ネタバレしますのでご注意を。
孟獲は弟孟優を使者にして孔明に対し降伏と見せかけ酒宴を開かせた。
孔明がすっかり気を許したところを襲い掛かる計画である。
蜀の陣に放火する準備をし合図の太鼓を待った。
夜中太鼓の音が響き孟獲は火を放させ陣の柵を壊し突っ込んだ。
猛然と突撃するが人の気配がない。
陣幕内に人影がありのぞき込むと南蛮兵たちがしびれ薬を飲まされ倒れていた。弟孟優を抱え運び出そうとする。
そこへ王平・魏延の軍が攻め込んできた。部下に攻めさせその間に逃げようとする孟獲だが目の間に趙雲が登場する。
「あきらめて降伏せい」という趙雲の言葉に孟獲は抱えていた孟優を手放し馬に飛び乗って逃げ出した。
折よく部下たちが船にのって岸を離れようとしていた。孟獲は呼び止め船に乗り込む。
と部下たちが孟獲にとびかかってきたのだ。
孟獲が仲間と思っていたのは馬岱軍の兵士が南蛮兵に化けていただけであった。
翌朝。孔明は捕らえた南蛮兵たちに「お前達の命は我が手中にある」と告げた。
だがお前達を殺すつもりはない。争って命を落とせば親兄弟妻子が悲しむであろう。これからは平和にくらすことを考えるが良い。さあ家に帰って家族を安心させるがいい」
南蛮兵たちは驚き平伏して孔明を讃えながら帰っていった。
嬉しそうな孔明。こちらもほっこりする。
いつも目が猫だ。
「ところでわしは三度までおまえを捕えた。約束どおりその首はもらうぞ」
「待てもう一度放してくれ」という孟獲。「どうも負けた気がしないのじゃ」
「ところで弟はいかがいたした」と問う孔明に「途中までいっしょだったが生死もわからぬ」
孔明と間抜けな兄弟w「兄ちゃん」じゃねえよw不肖の弟をよろしくw
まあ仲良くていいわね。
孟獲は弟を引き連れ砦へと戻った。
がそこはすでに馬岱軍に占拠されていた。「今度は許さんぞ」
本陣へと急ぐとそこには趙雲がいた。「丞相の大恩を忘れるな」
崖をよじ登って逃げると魏延が「まだうろうろしているのか」
この要害は完全に蜀の手に落ちていた。
孟獲・孟優兄弟は蛮地の南銀坑内洞へ逃げ去っていった。
孟獲の本国は雲南よりはるか南方。現在の雲南省の境からミャンマー・インドシナ半島あたりだろうか。
その南蛮中部に蛮都がありその地名を銀坑洞と呼んだ。その領土からおびただしい白金を産したからである。
孟獲は連邦の八番(蛮族)九十三甸(直轄地)の各洞長へ檄を飛ばした。
「今こそ蜀軍にこの地を踏ませぬためにも諸洞は立ち上がって戦うのだ」
この檄は成功し諸洞の蛮王は続々と孟獲のもとに馳せ参じた。
その数は数十万に膨れ上がった。
孟獲は集まった蛮王たちに分捕り品はすべて自分のものとして良いと約束する。
威風堂々と銀坑洞を出た孟獲は加勢を得て闘志満々だった。
その頃孔明は西洱河に竹の浮き橋を架け南岸と北岸に陣を築いていた。
数十万の南蛮軍が押し寄せてきたとの報が入る。
「打って出ますか」と問う魏延に
しばらくは陣門を閉じて様子を見ているのじゃ。
南蛮軍はいっこうに動かない蜀軍に焦れて蜀陣の側で裸踊りで挑発し始めた。
「腰抜け出てこい」
これを見た魏延は腹を立て孔明に「打って出させてください」と頼むが孔明は「ならん」というばかりであった。(後ろで一緒に睨みつけてる趙雲がかわいい)
南蛮兵はますます調子にのってふざけていく。
が、蜀軍は動くことができなかった。
南蛮の将たちは勝利を確信して祝杯をあげた。(w)
それから連日南蛮兵は蜀軍をからかい続けた。魏延と趙雲は怒髪天だったが孔明は「待て」
趙雲が「ではいつまで耐えろと!」
