ガエル記

散策

『三国志』再び 横山光輝 八巻から九巻冒頭

あなたは曹操✖○○は誰ですか?

 


ネタバレしますのでご注意を。

 

 

八巻冒頭の呂布董卓討伐に戻るが本作の原作ともいえる吉川英治三国志』ではこの貂蝉による誘惑作戦は王允の策略ということになっている。

横山氏がこれを「貂蝉自身が言い出した作戦」に変えたのは理解できる。つまり「董卓討伐という正義」を行っている王允を「女の性を利用する悪党」にするのに嫌悪感があることと奴隷ゆえにやむなく飼い主の命令を聞かざるを得ない女の悲劇にはしたくなかったということだろう。

貂蝉から言い出した、ということにすれば女性でありながら戦い抜いた気高さという描写にできる。

とはいえ現在の感覚で見れば貂蝉自死する必要はない。仕事の報酬として王允が彼女をどこかで裕福に暮らせてあげるという運びにしても良かった気がしてしまうけど。

 

そして横山『三国志』は名場面が多いけどこの場面もまたそうかなと感じた。

使い道は非常に限られるだろうけども。

 

曹操の平服姿。

なんという涼し気なたたずまい。とんでもない美男子ですなあ。

戦う姿の曹操もすてきですが(なぜこのカット)

おしゃれさんです。

この先の曹操父の話は凄くツライ。

曹操父、ものすごい子煩悩で良い人なんだよなあ。

マンガ世界も「毒親」問題がはびこっているけど曹操は凄く愛されて育った珍しい男である。

愛されて育ったから自己肯定感が高いのだろう。

こんなに喜んでいるお父さんを・・・許さん、陶謙の家来め。(陶謙も気の毒なんだけど)しかしこんな善良な人物からなぜ曹操のような猛獣が生まれたのか。母親が女豹だったのか。

こうして曹操父はむなしく陶謙の家来に金目当てで殺されてしまう。

この頃の曹操はまだ若くてぷりぷりしてるね。

父の仇討ちで出陣を命じると部下に止められ

曹操の父思いもいじらしい。

 

当の陶謙はそもそも曹操とお近づきになりたくて曹操父を招待したのに反対の結果となり困惑していた。

そして曹操に自分の首を差し出して部下たちは助けて欲しいと願い出るつもりだった。(こっちも良い人で困る)が部下たちは武士として最後まで戦いたいと申し出た。

陶謙はやむなく各地に救援を求めた。

それは公孫瓚の元にいる玄徳の耳にも入る。玄徳は公孫瓚に援軍に行きたいと願い出る。首をかしげる公孫瓚に玄徳は答える。「陶謙殿は名君と聞きます。そんな人物が私事の争いに巻き込まれ滅ぶのは見ていられませぬ。それに・・・」

この公孫瓚のポーズがかわいいwwww

「まあ援軍に行くのは君の自由だがな」ってどういう台詞なの公孫瓚ww

 

こうして玄徳もまた徐州に向かった。

(徐州と聞くだけで人馬が進んじゃうんだけど)とはいえ玄徳

曹操に一目置いているんだよね。

玄徳は手紙を書いて張飛に使者となってもらう。「おやすいご用」と引き受ける張飛

ほんとうに目の前の暗闇にかがり火が見えるように思える美しい場面だ。張飛の立てる槍に白旗がついてるのかな。(この頃からそういう意味を持つのか?)

この中をひとり行く張飛の肝っ玉よ。

なんとなく玄徳と曹操が近しいようでうれしくなる一コマ。

まあ直後上のあのコマになるんだけどビッ

 

曹操は「その使者の首を斬ってわしの返事とせい」と命じるが張飛の首を斬れる者などいない。

逆に斬られちゃう。

が、そこに至る前に「兗州呂布軍に攻め込まれました」という報告が入る。

曹操はすぐに引き返す決意をする。

そのために玄徳の停戦に応じたふりをして引き揚げることとした。

曹操は直に張飛に会い「よくわかった。停戦に応じよう」と伝えた。驚いたのは張飛である。

そりゃそうだ。百万の軍勢を引き連れておきながら玄徳の一枚の手紙で「よくわかった」って。あり得んよな。

しかし追討ちをかけられることが曹操にとっては最も避けたい事態。

曹操は速やかに兗州へと引き返したのだ。

 

董卓を討ちながら長安から落ちのびなければなかった呂布は領土を持たぬ将軍だった。呂布は大きな領土が欲しかった。そんな時、曹操が国を空にして徐州へ向かったのを知ったのだ。

呂布軍は連戦連勝だった。

 

