうか。
砂漠で彷徨っていたヨミ様も部下たちに救われる。みんなヨミ様が大好きなのだ。
ヨミ様のセリフ「うお」ってはじめ驚いたのかと思ったけどこれ「うむ」の間違いでは。
なぜ「うお」?
かわいい少年に「きみ」と呼ばれ茫然とするヨミ様。あきらかに「えっ?」となってる。
(ここだけ切り抜くと愛の告白シーンのようでおかしい)
「出たなしもべたち」はおかしい。
部下たちの死を予見して辛い気持ちになるヨミ様。良い人だ。
バビル2世とポセイドンの攻撃を受けて恐怖を感じているヨミ様一同。もはやバビル2世が憎い。しかし強固な扉は破られることはなかった。
よかったよかった。
ヨミはここぞとバビル2世を攻撃するがポセイドンそしてロプロスに守られたバビル2世を始末することはできない。
思案したヨミは自分自身がバビル2世になることを思いつく。さすがヨミ様。すごい。
顔がバビル2世になり部下に髭剃りをもってこさせる。芸が細かいな。
髭を剃り落としたその顔はバビル2世だった。
その声までもバビル2世となりヨミはポセイドンとロプロスにバビル2世を攻撃させる。
突如しもべたちが襲い掛かってきたバビル2世は戸惑いながらも逃げおおせた。
バビル2世はかろうじてバベルの塔へたどり着いたのだ。
ヨミが倒れた時は部下がベッドに運んでくれていたのに・・・悲しい子よ。
ここでコンピューターはバビル2世に「しもべたちの反抗」を強く抗議されるのに対し「あなた自身の力で戦いなさい」と答える。
さらにコンピューターは「ヨミが能力を悪魔の力として使うならあなたは神の力として使いなさい」と告げる。
この「神にも悪魔にもなれる」という言葉は『マジンガーZ』で初めて使われたと思っていたのだがもしかしたら『バビル2世』が(マンガでは)初出だったのだろうか。
この後、勝負を急いだバビル2世はヨミに攻撃をかけロプロスによってふたりは相対することになる。
苦しむバビル2世がすてきなのだ。
ヨミが放ったエネルギー衝撃波で苦しんだ、かのように見えたバビル2世は実はそのエネルギーを吸収していたのだ。バビル2世は吸収したエネルギーをヨミに放つ。
バビル2世の圧倒的な力
ヨミの心臓の鼓動は停止した。その体の上に砂漠の砂が覆いかぶさっていった。
こうして第一部完結となる。横山氏自身はここで本当に終えるつもりだったのだろう。
もしかしたらその方がよかったのかもしれないが時代は『バビル2世』を放さなかった。特に女性人気がすごかったらしい。自分もそうだったからわかるけど。
アニメ化されたバビル2世の人気は留まらず第二部が始まる。
と書かれている。
国家保安局司令官の乗った飛行機が突如制御不能となり落下。機内の司令官の遺体が持ち去られる。
事故の知らせを受け駆け付けた局長の前にバビル2世が姿を現す。
ところが司令官は無事だったのだ。驚く関係者の中でひとりバビル2世は異常なものを感じた。
バビル2世は局長に山辺司令官は死人ですと伝える。
局長はバビル2世の忠告を受けて司令官を調査する。