ガエル記

散策

『三国志』横山光輝 第四十七巻

これははっきりふたりなので孔明表紙絵4回目。後ろの孟獲0・5回目。

孔明はこんな暑い国へ来てもさらりと同じ衣服で過ごしてる。

 

ネタバレしますのでご注意を。

南蛮の地を進む孔明軍の前に自然の険阻を利用した一大防塞が現れた。孟獲軍が作り上げた長城である。

孔明は高い所林の中眠るによく居るに涼しい地を選んで陣を築かせた。

作業の間にも雨が激しく降ってくる。

 

馬岱が薬と食糧を運んできた。孔明馬岱に都へ帰るふりをしてこっそりと濾水に渡ってほしいと頼む。

流沙口という場所から対岸へ渡ると道があり蛮軍が食糧を運ぶ補給路となっている。馬岱にその補給路を断ち食糧を奪って蛮軍を食糧難にしてしまいたい。

馬岱は言われた通り行動した。

なるほどそこは流れがなく部下に深さを計らせ浅瀬を見つけた。馬岱がよしと川を渡ろうとすると水深を計っていた部下たちが唸り声をあげて倒れていくではないか。

慌てて馬岱は川から上がり引き返した。

 

馬岱は地元の住民に流沙口の謎を問うた。

住民は流沙口の辺りは浅瀬になっており枯れ木や草が川底に溜まって腐り昼間の暑さで毒気を出すのだという。なので夜になり水が冷えれば毒気は薄れ船が筏で渡れば良いというのだった。

馬岱は住民に褒美を渡し部下にすぐ筏を造らせ夜を待ち渡った。

 

馬岱軍は夾山峪に差し掛かる。

孔明から言われた道があり馬岱はこれが南蛮軍の糧道かと気づく。

左右の谷に陣を張り見張りを立てた。

果たして砂埃と共に食糧部隊が現れる。

馬岱軍は襲撃し大量の食糧を手に入れた。

 

この報はすぐに孟獲の耳に入った。

食糧を絶たれては十万の兵が飢える。

孟獲は忙牙長に馬岱を討ち取れと命じた。

(もちろん牛にまたがって出陣)

 

馬岱と忙牙長との一騎打ちとなる。が一太刀で馬岱は忙牙長の首を討ちとってしまった。

孟獲は次に董荼奴を出陣させる。

馬岱董荼奴に「そのほうは先に丞相に捕らわれ既に命のない所を放たれたと聞く。

蛮族といえども恩を知ると聞くにそのほうは将の身で恩をわきまえぬのか」

この言葉に董荼奴は動けず「引けっ」と号令をかけるしかなかった。

 

戦わず戻ってきた董荼奴に孟獲は激怒(ところで孟獲って三船敏郎だよな)「孔明に恩を売られ二心をいだいたな」と首をはねようとする。

周囲に止められ命だけは助けたが怒りは収まらず百杖の罰とした。

皆の前で打ち据えられた董荼奴が寝込んでいるところへ頭目たちが集まってきた。

頭目たちは「我々はそもそも中国を侵そうと思ったことも中国に侵されたこともない。それを孟獲が魏と申し合わせたり蜀に対して乱をおこしたりしたためこういうことになった。神のごとき孔明の謀に魏も呉も恐れるものを我らが太刀打ちできるわけもない。そこで孟獲を殺し孔明殿に降参したほうがよいのではないかと」

これに董荼奴も賛同した。

董荼奴が孟獲陣幕まで行き番人を脅すと番人までもが仲間になりたいと言って中に通してくれた(なんだこれ)

酔いつぶれて眠り込んでいる孟獲に布をかぶせて捕らえるのは造作もなかった。あっという間に縛り上げて蜀の陣まで運んだのだ。

 

孔明董荼奴に礼を言い恩賞を渡し南蛮の洞将がみなそちと同じ気持ちになってくれれば兵は直ちに引き揚げるつもりじゃと言い渡し帰した。

次は孟獲を連れてこさせた。「やあ孟獲、また捕らわれたな」

「だが洞の元帥がみな帰順したら」と問う孔明孟獲は「その時は一人でも戦うてやるわ」「本気で一人で戦えると思っているのか」「おう、まだ戦うて敗れたわけではないからな」

孔明孟獲の縄を解き陣中を見せて回った。

居並ぶ兵士たちを見せ豊富な食糧武器を見せた。

「わしには武勇の将兵がある。お主これでも勝てる見込みがあるのか。それより早く帰順せよ。そうすれば天子に申し上げお主の王の位を認め子々孫々まで南蛮を治めるよう計らうがどうじゃ」

孟獲はにやりと笑い「わしを帰してくれたらみんなを説いていくそうすればおとなしく降参するかもしれん」

孔明はなるほどと言ってもう一度許して濾水まで見送ったのだった。

 

船をこぎ陣へ戻る孟獲は大笑いした。「名軍師とは聞いてあきれる。誰が降参などするものか」

 

陣の者たちはまたもや帰ってきた孟獲を見て驚いた。

そして裏切り者の董荼奴と阿会喃に「孔明から和睦の使者が来た」と嘘の報告をして呼び寄せた。

 

しかしふたりは孟獲によって殺害されてしまう。


孟獲はただちに出陣太鼓を打ち鳴らさせ夾山峪の馬岱討伐へと出た。

勇んで孟獲が到着すると蜀軍の影もない。通りがかった村人に聞くと二日前に引き揚げたという。

肩透かしだった。

 

孟獲は弟孟優に計略を話す。孔明に降伏の使者として孟優を行かせる。

孔明が油断したところへ孟獲が三万の兵で夜襲をかけ孟優が孔明を襲い兵たちが火を放つというものだ。

孔明を襲うって大雑把すぎ)(無理筋すぎる)

孟獲の帰順を伝えにきた孟優を孔明は喜び迎え酒宴の支度をさせる。

そこへ馬謖が自分の考えを紙に書いて孔明に渡す。

それを見た孔明

それゆえすでに手は打ってある。心配いたすなと答えるのであった。

 

酒宴を楽しむ孟優と孔明

その頃孟獲は三万の兵を引き連れ夕闇にまぎれて静かに濾水を渡っていた。