剛の呂布と智の曹操。両者は正面から激突した。

が剛腕の呂布の前に曹操軍は無数の死者を出し引き揚げるしかなくなる。

しつこく追いかけてくる呂布軍をくい止めたのが悪来典韋の「十歩投げ」

馬鹿力の野蛮人かと思ったらすごく知的で繊細な攻撃だった。

 

これでいったん曹操は逃げ延びるが呂布軍は曹操討伐をあきらめない。

策略を講じて曹操を罠にかける。

曹操はこの策略によって大火事の中に飛び込む羽目となる。

少々っていうのかこれ。それとも過剰に包帯巻いただけなのか。

 

不屈の男。不死身の男。

そういえば横山光輝氏は繰り返し不死身の男、というのを描いている。

天野邪鬼もヨミ様も何度も蘇る男だった。

横山氏は『三国志』の中で曹操が好きだと言われていたがこうした「不死身の男」であることに惹かれていたのだろうか。

 

曹操夏侯淵に自分自身の葬儀を執り行えと命じた。必ず残った兵を皆殺しにしようと呂布が現れるだろう。

それを討つのだ。

この計略は上手く運び今度は呂布軍が逃げるしかなかった。

 

 

この曹操呂布の戦争は奇妙な仲裁が入る。イナゴの大群が押し寄せすべての食糧を食い尽くして両軍を苦しめた。

 

一方徐州の陶謙曹操軍が引いた後病に倒れた。日に日に弱っていく陶謙は玄徳の仁徳を見込んで後継者になって欲しいと願い出たのだ。

これに玄徳は困惑するが陶謙の家来たちも平伏して請うのだった。

ついに陶謙が逝去しさらに住民たちも玄徳に後継者として求めた。

玄徳は戦わずして徐州の太守となったのだ。

 

そして黄巾賊と戦い名をあげようとする曹操軍。

黄巾党の総大将を見つけ悪来典韋が一騎打ちで捕らえようとするが。

突如現れた謎の男に先取りされてしまう。

いきなり総大将を抱えて連れ去る男にさすがの悪来典韋も啞然。

すぐ(強い)男欲しくなる病の曹操様危険。

罠を仕掛け悪来を引き揚げさせる。

ほんとかなあ。わざと痛めつけさせたんじゃないのお?

 

天下の農民・許褚と邂逅。

この胸元が見える許褚のカットとアップになる曹操の二段構えのカットがいやらしいんだよお。曹操がよからぬ欲望を持っているとしか思えないんんだよな。

イヤラシイ。

曹操をほめちぎる悪来

ほんと曹操愛されているよな。初々しい許褚も見られて嬉しい。

 

うひゃあ。

実は私の今回の再読、許褚を見たいがためだったのだwww

三国志』ファン、BL方面の愛好者も多いと思われる。曹操✖○○に玄徳を入れるか関羽を入れるかといろいろあるでしょうが私は断然曹操は許褚なのだ。曹操✖許褚が最高なのだ。

しかも許褚はずっと長く曹操に連れ添うことになる。晩年失敗もあるけどそれでも許されていたと思う。

ここを見てやっぱり許褚可愛くて良いです。

 

『三国志』再び 横山光輝 七巻後半から八巻冒頭

呂布。横山三国志の中で一番女に弱い豪傑。

女に弱いと言うべきなのか、女に優しいと言うべきなのか。

女にとことん冷たい玄徳とどっちがいいのか。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 


ほんとはこんなデザインじゃないよね???すごくかっこいい孫堅軍船

孫堅軍を待ち受けるのは荊州の(見なかったことにしておこうの)劉表。まずはその第一戦の大将江夏城の城主黄祖であった。

孫堅の軍船を発見して合図を送る。

というので気づいたけど、ここまで横山三国志で有名な「ジャーンジャーン」はあったんだっけ。(なかったような。あっても控えめだったのか)

この合図を機に大将黄祖孫堅軍船を迎え撃つ。

というので思い出したけどある頃から映画でこうした弓矢攻撃がCGの使用で空を覆うように飛ばすというのが定番になったように思えるけどあれはいつだれの映画が最初だったのか。自分自身は張芸謀チャン・イーモウ)の『英雄』なんだけど。違う??

