ガエル記

散策

『三国志』再び 横山光輝 八巻から九巻冒頭

あなたは曹操✖○○は誰ですか?

 


ネタバレしますのでご注意を。

 

 

八巻冒頭の呂布董卓討伐に戻るが本作の原作ともいえる吉川英治三国志』ではこの貂蝉による誘惑作戦は王允の策略ということになっている。

横山氏がこれを「貂蝉自身が言い出した作戦」に変えたのは理解できる。つまり「董卓討伐という正義」を行っている王允を「女の性を利用する悪党」にするのに嫌悪感があることと奴隷ゆえにやむなく飼い主の命令を聞かざるを得ない女の悲劇にはしたくなかったということだろう。

貂蝉から言い出した、ということにすれば女性でありながら戦い抜いた気高さという描写にできる。

とはいえ現在の感覚で見れば貂蝉自死する必要はない。仕事の報酬として王允が彼女をどこかで裕福に暮らせてあげるという運びにしても良かった気がしてしまうけど。

 

そして横山『三国志』は名場面が多いけどこの場面もまたそうかなと感じた。

使い道は非常に限られるだろうけども。

 

曹操の平服姿。

なんという涼し気なたたずまい。とんでもない美男子ですなあ。

戦う姿の曹操もすてきですが(なぜこのカット)

おしゃれさんです。

この先の曹操父の話は凄くツライ。

曹操父、ものすごい子煩悩で良い人なんだよなあ。

マンガ世界も「毒親」問題がはびこっているけど曹操は凄く愛されて育った珍しい男である。

愛されて育ったから自己肯定感が高いのだろう。

こんなに喜んでいるお父さんを・・・許さん、陶謙の家来め。(陶謙も気の毒なんだけど)しかしこんな善良な人物からなぜ曹操のような猛獣が生まれたのか。母親が女豹だったのか。

こうして曹操父はむなしく陶謙の家来に金目当てで殺されてしまう。

この頃の曹操はまだ若くてぷりぷりしてるね。

父の仇討ちで出陣を命じると部下に止められ

曹操の父思いもいじらしい。

 

当の陶謙はそもそも曹操とお近づきになりたくて曹操父を招待したのに反対の結果となり困惑していた。

そして曹操に自分の首を差し出して部下たちは助けて欲しいと願い出るつもりだった。(こっちも良い人で困る)が部下たちは武士として最後まで戦いたいと申し出た。

陶謙はやむなく各地に救援を求めた。

それは公孫瓚の元にいる玄徳の耳にも入る。玄徳は公孫瓚に援軍に行きたいと願い出る。首をかしげる公孫瓚に玄徳は答える。「陶謙殿は名君と聞きます。そんな人物が私事の争いに巻き込まれ滅ぶのは見ていられませぬ。それに・・・」

この公孫瓚のポーズがかわいいwwww

「まあ援軍に行くのは君の自由だがな」ってどういう台詞なの公孫瓚ww

 

こうして玄徳もまた徐州に向かった。

(徐州と聞くだけで人馬が進んじゃうんだけど)とはいえ玄徳

曹操に一目置いているんだよね。

玄徳は手紙を書いて張飛に使者となってもらう。「おやすいご用」と引き受ける張飛

ほんとうに目の前の暗闇にかがり火が見えるように思える美しい場面だ。張飛の立てる槍に白旗がついてるのかな。(この頃からそういう意味を持つのか?)

