ガエル記

散策

『伊賀の影丸』横山光輝 7巻 前半

「土蜘蛛五人衆の巻」

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

土蜘蛛党の首領でありただひとりの生き残りとなった金目の後を追った善鬼はその秘術にかかってしまう。

だが影丸にひとことでも伝えたいと必死で半蔵屋敷に戻り目的を果たして死んだ。

そこへ金目からの矢文が届き鴨が原で一対一の勝負をしたいというのだった。

影丸は受けて立った。

かわいいふたり。

これを見ると吾妻ひでお氏の可愛い男の子は横山光輝からだったとわかる。

かわいすぎてずっと切り取ってしまう。

でも十郎太も好き。つまり村雨兄弟が好きということだな。

 

村雨家の庭には薬草と毒草が植えられている。影丸がその匂いを嗅ごうとすると源太郎は「その毒花をかぐと感覚が麻痺して動作がのろくなり反対に相手の動きが早く見えてくる」という。影丸は驚く。死んでしまった善鬼が言い残した言葉と同じだったからだ。

影丸はあえてその毒花を嗅ぎ源太郎に手裏剣を投げてくれと頼む。

従った源太郎の動きは次第に早くなり見えないほどに感じられる。

そして影丸は気を失ってしまった。

慌てた源太郎は兄の十郎太を呼ぶ。目が覚めた影丸は金目との戦いが見えてきた。

 

しかもその後十郎太は金目と相対してさらに金目の弱点をつかむ。影丸にはもう金目の術を解いていた。

 

決戦はすでに影丸のものだった。

影丸は最初から金目の目を見ないように正面に対するのを避けた。煙を満たしさらに指定した鴨が原に金目が細工しているのを危ぶみ焼き払う。

あちこちに仕掛けられていた槍が虚しく空を飛んだ。

影丸は木の葉火輪で攻める。

焼け死ぬことを怖れた金目はなんとかして影丸に近づこうとよろめいた。

その時自分が仕掛けた槍に腹を刺され倒れてしまう。影丸は「自分が仕掛けた罠の場所を忘れるとはな」と倒れた金目に近づいた。

途端に金目は目を開き「見たぞ影丸」と槍をかざす。しかし一瞬のうちに影丸の刀が金目を突いていた。

金目は死んだ。

しかし影丸には勝利の快感はなく半蔵屋敷へと向かったのだった。

 

昨日は作品前半感想で「横山氏も煮詰まってきての二番煎じ」というようなことを書いたが読み終わってみるととても面白かった。

新しい仕事ではないとか文句をつけたけどそもそも「忍者の宿命の悲しさ」を描くのが横山氏のテーマなのだからこれで良かったのだとすじ違いの反論を反省。

まさに多勢に無勢。幕府を後ろ盾にしている半蔵組織とたった五人で挑み次々と敗れ去っていった土蜘蛛党の哀れを影丸は感じてしまったのだ。

 

横山マンガは一見子供っぽく感じてしまう。余計なことを言わないがためにそのまま単純な児童向けマンガと思ってしまう。

私自身横山忍者ものは白土三平作品と比較するに足りない、と思い込んでいたのだけど読み込んでいくとそれだけではない奥深いものがある。

それを言葉で説明されてはいないので容易く汲み取ることができないのだ。いわばあちら側だけが苦しいのではなくこちら側の苦しみもまたあるともいえる。

伊賀の影丸』が単に『影丸』ではなく『伊賀の』である意味がある。

 

もしかしたら白土三平の『影丸伝』とは「真似した」みたいなことではなく、あえて対抗しての『伊賀の影丸』だったのだろうか。

などと書いているが実は『影丸伝』自体遠い昔に読んだきりなのだ。

もう一度こちらも読んでみなければと思わされている。

 

ここにきて横山光輝の凄さを思い知ると同時に白土マンガをきちんと読むべきという焦りを感じている私ですw