 

孫堅孫策父子

 

対する黄祖。かなり頑張ったが孫堅の奇策によって大敗してしまう。

この報を受けた劉表は驚くが難攻不落と言われる襄陽城に立てこもり持久戦となる。

 

時が経ち風の強い時期となった。その時「帥」と書かれる大将旗の竿が風で折れてしまった。兵士たちは不吉な予感を覚え孫堅に引き揚げを促したが孫堅は意に介さず戦い続行を命じた。

一方劉表側では天文官が星を観て孫堅に凶兆があると占った。

そしてその占いが示した通り孫堅劉表が差し向けた呂公らによる落石によって命を落とす。

孫堅三十七歳だった。

 

長安では董卓が栄華を極めていた。王城をしのぐ豪華な城を築き八百人の美女を後宮に入れ天下の財宝を集めた。

気に入らぬものがいれば呂布にその首を斬らせて宴会で皆の見せしめにし権力を恣とした。

その長安で天子の行く末を案じ涙する人がいた。かつて曹操に宝剣を渡して董卓討伐を望んだ王允であった。

悲しむ姿を見て貂蝉が問いかける。貂蝉は赤子の時に奴隷として王允に買われた身であったが実の娘のようにかわいがられた恩を返したいという思いが強くあるのだった。

 

王允から理由を聞いた貂蝉は「董卓呂布の仲を裂いてしまえば」と言い出す。

美しい貂蝉は自分の身を犠牲にして董卓呂布の両方を誘惑し仲違いさせてしまえばという策略を講じたのだ。

王允はためらいながらもその策略に乗ったのだ。

 

貂蝉の策略は面白いように進んでいく。

まず呂布を虜にし次に董卓も同じようにしてそのまま董卓に連れ去られる。

それを知った呂布は嫉妬と怒りで王允に怒鳴りこむが上手くかわされ董卓の城へ行くとすでに董卓と一夜を共にした貂蝉に泣きつかれる。ここで何も知らない董卓はいきなり寝室にまで入り込んできた呂布を叱り飛ばす。呂布は動揺しながらも言い訳をして立ち去るしかなかった。(ここでいきなり斬り殺せないのが呂布なのか)

 

呂布董卓があきらめようとすると貂蝉はたくみに話しかけ男たちが自分を諦めたくないと思うように仕向ける。

李儒李儒で知恵を働かせるのだが貂蝉の魅力がそれを上回ってしまうのだ。

呂布の妄想www董卓のスケベ顔がむかつくわ

 

しかしここまでしても呂布董卓に対して恩義を感じてあきらめようともするのだよな。

貂蝉呂布にも董卓にも言いよって事態を操る。

董卓の心変わりで結婚の準備を反古にされ、ついに呂布は怒りを爆発させる。

裏切り者だが女性には一途というべきか。

 

王允呂布董卓への嫉妬と怒りを暗殺への決意にするよう仕向け自ら董卓を討つ計画を立てていく。

ついに呂布によって董卓は討ちとられた。

呂布は動きを止めず董卓の城へ急ぎ李儒をはじめ董卓の兵を討ちとっていく。そしてやっと貂蝉を取り戻したのだ。

貂蝉を自分の屋敷へ送り後始末をつけてから帰ったがその時すでに貂蝉自死していた。

横山先生は呂布をほんとに筋肉馬鹿として描いているようだ。

それはそれで男らしい可愛さもあるし嫌いではなかったのかもしれないけど。

 

そしてここに呂布を批評する曹操の言葉が。

そうなんだよなあ。

 

恩義のある董卓を討っても呂布は結局覇権を握れず都を落ち袁術のもとへと身を寄せる。

曹操はこれを聞いて「また世の中は乱れるな」と予想しその通りとなった。

黄巾賊が再び暴れ出したのだ。

朝廷は曹操に黄巾賊討伐を命じ曹操は直ちに行動してあっという間にこれを平らげた。曹操は「鎮東将軍」の名をいただくだけでなくその実力を蓄えていく。

 

ここで曹操は自分を可愛がってくれた父親を我が城に迎えようと考える。親孝行をしたくなったのだ。

この思いが逆に不幸を招きそして様々なめぐりあわせを引き寄せていく。

 

この「曹操の親孝行事件」かわいそうで辛いのですがその後の展開がここから始まっていくので目が離せない。

曹操と玄徳が敵対しやがて親しくなる。そして・・・これは見逃せない。

 

 

『三国志』再び 横山光輝 六巻から七巻冒頭

読み返していて、こんなに面白い作品を読めることが幸福だとしみじみ感慨に震えています。これを読まずに死ななくてほんとうによかった。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

という奇妙なる感動を覚えているけど曹操様の一大事だ。

袁紹の言葉を退け己の軍だけで董卓を追い詰め李儒の策略にはまってしまう。

 

