ついに最終巻です。ネタバレしますのでご注意を。
章嘉ラマの寺に逃げ込んだ健作。寺と言ってもそこは一国の城のように壮大なものだった。
健作は大僧正に礼を言い自分を救い出すために死んでいった者たちを取り戻し手厚く葬りたいと願い出る。
その為には義兄弟の力が必要だった。彼らを呼び健作は遺体を返さない経棚の知事のいる城へと向かう。
話し合いに応じない知事を健作は自ら仕留める。
そして遺体に手を合わせた後丁重に棺に入れ章嘉ラマの寺まで連れ戻った。
しかしこの一件で健作には政府から通輯令が出てしまったのだ。これによって健作は別の省に逃げても逮捕されるし彼を隠した者も同罪になるというのだ。
これを聞いた健作は他に迷惑が及ぶのを怖れすぐに一人で北京へ向かうと決める。そこへ行けば日本政府に頼れるからだ。
しかしお尋ね者が単身で北京を目指す旅は過酷だった。健作は飢え疲労し切った上、吹雪の中で幻影を見るようになった。
銀玲をはじめ健作が殺した者たちの恨みの声が彼を苦しめたのだ。
北京にたどり着いた時健作はやつれ果て見る影もなかった。
が、かつて健作を世話してくれた山辺、坂西たちは彼を快く迎え入れた。とはいえ彼は経棚で大暴れしたお尋ね者である。やむなく軍隊で銃撃の教官として留めることにした。
ところが実際に銃撃をした健作を見てその撃ち方はあまりにも軍隊としては不適格だったのだ。健作の技術はあくまでも馬賊としてのそれだった。
腕前は確かだが軍隊の士官が学ぶものではなかった。
不合格となった健作は奉天へと送られた。
奉天のホテルに寝泊まりするようになった健作の幻覚はますます悪化していった。
日夜まぼろしに襲われ暴れては室内を滅茶苦茶にしてしまうのだ。
そこへ曹老九という大攬把が訪れ健作に葛月潭老師の元に身を寄せてはと勧める。
老師は千山の無量観に住み全満州の道教の道士を統率し馬賊・民衆からも慕われている大長老なのだという。
健作はそこにすがった。
そこは武当派拳法を学ぶものにとっての聖地だった。
健作はそこで三年間心身を鍛えた。
幻を見ることもなくなった健作は老師から張憲臣という男を捕えてくるよう命じられるが殺すことになる。
しかし老師はそれは徐暴安良=勧善懲悪というものだと言って健作にその心を持ち続けるように言うのだった。
その後、健作は小菊花という美貌の凶賊を討ち取ることになる。
美女の話は殆ど出てこないのだがこうした美男子の頭目と言う話は入れ込まれるのが横山マンガだ。
あっさり終わってしまうのは残念だったが入れなくても良いほどの話をしっかり入れてくれるのだ。
さてこうして老師から学んだ徐暴安良を胸にして健作は多くの自衛団を束ね戦い続けていく。
そしてついに皆から総攬把と呼ばれるようになった。
数万の馬賊が健作の号令で動き農民のために戦うのだ。
いやあおもしろかった。
今いまだに、異世界転生モノは続いているようだけどこうした馬賊の頭目になる、ってのはあるのかなあ。
憧れないのか。