ガエル記

散策

『三国志』横山光輝 第二十七巻

表紙絵周瑜

才能豊かな稀代の将軍しかも稀な美男子であり美姫を妻とする完璧な男性で映画『レッドクリフ』ではついに主人公となって孔明と深い友情を築く物語を作りました。

が、横山『三国志』ではなんとなく軽い人物として描かれている気がします。

美貌才能はあるのですがやや残酷さが際立ち自意識過剰な人物として描かれています。

我こそが最高の武将として自認する彼は孔明の才覚とそれを部下にする玄徳に執拗な嫉妬と焦燥が著しく表現される。

曹操もまたそうした描写が多いのだけど曹操の描き方と周瑜ではまったくイメージが違うのが面白い。

単純に横山氏の曹操への愛着と周瑜への嫌味が感じられてしまうのだ。

この27巻では周瑜はほぼそれまでの名提督ぶりは薄れてしまったと思えます。

 

 

ネタバレしますのでご注意を(上のはネタバレではないのかとも言えるが)

 

 

赤壁の戦いで呉軍は勢いをつけていく。

降伏する曹軍の残兵を組み入れて南郡攻略を開始したのだ。

 

そこへ玄徳の使者が到着し戦勝祝の贈り物を届けた。

周瑜は喜び迎え入れるが玄徳が油江口にいると聞いて眉を曇らせる。

玄徳軍が南郡を攻める野心を見たのだ。 

呉軍は赤壁の戦いに勝利したとは言え曹操を打ち取ったわけではなく戦果というものはない。この勢いで南郡を討ちとっていきたい周瑜にとって玄徳のこの意志は目障りだった。

周瑜魯粛と共にすぐさま玄徳陣へ返礼というかたちで釘をさしに行く。

これを奇妙に思った玄徳は孔明から対処法を授かる。

 

玄徳は兵船を並べ兵を整列させて周瑜の到着を待つ。

周瑜もそれに気づき玄徳の兵力を認めた。

玄徳と周瑜の会談は腹の探り合いとなる。

「周提督が曹仁に手こずるようであれば玄徳が攻め取る」という形でお互いに釘をさすことになった。

これに魯粛は不満と不安を表すが周瑜は「これで呉軍より先に勝手なことは出来ん」と満足している。

玄徳は孔明が打ち合わせどおりではなかったと愚痴っていた。

「なぜ周瑜に向かって南郡を取れと励ましたのだ」

これに孔明は「その昔私が荊州を取るように口を酸っぱくしてお勧めしたのに我が君はお聞き入れなさらなかった」とちくりと嫌味を言う。

これには玄徳も言い訳をする(この辺が可愛いんだ玄徳って)

頼もしい~~~

玄徳は孔明がどうするつもりなのか皆目わかってないな。私もわかってないがw

わからんに決まっとる。軍師じゃねえぞ。

 

さて釘をさして帰った周瑜だが曹軍との戦いは簡単ではなかった。

敵の数ははるかに少ないにもかかわらず曹仁将軍の男気が呉軍を上回っていた。

さらに別の城でも曹操軍の計略に周軍の部下が陥ってしまい周瑜は援軍として駆けつける。ここまでは上手くいったが再び曹仁のいる南城への攻撃を再開すると曹仁曹操から授かった秘策の書を思い出しそれを実行したのである。

 

夷陵の城を占領した周瑜は得意の絶頂にあった。

立てこもる曹仁の兵たちの様子を逃げ支度と見た周瑜は敵の戦意喪失を感じて総攻撃をかける。さらに曹洪曹仁と立て続けに将軍を追い払った周瑜は勝利を信じて城へと乗り込んだ。

が、そこに罠が仕掛けてあった。落とし穴だ。

周瑜を先頭に落とし穴に落ちた呉軍を曹軍が襲った。

逃げようとする周瑜の肩に矢が刺さった。

からくも周瑜を抱き上げ呉軍は逃げ去ることができた。

曹仁たちは曹操の秘計に神を感じたのだった。

 

今日はここまで。続きます。

 

周瑜曹仁の戦いが主なので最初面白みに欠けるかと思いましたが内容はさすがに濃く読みごたえがあるものでしたね。

それにしても曹操さすが。秘策の書だけで大活躍です。

孫氏の兵法を自分流に書き残しているんでしたっけ。

やはり戦いの申し子と言えます。