曹操は何度も死の際まで行くけどこの時どうして死んでしまわなかったのか(どういう感想か)不思議なほどだ。

死の淵にまで追い詰められると誰かが助けにくる。不思議な男でもある。

「もはやこれまでか」と思い詰めると「殿!早まってはなりませぬ。ここは拙者にお任せくだされ」と家来が我が身を犠牲にする。

「殿!ご無事で」と祈ってすぐ矢ぶすまとなり倒れ落ちる。

その曹操も背中に矢を受け落馬しさらに脇腹に槍を突き立てられた。敵兵に囲まれあわやというところ駆け付けてきた人馬があった。

曹洪が駆け付け曹操を拾い上げそのまま駆け去ったのだ。

可愛い弟だ。

しかしふたりの前には大河が、そして後ろから敵兵が迫ってきた。

曹操は自害を決意する。しかし曹洪は「天下は兄上を必要とするのです」と言い切り曹操を馬から降ろし服を脱ぎ大河を泳ぐと言う。

「この体では泳げん」という曹操に「私が抱いて泳ぎます」という曹洪曹操の脇腹の傷が痛々しい。

曹洪は兄を抱き大河に身を投げた。

敵兵が追いついた時、ふたりの影はすでに大河の中だった。

「なんと命知らずよ」とあきれる敵兵。

ほんとすげえなこいつら。

曹操の肩の太さがかっこいいと変なとこで見惚れる。

なにかに使われてしまいそうなカットだがお疲れ様でした。

 

が、ふたりの周囲には敵の旗が並び立っていた。

かっこいいぞ曹兄弟。

 

ところがここに曹操の兵軍がなだれ込んでくるんだよ。どういうこと。

曹仁楽進はふたりをそれぞれ馬に乗せ駆け去った。

 

曹操の前に生き残った兵たちがひれ伏し喜びの涙を流した。「殿さえご無事なら再起を図ることもできまする」

「よろしい、天よ我に百難を与えよ」

殿についていきまするううう(私の声)

 

袁紹曹操の敗北を聞き嘲笑していた。

それを聞き孫堅は反乱軍に対する不信を強めていた。

しかも孫堅はここで皇帝の玉璽を井戸の中から見つけ出してしまうのだ。これを天よりの啓示と悟った孫堅は帰国を決める。

だがこのことが袁紹の知るところとなり帰国を告げた孫堅袁紹は詰め寄る。その場では皆に押し留められたが強行に帰国する孫堅袁紹は追撃をかけた。逃げのびた孫堅は犠牲となって死んでいった兵たちに復讐を誓う。

戻ってきた曹操もまた帰国すると袁紹に告げる。

 

そしてまた残った義勇軍諸侯たちも解散しそれぞれの故郷へと戻っていく。

公孫瓚劉備兄弟を自国に招待しようと声をかけるが劉備はこれを辞退し流浪の旅を続ける。

 

ここから袁紹公孫瓚の奇妙な争いが始まる。

袁紹軍は豊かな冀州を「協力して乗っ取ろう」と公孫瓚に声をかけさらに冀州には「公孫瓚が貴国を狙っているので助けてあげましょう」と言いながらそこを乗っ取ってしまおうというなんとも下劣な策略を謀った。

冀州はまんまと袁紹の手に落ちてしまうのだがこれに公孫瓚が怒り戦争となっていくのだ。(冀州おまえって)

公孫瓚は使者として出した弟を無惨に討たれ怒り心頭となるが差し向けられた文醜との一騎打ちで危うくなる。

ここに登場してきたのがあの趙雲子龍である。

公孫瓚の危機を救った趙雲は客分として公孫瓚に付く。

 

とはいえ袁紹軍との戦争は終わってはいない。公孫瓚は自慢の「白馬陣」で迎え撃つが文醜軍に崩されてしまう。

これに気を良くした袁紹公孫瓚を追撃するがここでも公孫瓚軍を守り抜いたのが趙雲だった。さらに劉備兄弟が駆け付ける。

劉備の掛け声で関羽張飛が暴れまわる。

 

 

公孫瓚は喜び劉備趙雲を引き合わせる。

認め合うふたり

 

袁紹公孫瓚の戦争を董卓はおおいに喜んだがここで李儒が「帝の名を持って和睦を勧めれば(董卓に)恩義を感じるでしょう」と申し出る。

疲弊していた両軍はこれを認め戦いは終わった。

 

公孫瓚長安に感謝の印を届けさせその際「劉備を平原の相に任命されたし」と願い出これが受理された。(公孫瓚、良い人!!!)

しかもその晩は劉備へのお祝いと送別をかねての大宴会となった。(なんて良い人なんだ)

やっぱり張飛が一番心を痛めていたんだなあ。

 

劉備は酔い覚ましに外へ出る。(お酒には弱い)

ここで趙雲が後ろから忍び寄り「拙者も平原に連れていってくだされ」と願い出たのだ。

突然の告白に動揺。

しかし玄徳は趙雲の申し出をやんわりと断る「しかし今はその時期ではありますまい」

???なぜ???

