ガエル記

散策

『火狩りの王』西村純二

原作:日向理恵子 構成/脚本:押井 守 キャラクター原案:山田章博

 

wowowオリジナルアニメ作品です。日本製でオリジナル作品、と聞くとどういうものか価値が上がるというより逆に「おもしろくないのでは」とつい思ってしまいます。

特にwowowオリジナルはつい先だってそれこそ押井監督の仲間内である神山監督(『攻殻機動隊』において)のオリジナルアニメ『永遠の831』に完全にがっくりさせられたので今回も疑惑を持ってしまうのは仕方ないと思いつつ少し期待していました。

 

さて私はwowowオンデマンドでの鑑賞で3話まで観ました。

なのでその分のネタバレをしてしまいますのでご注意ください。

 

 

内容はまったく知らなかったので観始めてちょっと不思議な世界観を理解しようと頑張ることになります。

ちょっと不思議、といってもこれまで観たことのないものではなくむしろ最近多く描かれている「世界の終わりのその後の世界」です。

かつてアニメは世界を守るために戦争を続けてきましたがそのアニメ界ではすでに世界は戦争によって破壊されてしまったのがデフォルトになってしまいました。

今ではほとんどのアニメが「終わりのその後」を描くことになっています。

では「その後」がどうなっているのか人間たちがその中でどう生きていくのかを描くのが興味の対象になるのは当然です。

 

 最終戦争前に開発・使用された人体発火病原体によってこの世界では「火」を使うと人間は死んでしまうのだが唯一「森に棲む炎魔から発せられた火」は安全に使うことができる、というある意味緩い規則性が配置されている。もちろん科学的な説明がされるのかもしれませんが。

その炎魔から火を取ってくるのが「火狩り」なのだがヒロイン灯子が無断で森に入り炎魔に襲われたのをひとりの「火狩り」に救われその火狩りが傷を負って死んでしまうところから物語が始まります。

 

細々と暮らしている村の中に突然機関車(?)のような乗り物が登場して世界観が変わっていきます。

ここで思い出したのが『甲鉄城のカバネリ』です。

これもいわゆるオリジナルアニメで荒木哲郎監督というのもあって期待して観始めたのですがゾンビの残虐性だけが見える作品で脱落してしまいました。

本作『火狩りの王』はもしかしたらその『甲鉄城のカバネリ』とほぼ同じような世界観で(両方まだ知らないのですが)描き方だけが違うのでは、と思っていたりします。

 

つまり『甲鉄城のカバネリ』はいかにも男性的な思考と価値観なのに対して本作『火狩りの王』はきわめて女性的な価値観と思考で構成されているだけの違いなのではないかと感じたりしました。

 

好戦的に突き進んで行っていた『甲鉄城のカバネリ』に対し『火狩りの王』はひっそりと始まり登場人物たちはこれから始まるだろう未知の世界に怯えおののいています。

私はこの始まり方こそ正しい入り方なのでは、と思いました。

 

これからどうなるのか何の力もないような灯子がどうなっていくのか観ていこうと思います。