南蛮兵は裸でからかい続けたが次第にやる気をなくしていった。
それを見た孔明は「蛮兵は最初はふざけながらも殺気があった。ところが今は油断しきっている。そろそろお主たちの出番だ」
「では戦わせてくれるので」
「いままでの鬱憤を晴らすがよい」
孔明は各自に計画を伝え「夜を待って行動に移れ」
「おう」
蜀軍は北の陣に移動し始めた。
翌朝南蛮軍では「蜀陣に人の気配がない」との報が成され孟獲達将兵は蜀陣に入り込んでみたが誰もいない。
もしや本国で急変が起きたのでは、と考えた孟獲は「蜀軍を討つのは今じゃ」と追撃を開始した。
が、北岸にも陣があるのに気づく。
南蛮の将たちはその陣の堅固さに怖じ気づいた。が、孟獲は「あわてるな、あれも孔明の擬勢じゃ」と明言した。
「擬勢?」
「二三日もするとあの陣も蜀の旗だけ残り兵は一兵もいなくなる」(この説明を理解した南蛮将はいたのだろうか)
孟獲は「ともかく筏を作りいつでも河を渡れるように準備しろ」と兵士たちに命令し「他の者は約束じゃ。あの陣で好きなだけ分捕るがよい」と喜ばせた。
孟獲の読みは当たった。
対岸の蜀軍の陣の人数が少なくなってきたのだ。「あと二日もすれば空になる」
筏の準備を急がせた。
蜀陣に人影が見えなくなった。
孟獲は渡河を命じたが急に雲行きが怪しくなり急遽中止とした。
その夜南蛮の将たちは中止した判断を讃え対岸の分捕り品を予想して祝杯をあげた。
夜中寝静まった頃銅鑼の音が鳴り響く。目を覚ました孟獲は陣に火が放たれ燃えがっているのを見た。
そこへ駆け込んできたのが趙雲軍だった。
他の洞将の陣も火の海だった。今彼らに捕まったら打ち首だ。逃げ出した孟獲を追ってきた者がいる。
孟獲はさらに逃げた。
がそこにも蜀軍が待ち構えていた。さらに逃げてもまたそこに。
孟獲は必死になって山や谷の中を逃げまくった。だが道あるところは必ず蜀兵が金鼓を響かせて現れた。
やがて、孟獲に付き従って走ってきた兵たちはわずかになっていた。(よく馬についてこれたな~~)
「くそっ。またしても孔明に謀られたわ。だが今度はうまく逃げのびたぞ」(このセリフ言っちゃダメ)
なんぞ
なんぞ
出たあああ孔明。
目が猫になってる~~~
「武力では負けぬと申したがこのざまはなんだ。負けて逃げ回っているだけではないか」
「黙れわしはにげまくってるのではなくおまえを捜していたのだ」
孟獲は兵士たちに命じて突撃した。
謎の四輪車。不思議なり
待てっと追いかけた孟獲の馬はズボッと落とし穴にはまってしまう。
いやもうほんとに異次元。
「そちの兄は捕らえられること四度目になる。未開の蛮国といえど恥ということもあるであろう。お前からもよく意見するがいい」
そしてまたもや許され縄を解かれたのだ。
次に孟獲。
孔明は「なんの面目があって再びわしの目の前に縄目の姿をさらしているのか。それでも南蛮の王者か」そして「今度は首を打つ」と言い放った。
孟獲は「待てっ孔明。もう一度俺の縄を解いて放ってくれ」という。「恥知らずと言われたままでは死に切れん。わしはお前の詐術に負けた。それが悔しいのだ。もう一度尋常に勝負しろ」
「なるほど、まだわしに勝てると思うているのじゃな」
孔明は微笑み「よかろう。もう一度受けてたってもよい」
こうして孟獲は四たび放たれたのである。
根気。
根性というのはこういうのをいうのではないか。
孟獲も孔明もだが、描いている横山光輝先生のど根性に参ります。
よくぞここまで丹念にこの話を追って描かれるものです。この執念この辛抱強さがあるからこそ横山三国志は多くの人に讃嘆され続けているのだと確信しました。