趙雲気の毒。

 

さてここで袁紹の弟袁術が登場する。

南陽の太守である袁術だがその国は貧しく兄袁紹の援助を頼みにしていた。

その援助が少ないことに袁術は腐っていたのだ。

袁術はこともあろうに兄袁紹を恨んでいる孫堅と手を組み孫堅荊州、自分には冀州を取って共に復讐を果たそうと手紙を送る。

孫堅袁術を「偽りの多い小人」と認識しながらもこの機に乗じて袁紹を討ちかつての恨みを晴らす決意をする。

部下たちは戦争に反対するが長男の孫策は父の決意に同意した。幼い少年でありながら戦いに出陣すると申し出たのだ。

 

孫堅は仇討の出陣を決行した。

 

冒頭にも書いたけどこの面白さ、絵のすばらしさ堪能できる幸福よ。

 

 

 

 

 

『三国志』再び 横山光輝 五巻

ところで横山『三国志』を読んで初めて私は水島新司ドカベン』設定が『三国志』からなのだと気づきました。

岩鬼が一番わかりやすく張飛ですね。破天荒さと体力が共通点です。

主人公たる劉備里中智くんです。志は高いけど体力が足りない。母子家庭で貧しいけどお母さん思いというのまで一緒ですよ?

では山田太郎君は?

私は孔明関羽を足して2で割っていないと確信しています。山田君は孔明の頭脳と関羽の腕力を合わせ持っていると思うのです。

そして里中君へのあの忠義心はまさしく関羽でしょう。

そして姿かたちは趙雲wwwいや趙雲が山田君を真似たのかwwwというわけで

山田太郎君は孔明関羽趙雲になります。もの凄すぎだけどそれだけの男ですぞ。

そして山田君が孔明だという証明は里中君が山田君の才能を求めて家にまで訪ねていき畳屋になるという山田君に「君は絶対に高校へ行く」と言いそして同じ明君高校へ入ったというのでわかりますよね。

山田君=孔明(+関羽趙雲)が怪我で思うように投げられない里中君を見て「この頑張り屋さんのために精一杯のリードをするぞ」と決意するのは忘れられない場面ですが『三国志』を知って劉備を勝利に導く孔明だったのだなあとより深く感動しました。

 

じゃあ曹操は?うーんやっぱり不知火ですかね。かっこよさが半端ないんで。

じゃあ孫権は雲竜か。この辺になると怪しいですw

もちろん水島『ドカベン』と横山『三国志』はほぼ同時期の連載作品なので水島さんの『ドカベン』設定は横山『三国志』からというわけではなく、あの世代の男性の必読書だったのじゃないかということで吉川英治三国志』あたりと想像しています。それでもお互いの先生方の作品を読まれていたんじゃないかとも憶測します。趙雲はどうしても山田君由来と思われてならないwww

 

こんな話はとっくに語られていることでしょうが(何十年経っての話か)自分では読んだり聞いたりした記憶がなかったので書いてみました。

 

さて私の妄想はここまでにして続けます。

 

ネタバレしますのでご注意を。

どうしてこう重ねたのだろうか。

そして関羽の美形ぶりに圧倒される。

 

いつの間にか合流していた三人義兄弟。無理くり公孫瓚の軍隊に入り込む。よかったあ。

 

 

ここで張飛かつて自分が董卓の悪口に激怒し刺し殺そうとした記憶を関羽にぶちまける

むかつく関羽であった

 

十八か国の諸侯が集まり兵力数十万となる。

曹操は総大将に袁紹を推薦する。こういうところが曹操のそつなさ。

そして先陣を切ったのが孫堅だったがその有能ぶりに袁紹が兵糧を送らなかった。そのため孫堅軍は無残な結果となってしまうのだ。

 

袁紹の愚かな処断のために決起軍は董卓軍の華雄将軍に怒涛の攻撃を受けうろたえる。

ここで関羽が表舞台に登場する。が、何者かと問われ「劉備玄徳の義弟、足軽でござる」と答えたため逆に罵られてしまう。

曹操関羽に酒を一杯すすめ華雄将軍への一騎打ちを許可した。

そして関羽は酔いが回る前に華雄将軍の首を討ちとって戻ってきたのである。

これに喜んだ張飛は「この機に一気に攻め滅ぼしちまえ」と叫ぶがこれに諸将は黙り込み気を悪くし「足軽の分際で目障りだ。さがれ」と罵倒される。

とはいえ華雄将軍を討ち取られた董卓軍はすでに戦意喪失し袁紹軍の攻撃で壊滅した。

しかし関羽はもとより劉備張飛は相変わらず地べたに座って勝利の酒を飲むしかなかった。

 