この中をひとり行く張飛の肝っ玉よ。

なんとなく玄徳と曹操が近しいようでうれしくなる一コマ。

まあ直後上のあのコマになるんだけどビッ

 

曹操は「その使者の首を斬ってわしの返事とせい」と命じるが張飛の首を斬れる者などいない。

逆に斬られちゃう。

が、そこに至る前に「兗州呂布軍に攻め込まれました」という報告が入る。

曹操はすぐに引き返す決意をする。

そのために玄徳の停戦に応じたふりをして引き揚げることとした。

曹操は直に張飛に会い「よくわかった。停戦に応じよう」と伝えた。驚いたのは張飛である。

そりゃそうだ。百万の軍勢を引き連れておきながら玄徳の一枚の手紙で「よくわかった」って。あり得んよな。

しかし追討ちをかけられることが曹操にとっては最も避けたい事態。

曹操は速やかに兗州へと引き返したのだ。

 

董卓を討ちながら長安から落ちのびなければなかった呂布は領土を持たぬ将軍だった。呂布は大きな領土が欲しかった。そんな時、曹操が国を空にして徐州へ向かったのを知ったのだ。

呂布軍は連戦連勝だった。

 

剛の呂布と智の曹操。両者は正面から激突した。

が剛腕の呂布の前に曹操軍は無数の死者を出し引き揚げるしかなくなる。

しつこく追いかけてくる呂布軍をくい止めたのが悪来典韋の「十歩投げ」

馬鹿力の野蛮人かと思ったらすごく知的で繊細な攻撃だった。

 

これでいったん曹操は逃げ延びるが呂布軍は曹操討伐をあきらめない。

策略を講じて曹操を罠にかける。

曹操はこの策略によって大火事の中に飛び込む羽目となる。

少々っていうのかこれ。それとも過剰に包帯巻いただけなのか。

 

不屈の男。不死身の男。

そういえば横山光輝氏は繰り返し不死身の男、というのを描いている。

天野邪鬼もヨミ様も何度も蘇る男だった。

横山氏は『三国志』の中で曹操が好きだと言われていたがこうした「不死身の男」であることに惹かれていたのだろうか。

 

曹操夏侯淵に自分自身の葬儀を執り行えと命じた。必ず残った兵を皆殺しにしようと呂布が現れるだろう。

それを討つのだ。

この計略は上手く運び今度は呂布軍が逃げるしかなかった。

 

 

この曹操呂布の戦争は奇妙な仲裁が入る。イナゴの大群が押し寄せすべての食糧を食い尽くして両軍を苦しめた。

 

一方徐州の陶謙曹操軍が引いた後病に倒れた。日に日に弱っていく陶謙は玄徳の仁徳を見込んで後継者になって欲しいと願い出たのだ。

これに玄徳は困惑するが陶謙の家来たちも平伏して請うのだった。

ついに陶謙が逝去しさらに住民たちも玄徳に後継者として求めた。

玄徳は戦わずして徐州の太守となったのだ。

 

そして黄巾賊と戦い名をあげようとする曹操軍。

黄巾党の総大将を見つけ悪来典韋が一騎打ちで捕らえようとするが。

突如現れた謎の男に先取りされてしまう。

いきなり総大将を抱えて連れ去る男にさすがの悪来典韋も啞然。

すぐ(強い)男欲しくなる病の曹操様危険。

罠を仕掛け悪来を引き揚げさせる。

ほんとかなあ。わざと痛めつけさせたんじゃないのお?

 

天下の農民・許褚と邂逅。

この胸元が見える許褚のカットとアップになる曹操の二段構えのカットがいやらしいんだよお。曹操がよからぬ欲望を持っているとしか思えないんんだよな。

イヤラシイ。

曹操をほめちぎる悪来

ほんと曹操愛されているよな。初々しい許褚も見られて嬉しい。

 

うひゃあ。

実は私の今回の再読、許褚を見たいがためだったのだwww

三国志』ファン、BL方面の愛好者も多いと思われる。曹操✖○○に玄徳を入れるか関羽を入れるかといろいろあるでしょうが私は断然曹操は許褚なのだ。曹操✖許褚が最高なのだ。

しかも許褚はずっと長く曹操に連れ添うことになる。晩年失敗もあるけどそれでも許されていたと思う。

ここを見てやっぱり許褚可愛くて良いです。