まだ途中なので言えるのは
馬が小さくて可愛い(今までは大きく美しい馬を描き続けてきた横山氏が本作では「らしい感じのする」小型馬をしっかり描かれているのに感服しました)
私自身が源平合戦なら圧倒的平家贔屓なので清盛には頑張っていただきたい。
このような歴史漫画を丹念に描いてくれるのはやはり横山氏の力量あってのこと。萩尾望都氏が『王妃マルゴ』青池保子氏『アルカサル』のような歴史漫画が素晴らしいのは横山氏の先鞭があってこそと思われます。
そして気になるのは本作が横山光輝氏の遺作に近いということです。
本作は中央公論新社の日本の古典シリーズとして上中下で発刊されているので描きおろしだったのでしょうか。
発注があったのかもしれませんが横山氏が意にそぐわぬ選択をされるとは思えないので古典シリーズで『平家物語』を選ばれたのだと思われます。
源氏ではなく平家だったのはやはり横山氏の「戦い抜いて滅亡していく」美学(?)に添っているものでありますし。
最期まで「戦う男の哀れ」を描きたかったのだなあという感慨は勘違いであるかどうか。
最晩年に中国では『史記』『殷周伝説』日本では『平家物語』という題材選択に横山氏が描き続けてきたものを考えてしまいます。
もし命長らえたのなら他に何を描こうと望んでおられたのでしょうか。