董卓軍は二手に分かれ汜水関と虎牢関を守った。

虎牢関は洛陽より五十里、天険の要塞であった。

ここに董卓呂布とその軍を配した。

 

袁紹軍もまた軍を二手に分け劉備たちは虎牢関へと向かう。

こうして劉備たちと呂布との戦いが始まる。

呂布の強さたるや。

一騎で駆け込み弓矢で次々と兵を射殺し槍を振るってはなぎ倒す。

ここで相対したのが張飛だ。

ここへ参戦したのがふたりの兄貴

 

この時の玄徳二刀流でかっこいいぞ。

しかし呂布はこの三人を相手にしてその実力に驚き「明日再戦するぜ」と言い残して逃げ去る。逃げ足の潔さも鋭い。

「逃がすものか」と意気込む張飛に「待て。奴の馬は赤兎馬だ。追いつけん」と関羽は判断し「追討ちだ」と号令する。

この日の戦いは両軍多数の死者を出して引き分け「虎牢関の戦い」と言われる。

 

ここに孫堅がひとり戻ってくるや怒りを袁紹にぶちまける。恐れをなした袁紹は部下に責任を押し付けその首を刎ねて孫堅に怒りを鎮めてくれとなだめた。

 

さて董卓は反乱軍の力に今後を考えあぐねていた。

李儒董卓長安への遷都を促す。

歴史ある都洛陽を捨てることに多くの民が動揺した。

しかし董卓は反対する者邪魔する者をことごとく斬り捨て財宝を集め強引に遷都を決行する。

そして董卓は後にする洛陽の街に火をつけたのだ。

さらに董卓呂布に命じて皇帝の墓を掘り起こし中に埋められた金銀財宝を長安へと運ばせたのだ。

 

反乱軍がこれに気づいた時はすでに董卓長安へと向かっていた。

曹操袁紹董卓追撃を促したが袁紹はニ三日休養すると答える。袁紹に失望した曹操は自軍だけでの董卓追撃を開始した。

華やかなり曹操

 

が、李儒董卓を逃がして滎陽城に突っ込んできた曹操軍を待ち構えていたのだ。

 

『三国志』再び 横山光輝 三巻後半から四巻

赤に身を固めた曹操。そうか彼は赤い彗星だったのか。

赤い彗星曹操

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 


さて。

片田舎の警察署長になったものの賄賂をせびる督郵をこらしめて飛び出した玄徳たちは張飛の知り合いである劉大人の屋敷と客人となる。

そこで以前助けた芙蓉姫と再会した玄徳は夜中の逢瀬を続けた。

 

この時の関羽の狼狽がかわいくてしかたない。

ぷーくすくす

玄徳を女にとられてしまうのは我慢ならん関羽である。

 

そこへ劉大人が吉報をもたらしてくれる。巡察がこの屋敷を訪れるというのだ。

関羽、速攻で玄徳に知らせにいく。

たぶんめっちゃ速足。すたたた。

玄徳、言い方が投げやり、心ここにあらず。関羽むかついてるw

えーなんで知ってんだよお

という気持ちを抑えて「いや、恋は路傍の花」とそらす玄徳。

この答えにほっとした関羽

関羽念を押して傷口を広げたなあ

しかしそんなことを気にしていられない。

一刻も早く玄徳をこの場から立ち去らさせねば。

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なんだろ、このコマ、関羽が見えない。きっと笑ってんだろうなあ。いや笑いを髭に隠すくらいの品はある(はず)

 

この後三人は一度別れて時期を見てまたここで落ち合おう、という約束になる。

玄徳は故郷の母の家に帰るがこっぴどく叱られてすぐにまた家を出る。

ほんとうは優しくしてあげたかった母親だった。

 

この頃世の中は再び乱れる兆しを見せていた。

あちこちで謀反が起こり始めていた。

黄巾賊の乱以後、朝廷では宦官十条時の悪政ぶりがますますひどくなり霊帝は酒と女を与えられ体を悪くしていき死んだ。

十条時は後継者の弁皇子とその母・何太后を盾にして悪政を続けようとしたがこれを排除しようとする働きがありこれに何太后とその兄将軍が立ち向かうという争いになる。

これを冷静な目で見ていたのが曹操だった。

天下の乱れを喜ぶ男・曹操ステキだ。

 

「乱世の奸雄」それもよかろう

 

朝廷は乱れ新帝は泣きながら逃げることになるがそれを助けたのが弟の協皇子・陳留王

幼いこの時は輝いていたのに・・・・

董卓はこの聡明な陳留王を新帝とし己がその補佐役として君臨することを望む。

そしてその前に現れたのが最強の戦士として名高い呂布であった。

呂布!最も強い男でありながら、忠義を重んじる三国志世界で裏切者の代名詞とも言える。また女性に溺れてしまった男、とも言えるがここまで悪しざまに描かれてしまうのは彼が漢民族ではなくモンゴルの男だからではないかと思ったりする。

日本で生まれた作品のほうが良く描かれているらしいが日本人には漢民族もモンゴル人も関係ないからではなかろうか。

横山作品ではどうしても忠義心が厚い男が良しとされるので品の無い男になってしまってるがそれでもその強さにおいて比類なき英雄であるとされてしまう。まじでとんでもない強者だったのだろう。

女性関係描写の少ない本作品の中でも美しい貂蝉との物語として心に残る。

剛腕というだけでなく百発百中の弓矢の名手というのがさすがモンゴル魂といえる。後に赤兎馬で駆ける姿もまた然りである。

「女に弱い」というのが本作でも弱点のように語られるが逆に言えば「女には優しい」となるわけで強い上に「女に優しい」ならば最高の男ではないかとも言える。

 

その赤兎馬

うつくしい

そしてそそのかされるとすぐ人を殺めちゃう男

考えが足りなく子どもっぽい男として描かれているよね。

 

逆に賢い男・李儒

 

 

そして立ち上がる男・曹操

曹操写真集欲しいよね。

 

王允から名剣七星剣をもらい受け董卓を討つと発言した曹操だったがいざ暗殺に赴くと董卓の側に呂布がいて果たせない。

馬をもらって逃亡するが捕まって檻に入れられてしまったのを陳宮に助けられる。

曹操はしょっちゅう窮地に陥るが誰かに助けられては再起を図る。不屈の男なのだ。

 

この後陳宮と共に逃亡を続ける曹操だが知己の家を訪ね助けられたにもかかわらず勘違いでその家の主人呂伯奢と家人たちを殺してしまう。恐ろしいヤツ。

陳宮は自分が助け出した男が救世主ではなく大野心家だったと気づき眠ってしまった曹操の寝首をかこうとするが思いとどまる。

この時陳宮曹操を殺してしまっていたら・・・たらればはないのだが。

以前の記事にも書いたのだがこの場面は絵画として飾っておきたい。

 

 

陳宮はそのまま曹操に従っていく。

曹操は父の家に戻りそこで兵を挙げて董卓討伐を志す。

父親は恐れながらも愛息曹操に願いを無下にできない。

父親に金はないが顔が広いので金持ちから金を出させようと曹操は企む。これがうまくいく。

やはり曹操ただものではない。

各地の将たちは曹操の檄を見て続々と集まってきた。

今再びこの大地は風雲急を告げたのである。

 

 

『三国志』再び 横山光輝 二巻から三巻冒頭

再び、っていうよりもっと読んでますが解りやすくしましたw

 

ネタバレしますのでご注意を。

「再び」読むと、この2巻時点の劉備関羽張飛たちの若々しさに涙してしまう。

明日をも知れない流浪の身、「国のために」と命懸けで戦ってもなんの後ろ盾もない彼らは礼をされるどころか侮蔑の態度で追い出されるばかり。

が、後に関羽曹操の客人になりその忠義心を自分に向けて欲しいと望んだ時関羽は答える。「玄徳様とは長い間貧しい食を分け合い苦労を共にしました。その思い出があなたとの間にはない」と(だいたいこのような)

マンガに描かれていない部分でもこの三兄弟が寝食を共にしたエピソードが数知れずあるのだと二次創作的な想像を掻き立てられてしまう。

「二度と戻らぬきらめく青春の時代よ」と振り返るにはあまりにも辛い時期だとは思うのだが後の関羽は実はこっそりこの時期を懐かしんでいたのではなかろうかとこれまた二次創作的に感じてしまう。あやつ苦労をあまり感じてなさそうだし、張飛と比べると。

張飛は思ったままを直接表現してくれるから読んでいて気持ちがいい。

一番苦悩するのは長男である玄徳よね、とは言いたいが玄徳って案外あんまり苦労を苦労と思ってない気もする。

そういうのんびりした気質だからこそ二人から敬愛されていたようにも思えるし。

ってことはやっぱり一番苦悩していたのは張飛ではないか。張飛としては自分の活躍で早く玄徳アニキを偉くしてあげたいのになかなかうまく上がれないのを気にしていたんじゃないかと思ったりする。

苦労を楽しんでる関羽とまったく気にしてない劉備の間で一人悶絶している張飛、かわいそうだ。

 

そして劉備たち兄弟はここであの曹操と邂逅する。

曹操のかっこよさ!登場からしてすでに他と違う

馬がもう美しいもの。

勝鬨を上げようという段になり

この出会いに震える。

 

ざわざわざわざわ

 

そして三巻の冒頭はさらに悲哀が濃くなる。

黄巾の乱は賊がすべて討たれ官軍の大勝利で幕を閉じる。

洛陽の街は七日七夜お祭り騒ぎとなるが劉備たちとそれに従った義勇軍は城外で沙汰を待つだけだった。

上手いなあこういう演出。

 

しかし冬が近づいてきても何の沙汰もなくやっともたらされたのは地方の警察署長の任命のみだった。

それでは義勇軍の兵たちを養うことはできない。劉備は彼らに礼を述べ兵たちも劉備に別れを告げた。

 

ここからも張飛の苦しみが続くw

都からきた悪徳督郵から賄賂を求められそんなことができない劉備に業を煮やした督郵は住民に「玄徳は住民から税金を搾り取っている」と訴状を書かせて都へ送ったというう。返事が届き次第劉備は罰せられるというのだ。

これを聞いた張飛は怒り督郵を縛り上げ木に吊るし(やったれやったれ)棒きれで思いきり叩きのめす(やったれやったれ)

ここへ劉備関羽が駆け付けるが

 

今まで沈黙していた関羽が口を開く(張飛までびっくりしてるw)

玄徳は天子の御名を恐るるのみ、と答えるが

「なに言いだすの?」てな張飛がおかしいw

関羽はこれまでの国の玄徳への対応をここでぶちまける。

ここで語る関羽の言葉はとても大切だ。

「我々もまた住むべき場所を誤った」

このことを認識できずもしくはしようとせず苦しんでいる人(日本人)のなんと多いことか。

すっきりした

よくぞ描いてくれました

 

 

『咬竜-風雲児黒田如水伝ー』横山光輝

ジャイアントロボ地球の静止する日』に引き続き横山原作アニメを見ようと予定していたのですがどうしても観続ける気になれずマンガに戻ってきましたw

横山マンガに限らず原作を愛した者はアニメには失望するきらいがあるとは思いますが横山作品は特に甚だしいのではないかと思ったりします。

横山作品はアニメとは相性が悪いのか、それとも良い巡り合わせがないのか、そもそもこんなものなのか。

 

やむなくやっぱりマンガ作品を読み進めることにします。

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

表紙はなんだかすごく可愛いけど中身の黒田官兵衛がめちゃくちゃかっこいいです。

こういう正統派二枚目は横山キャラが最高峰。

 

ヒラリ

スマートですなあ

そして馬もやっぱりうまい。

まだ横山マンガで側面歩行ではない時代。揺るぎない歩き方がたのもしい。

ホレボレ

 

そう言えば『伊賀の影丸』でも秋月藩が出てくるが、秋月藩は黒田藩(福岡藩)の支藩になるわけで『影丸』の中でも秋月藩の黒木邸というのが出てきてましたよね(たしか)

 

黒田官兵衛といえば秀吉に軍師として仕えた時代が最も有名なのだろうけど(すみません私は詳しくは知らない^^;)本作品はそれ以前の播磨国での官兵衛を描いている。

播磨国は現在の兵庫県なのでこれもやはり横山光輝氏の故郷ということでより愛着がもてる人物でもあったに違いない。

 

時の播磨・小寺家は毛利家との関係が強かったが官兵衛はこれからは織田家が覇権していきやがては毛利家との戦いになると読んでいた。その為に官兵衛は一刻も早く織田家と手を組むべきだと主君に迫っていく。

しかし小寺家の重臣たちのおおかたは毛利家に逆らうことを怖れて主君を織田家になびかせようとする官兵衛を嫌い命を狙った。

小さな播磨国小寺家の運命はどちらにつくかで決まってしまう。

しかも毛利家は小寺家の家臣と内通しながら攻めてくる。

多勢に無勢の中で官兵衛がいかに戦っていったのかを描いている。

とはいえ官兵衛には彼を慕う民百姓と忠実な部下がいた。

忍者に襲われた官兵衛を百姓たちが助ける

これは惚れちまいますな

 

ははは、みんなでホレよう。

 

「忠義」というと毛嫌いする人がいるが結局は「推し心」ってことよな

っていうか「推し」は「忠義」よ

 

惜しむらくはこの作品が秀吉に仕えるまでで終わってしまいそこから先は描かれなかった(のかな)ことだけど横山氏は(誰だってそうだろうけど)好きな部分しか描きたくない人なのでここで官兵衛への興味は終わったのかもしれない。

もし他でそういう作品があるのならそれは嬉しいことです。